あおこのぶろぐ

オペラ、テレビ、日常など、気が向いたときに書いていきます!

「オペラ座の怪人」と「さまよえるオランダ人」

2022-01-23 16:42:48 | 日記
今月、人生で初めて劇団四季の「オペラ座の怪人」を観ました。
私がオペラファンであることを知っている四季ファンの友人に、誘ってもらったのです。
大まかなストーリーは知っていたし、以前CD(全曲)を借りて聴いたことはありました。
オペラに近いミュージカル、ということはCDを聴いた時から感じていましたが、実際に観るとよくわかりました。
四季の初演のカルロッタをソプラノの塩田美奈子さんが演じたということも覚えていました。
いつか観なきゃ、と思っていたので、遅すぎたくらいですね。


四季には詳しくないので、今回の公演、知っている役者さんは居なかったけど、とても楽しめました。
ロングランでほぼ毎日上演、ほぼ満席というのがすごい。
四季のすごさは知っているつもりです。
ファンの多さ、人気の高さも、友人から聞いたチケット発売システムを聞いても、わかります。
「オペラ座の怪人」のように、オペラ寄りのミュージカルにはあんなに多くの人が足を運ぶのに、オペラに足を運ぶ人は決して多くないんですよね。
オペレッタのように、ミュージカル寄りのオペラもあるのだし、もっと普通にオペラを観にくる人が増えるといいのになあ、としみじみ思いました。


その話を友人にしたところ、「やっぱりオペラは敷居が高いよね。原語上演だからじゃない?」というようなことを言われました。

今は字幕もあるので、下手な(聞き取りにくい、という意味)訳詞上演より原語上演のほうがわかりやすいところもありますが、やはり、オペレッタやオペラブッファくらいは訳詞上演にして欲しいなぁ、と彼女の言葉を聞いてあらためて思いました。

芸術性も大事だけど、一歩降りて「お客さんを楽しませること」を重視する公演が増えることが、敷居を低く感じさせることにつながるように思います。
そういうコンセプトでおこなっている公演もたくさんあるけど、今一つ周知されてない気がして残念です。


さて今回の「オペラ座の怪人」、生オケ演奏ありの公演でしたが、開演前にオーケストラの人たちが音出しをしている時に、「さまよえるオランダ人」のテーマを吹いている人がいました。
最初は似た曲が「オペラ座……」にあるのか? と思いましたが、間違いなくオランダ人の動機、序曲で言うと冒頭の部分でした。

今月末予定している新国立劇場の「さまよえるオランダ人」のオケは 東京交響楽団。
「オペラ座の怪人」のオーケストラについてはキャスト表に記載がなかったのですが、東響が担当していたのか、少なくとも、新国立劇場の「オランダ人」で担当する東響の人がいたのか、とかいろいろ考えてしまいました。

本当のところはわかりませんが、この2作品共通するところがある、と観劇して思いました。
特に終盤の三重唱のシーンを観て。

ファントム=オランダ人
クリスティーヌ=ゼンタ
ラウル=エリック

若干結末は違うけど、ヒロインがファントム(幽霊船の船長)を救済するというストーリーもよく似ている。
だから意図的に吹いていらしたのかどうかはわかりませんが。

で、来週「オランダ人」を鑑賞予定です。 政府の水際対策の影響で、外人キャストが来日出来ず(二期会の『影のない女』も中止……)。
(ザックスを歌ったマイヤーが残っていて、歌ってくれたら……なんて夢見ましたが)
オール邦人キャストになりました。 でも私はかえって楽しみかも♪

感染者が増えているので、直前の中止がないことだけを祈ります!


憂い悩みすべて忘れて・・・二期会「こうもり」

2021-11-27 13:32:00 | 日記
オペレッタもオペラと数えるなら、「こうもり」は、私が最初に触れたオペラ作品です。

もともと、学校の授業で聴いた「流浪の民」が好きで、「流浪の民」が入った合唱集のLPレコードを買ってもらいよく聴いていました。
その中に、ヨハン・シュトラウスの曲がいくつかあって、シュトラウスが好きになり、そして1979年、ウィーンフォルクスオーパーの日本公演「こうもり」をテレビで観てみたのが始まりです。

とても楽しかった。ミルヤーナ・イーロッシュ、ペーター・ミニッヒ、メラニー・ホリデイ、アドルフ・ダラポッツァといった方々が出演しています。

入り口がオペレッタだったから、すんなりオペラの世界に入れたのかも知れません。

音楽も名曲揃いで、「こうもり」はかなり好きな作品です。
その後一度フォルクスオーパーの来日公演を観に行き、二期会公演は何度も観ました。
中山悌一先生訳詞の公演を何度も観たので、今も歌詞を一部覚えています。
というか、今回観て甦りました。
(今回のタイトルは、甦った訳詞からつけました)

昨年のメリー・ウィドーは訳詞でしたが、今回は歌はドイツ語、セリフは日本語でした。 演出が外国人だから? ベルリン・コーミッシェオーパーとの提携公演だから?

前にも書きましたが、私は日本語上演希望派。
「ファルスタッフ」や「魔笛」はまだいいとしても、オペレッタはエンタメ性を重視して欲しいので、訳詞上演して欲しいです。
日本語上演だったら、口ずさみながら帰る人が続出するでしょう。


二期会「こうもり」、初日を観ました。
アンドレアス・ホモキ演出のこのプロダクションは4年前の公演をテレビ で観ました。
「なるほど」と思うところもあり面白いのですが、「フィガロの結婚」同様、上級者向けという気がしました。 初めて観る人は混乱するのでは? と心配します。 まあ、そういうのを抜きに楽しいからいいのでしょうけど。

そして今回の公演。
歌、芝居、笑いすべての面で、過去最高かも知れません!
又吉秀樹さんのアイゼンシュタイン、幸田浩子さんのロザリンデ、高橋維さんのアデーレ、澤原行正さんのアルフレード、宮本益光さんのファルケ、オルロフスキーの郷家暁子さん、フランクの斉木健詞さん、ブリントの髙梨英次郎さん、イーダの渡邊史さん、皆さん役にぴったりで歌、演技両面で満足!

エンタメ性、芸術性共に高い公演でした。

特に又吉さん。 え、コメディアンですか?  と思うほど、軽妙な演技。とても楽しかったです。

そして森公美子さんのフロッシュ。素晴らしい「オペラ漫談」で湧かせてくれました!

川瀬賢太郎さん指揮の東京交響楽団の演奏も、序曲からワクワクさせてくれました。

やっぱり日本語で口ずさみながら帰りたいなあと思ったのでした。





イーロッシュにもらったサイン。

新国立劇場「ニュルンベルクのマイスタージンガー」鑑賞・前奏曲

2021-11-22 22:00:49 | 日記
延期、中止を経てようやく上演された新国立劇場の「ニュルンベルクのマイスタージンガー」。

7月に二期会「ファルスタッフ」を観て、8月頭に「マイスタージンガー」。
ヴェルディの喜劇の後はワーグナーの喜劇だ! と思っていましたが、公演中止。

感染拡大している時期で、都心でオペラを観るのが怖いという気持ちも少しあったので、ほっとした気持ちも皆無ではなかったけれど、でもものすごくガッカリした文化会館公演の中止でした。
直前までゲネプロの情報も入っていたので、私たちファン以上に出演者、関係者の皆さんが無念だったことでしょう。

ストーリーがヨハネ祭の日(夏至のあたり)の話で、当初2020年は6月に予定されていたし、以前書いたように、初めて観た1981年の公演も7月。 2002年の二期会の公演も7~8月だったいうこともあり、夏の上野で観たかったんですけどね……。

「マイスタージンガー」が中止になったからということがあるのかないのか、この4ヶ月ずっと頭の中を巡っていた音楽が「ファルスタッフ」。
過去の録音や録画を聴き直したり観たりして余計「ファルスタッフ脳」になっていました。
それまで普段聴く音楽は、 ワーグナーを中心に、圧倒的にドイツモノが多かった私。
イタリアモノ、特にヴェルディ作品では「ドン・カルロ」が一番好きなのですが、今年新国立劇場の「ドン・カルロ」を観たけど、何故かそんなに残らなかったな。
好きなオペラランキングの順位を変えなきゃいかんかしら、と思うくらい、「ファルスタッフ」にハマっていました。

そして「マイスタージンガー」も(リングを一作品と数えれば)5本の指に入るくらい好きな作品です。

「ファルスタッフ」と「マイスタージンガー」の共通点。 喜劇である、のほかに人数の多い登場人物たちが一気に歌う場面があることなどがありますが、一番の共通点はやはり聴くとワクワクする、という点ではないでしょうか。
「マイスタージンガー」は前奏曲からワクワクしますよね。

1981年の公演は、とにかく何もわからず観に行ったけれど、ものすごく感動した。あれが私のマイスタージンガー原体験。

https://blog.goo.ne.jp/aokohime/e/bdeb3ce0ab7c21cfb8ad3699ce73bf38

2002年の二期会公演は、横須賀も含め3回観に行きました。
その頃ザックスに感情移入していたので、黒田博さんのザックスにキュンキュンしたのでした。

2005年の新国立劇場の公演も観たのだけど、何故かあまり記憶に残ってない。
エーファはハルテロスだったのか! と今になってビックリ。

2013年の東京春祭は、とにかくフォークト様とグロイスベック(ポーグナー&夜警)が印象的。

さて今年の公演は?
感想編に続きます。




1981年の公演評が載った雑誌はまだとってあります!

堪能! 黒田博さん主演 二期会「ファルスタッフ」

2021-07-20 14:14:24 | 日記
三つ子の魂百までと言うけれど、オペラを観始めて3年目までに観た作品は「好きな作品」になる確率が高く、「ファルスタッフ」もそういった作品の一つです。

オペラ的に「幼子」だった1982年の二期会の公演を観に行きました。
栗林義信さん主演の組で、小澤征爾さん指揮の訳詞上演で、これは確かテレビ確かテレビでも放映されました。
ビデオデッキは当時家になかったので、映像は残っていませんが、録音してよく聴いていました。



同じ頃に、ラジオで放送されたカラヤン指揮、ウィーンフィル、ジュゼッペ・タデイ、ローランド・パネライ、フランシスコ・アライサ、ライナ・カバイヴァンスカ、ジャネット・ベリー、クリスタ・ルートヴィヒ他の演奏を、やはり録音してよく聴いていました。なかなか豪華キャストです。


その後舞台では、2001年の二期会(森麻季さんのナンネッタがやたら目立っていた印象)、新国立劇場の公演などを観ましたが、いつしか鑑賞がドイツ物優先になっていったこともあり、舞台で観るのはかなり久しぶりです。

今回の二期会公演、初日、2日目(金、土)と行く予定でした。
公演日が近づくと、頭の中を「ファルスタッフ」の中の一節が流れ、すっかりファルスタッフモードになっていたのですが。
出演者に陽性が出たということで、初日が中止になってしまいました。
4日間しかない、ダブルキャストで2日間ずつしかない公演の1日がなくなるって、無念です。
2日目からは、毎日当日に開催可否が発表になるという、かつてないことになってしまいましたが、3日間とも出来て良かった!

ということで、7月17日、観に行きました。




まず、ロラン・ペリーの演出、とても良かった。
舞台が近代に置き換えられているけど、プログラムにあったように、「読み替え」ではない。台本に添った演出でした。
また、最近はプロジェクションマッピングを使ったり、簡素な装置でいろいろな場面を工夫で見せる演出も多いけど、しっかりとした装置を左右上下に空間をうまく使った、「舞台らしい舞台」でした。

歌い手さんは、階段を上り下りしながらの歌唱で大変そうでしたが、大人数のアンサンブルオペラを、段のある装置で視覚的にもわかりやすく見せていました。
衣装の色で登場人物(女性陣)が判別し易いのも良かったです。
指揮はベルトラン・ド・ビリーの代役で若手のレオナルド・シーニ、オケは東フィル。
将来、この指揮者の演奏聴いたことある、と自慢出来るような大物になってくれたらいいな。

歌手の皆さん、個人的に、好みや理想と違うと思う部分もありましたが、全体的に大きな不満はありません。
突っ込みどころも少なく、いいバランスだったと思います。

敢えて言うなら、カイウス(澤原行正さん)がかっこよ過ぎたかな。
フェントン(山本耕平さん)は色気があったから、ナンネッタ(全詠玉さん)が夢中になるのも仕方無いけど、カイウス先生でもいいじゃん! と言うか、先を考えたら(それほど年にも見えないし)カイウス先生のほうが結婚相手としていいかもよ、と思えてしまった(笑)。

そして、なんといっても素晴らしかったのは黒田博さん!
今まで観たファルスタッフは、まん丸のじいさんで、二人のご婦人(夫人)に求愛するなんて、もうギャグとしか思えなかったけど、ドン・ジョヴァンニも得意とする黒田さんが演じると違って見えました。
昔はブイブイ言わせていた、年を取って太ってしまったけど、昔取った杵柄で「誑し込んでやろう」と思ったとしても不自然ではない。 

今回フォード氏(小森輝彦さん……びわ湖のテルラムントお二人の競演でした)はバーコード頭に黒縁眼鏡という見た目。
このファルスタッフとフォード氏を見て浮かんだのが、女同士でしばしば話題になるテーマ。
「殿方の頭髪と体型はどちらを重視するか」。
有り体に言うと「ハゲとデブならどちらを選ぶか」という論争。
陽気な女房たちも、日頃話題にしていたに違いない(笑)。

私は、もともと頭髪は気にならないほう。頭髪は自分ではどうしようもないけれど、体型は自分の努力等でなんとか出来るし。
恰幅がいい、くらいならいいけれど、不摂生、不健康そうなデブは嫌かな。
ファルスタッフは明らかに不摂生に見えた。
けど、黒田ファルスタッフならOKかも、と思っちゃいました(^_^;)
ファンの欲目からかも知れませんが。

ラストシーンは、ただファルスタッフが懲らしめられ終わったというより、もっと深く感じました。すべてはファルスタッフが仕組んだのでは? とさえ。
それだけにフィナーレの歌詞も深く響きました。

やはり黒田さんは、世界に誇る日本のオペラ役者さんですね!

18日は行けませんでしたが、今井俊輔さんの組も観てみたかったです。

とにかくヴェルディの音楽、作品の素晴らしさを堪能し、公演を観られる喜びを感じた1日でした。



上野のマチネの後、いつも写す、文化会館近くのムクノキです。↓

クドカンはやっぱり天才! 軽やかに詰め込んだ「俺の家の話」

2021-03-31 06:35:28 | 日記
「俺の家の話」最終回、いやあ泣いた。久しぶりに目の奥の方が痛くなるくらい。
その衝撃的な展開や西田敏行の名演技等にも泣かされた(西田敏行の演技は、認知症を患い逝った父を思い出し、最終回以前から泣けていた)。
 
同じTBSの「天国と地獄」も見応えのあるドラマで面白く見た。
「天国と地獄」は、コロナ禍の設定が半端だったことが残念だったけど、毎週見逃せない展開で、引き込まれた。
最終回で、多くの登場人物が株を上げて終わったというのは珍しいんじゃないだろうか。

そう言えば、私が高橋一生を認識したのは、クドカンの「吾が輩は主婦である」だったな。

この冬ドラマで一番かと思ったけど、最終回で「俺の家の話」が超えた感じ。

クドカンは天才と、以前から言い続けて来た。
好きな脚本家は結構いるけど、大半が「秀才」型で、クドカンは「天才」型だと思う。

もちろんクドカンだって楽して書いているのではなく、勉強し、研究し、試行錯誤して生み出しているのだろうと思うけど、設定、展開、発想がズバ抜けている。しかも脚本以外でも活動しているからすごい。

「IWGP」(インターナショナル・レスリング・グラン・プリのほうでなく、ここではドラマ「池袋ウエストゲート」のことだけど)を観てから宮藤官九郎という人に注目し、いわばクドカンドラマの追っかけをして来た。

以前書いたように、私の一番のお気に入りは「マンハッタンラブストーリー」で、これも磯山晶Pの作品。
「あまちゃん」「いだてん」等も名作なんだけど、「俺の家の話」は、本当に「極めた」と言っていいんじゃないだろうか。

能とプロレスという特別な世界を描いた上に、介護を軸に家族で起こりうる様々な問題を詰め込んでいるんだけど、ギャグや時事ネタ満載で軽やかに描く。こんなのクドカンにしか出来ないでしょう。

「隅田川」は、オペラファンとして、ブリテンの「カーリュー・リバー」の基になったお話として、大まかに知っていたけど。
能の世界と「隅田川」の使い方にも舌を巻いたけど、80年代のプロレスを結構見ていた世代としては、いろいろニヤリとさせられる場面が多かった。

スーパー世阿弥マシンは、スーパーストロングマシンを想起させ、2号が現れるのは予測出来たしね。

でも、あの長州が、こんな「名優」になろうとは!

長州も一度引退して復帰した経験のある人。あのラストシーンにはいろんなものが詰まっている。

いろんな人が論じられているように、ドラマ全体に、クドカンの長瀬くんへの愛を感じて、思い出すとまた泣けてしまうのだ。

TOKIOはジャニーズの中で私が一番好きなグループ。長瀬くんはその中で一番年下で、天然キャラのところもあったけど、魅力的なミュージシャンであり、色気も発する貴重な役者でもある。
裏舞台に引っ込むには惜しい人材。

でも本当に、いつでも「またやりたくなったから」と帰って来てね~。
ぜあっ!