あおこのぶろぐ

オペラ、テレビ、日常など、気が向いたときに書いていきます!

共に“無観客” びわ湖「神々の黄昏」からのR−1ぐらんぷり

2020-03-19 22:05:18 | 日記
大事なことを書き忘れていました。

びわ湖「神々の黄昏」、素晴らしい演奏を紡ぎ、それをネット配信という形で発信して下さった沼尻竜典芸術監督に改めてブラボー!!を送りたいです。

機械を通して聴くのと、ホールで聴くのとでは印象が違ったりするので、やはり生で聴きたかったですが、「神々……」の他にも行く予定にしていた公演が次々に中止発表される中で、上演され鑑賞出来たことは感動の極みです。

「神々……」を観るまでは、ずっと「セビリアの理髪師」が頭の中を流れていたのですが、今はずっと「神々……」が流れています(単純)。


免疫力を高めるためにも、お気に入りのお笑いを見たりしていますが。

「神々……」と同じ日に同じ「無観客」で行われたR―1ぐらんぷり。
(R―1ぐらんぷりについては毎年書いているので……)

「神々の黄昏」の余韻に浸っていたので 、後日録画でチェック。

しかしお気に入りのマツモトクラブが決勝に残っていなかったので、気合いは入らず……。ざっと見ましたが。

様々なジャンルの「無観客」の中で、一番厳しいのは「お笑い」だったと思います。
審査員とスタッフの笑い声は聞こえてきたので、思ったほど悲惨ではなかったけど、やりにくかったでしょうね。

しかし近年、お笑いの賞レースで納得した結果になったことがあまりなく……。

特にR―1に関しては、「ピン芸人」でなく、「ひとり芸」の大会となっていて、どうしても違和感が残ります。

今年も本来コンビの人(野田クリスタル)が優勝……。発想とゲームを作ったところは評価しますが……。

他の出演者で、ふだんのコンビネタを一人芝居でやってるだけじゃん、という感じの人もいて、やはりやるなら参加はピン芸人限定にしてもらいたいと思うのであります。

ファイナルステージに残った3人の中で、唯一ピン芸人(現在は)だった大谷健太、フリップ芸は食傷気味で私はあまり評価しないんだけど、絵と表情に味があったのでファイナルの3人の中では一番好きでした。

びわ湖ホールプロデュースオペラ 「神々の黄昏」 その3(演出編)

2020-03-14 21:41:10 | 日記
何度も書いて来ましたが、「ニーベルングの指環」では、私はキース・ウォーナーの「トーキョー・リング」が大好きなのですが、このミヒャエル・ハンペによる「びわ湖リング」は、トーキョー・リングと共に「世界に誇れる2大ジャパニーズリング」と言っていいのではないかと思います。

海外でオペラを観たことがないので、国内に限りますが、1980年代以降、国内で観られた「リング」は、大方チェックして来ました。

私が観たものを振り返ってみると……
来日公演は1987年のベルリンドイツオペラに始まり、2002年のベルリン国立歌劇場、2006年のマリインスキーの公演。
二期会、新国立劇場の公演、東京シティフィルのオーケストラルオペラ、東京春祭シリーズに、あらかわバイロイトまで行きましたです。

映像では主にBSで放映されたもの、あとはMETライブビューイングも観ました。

その中でもお気に入りトップ2。
私は読み替え演出支持でも不支持でもありませんが、「好き」の判断は結局、「腑に落ちるか」「ワクワクするか」ということです。

「オペラ」は数ある舞台劇の中でも最も「不自然な劇」、中でもワーグナーの作品、特に「リング」は不自然の極み。

これまで、水中を泳ぐ乙女たち、天を駈ける馬たち、小鳥、大蛇などをヴィジュアル化して来たこのプロダクション。

今回がネット生配信されたことで、多くの人が観て感想を書き込んでいて、途中、「動きがない」「絵画のよう」「つまらない」などの感想もあったものの、概ね好評だったようです。

最新技術を使いながら、クラシカルで懐かしささえ感じさせる世界観、そして台本に忠実に、わかりやすく舞台を作り上げています。

ワーグナー初心者も観ていただろうことを考えれば、とても良かったのではないでしょうか。

私がこのプロダクションを評価するのは、まず舞台がきれいなところ、作品のイメージを損なわないところ、ト書きや音楽に忠実なところ、です。

今回の「神々…」では特に第3幕が見どころいっぱい。
息絶えたはずのジークフリートの指環をはめた手が上がるシーンでは、ジークフリートがノートゥングを握っていました。
確かにその時剣(ノートゥング)の動機が流れるので、非常に納得。

他にも映像を使って、カラスを飛ばせたり、葬送行進曲でヴォータンを、ブリュンヒルデの自己犠牲でグラーネを呼ぶ時に、グラーネ(馬)を登場させたり、と、とことん視覚化。

様々な演出の「リング」が観られる昨今ですが、びわ湖リングは「初歩編」「お手本」として欲しい演出です。

特に3月8日の2日目の公演は、聴覚面(演奏・歌唱)、視覚面(容姿・演技等)共に、総合的にかなり高レベルだったと思います。

過去の作品を鑑賞した際、アンケートで「DVD化して欲しい」と書いたのですが、前3作品はDVD化出来る映像は残っていないとのこと。

ならば舞台写真を使って、「初心者にもわかるリング」として、「フォト絵本」のように出版するのはどうかしら、と勝手に思っています。

そして出来れば数年後に、チクルス再演して欲しいです。



久しぶりに読んでみた。

びわ湖ホールプロデュースオペラ 「神々の黄昏」 その2

2020-03-12 00:27:17 | 日記
定点カメラによる配信のため、顔や表情まではよくわからなかったし、ネットカフェのモニターで大画面で観ると、場面によってはとても粗く、スマートフォンのほうが全体的に綺麗に見えたので、併用して楽しみました。

男性陣、皆さん背が高く、映像がはっきりみえなかだけに、一瞬「外人?」と思うほどで、ヴィジュアル的に、映えていたと思います。

音楽的にも総じて満足。

ヘッドフォンで聴いているとオケの音や合唱で、「ん?」というところもあったけど、それもライブの醍醐味。

歌手陣の出来も過去最高だったんじゃないでしょうか。

ノルンもラインの乙女も豪華メンバーでした!

アルベリヒ(志村文彦さん、大山大輔さん)、ヴァルトラウテ(谷口睦美さん、中島郁子さん)も良かった。

グンターはどちらも海外で活躍されている方(石野繁生さん、髙田智宏さん)たし、グートルーネは日本を代表するプリマドンナ(安藤赴美子さん、森谷真理さん)。
なんて贅沢。

私の大好きな悪役ハーゲン、初日の妻屋秀和さんは毎度ながら、安心、安定の演唱。
斉木健詞さんは「ハーゲンはかっこよくあって欲しい」と思う私の希望にピッタリで素敵でした。

ジークフリート。
総合的には2日目のエリン・ケイヴスのほうが整っていたかなあ。
でも、去年も書いたけど、クリスティアン・フランツは、トーキョーリングから観てきて、あの丸い体型もチャーミングな笑顔も、歌唱の“味”も含め、「私のジークフリート」という感じで、愛しさを感じます。

そして初日のブリュンヒルデのミュターは、去年は終幕だけの出番だったからか、それほど印象はなかったのですが、きれいな強い声で歌いきり、見事でした。
最後の場面、歌い終わってジークフリートの遺体の上に身を投げ、敷かれた薪(トネリコ?)と共に沈んで行った時は、「そりゃ二人の重みで沈むわな」と思ってしまったけど(^_^;)

そしてそして、びわ湖の、いえ、日本のブリュンヒルデ、池田香織さん!
イゾルデも素敵でしたが、ラストの「自己犠牲」の神々しさと言ったら!
「ワルキューレ」から観聴きしてきましたが、“少女”から“女”へ変わっていく様を見届けられて良かったです!


演技的には、2日目のほうが、全体的に細やか、かつ、アクティブでした。

2日間とも、甲乙つけ難い名演で、どちらもDVD化されるなら両方欲しいけど、どちらかを選ぶとしたら2日目のほうかな。

(演出編につづく)


びわ湖ホールプロデュースオペラ 「神々の黄昏」 その1

2020-03-10 15:05:41 | 日記
「ニーベルングの指環」は大好きで、この“びわ湖リング”も、「ラインの黄金」から毎年観て来ました。
「神々の黄昏」は特に好きな作品だし、四部作の完結編。
見逃せない! と気合いをいれ、2日間ともチケットを取っていました。

本当に楽しみにしていただけに、新型コロナウィルスのため、公演中止の知らせを聞いた時は、本当に落胆しました。

多少具合が悪くても、無理して観に行く人もいたかもしれないし、万一のことがあったら大変なので、中止は致し方なかったでしょう。

全国でイベント中止や学校が休校になるなど、各方面で影響が出ていて、こんな事態だから仕方ない、痛みを分け合わなきゃ……と自分に言い聞かせていました。

でも、文化面での一番の打撃は、この「神々」の中止ではないかと思っていました。

製作費は1億6千万円とのこと。
4年がかりの“びわ湖リング”の完結編。
2日間の公演のために(ソリストは1日のために)何日も前から大津入りして準備していたはず。
ソリストは日本人も海外で活躍している人も多く、かなりの豪華キャスト。チケットが即日完売になるのもむべなるかな。

同じスタッフ、キャストがそうそう集められるとは思えないから「延期」は難しいんだろうなあと思いましたが。
だからと言って「中止」だなんて、あまりにも悲しい……と嘆いていました。

そう思った関係者もファンも多かったのでしょう。
無観客上演して、ネット配信と聞き歓喜しました!

チケットも宿も取っていたし、これに絡めて関西で予定を立てていたので、予定通り大津入りし、「ほぼ現地」でネット鑑賞することにしました。
(券あるから上演するのなら入れてー、と言いたかったですが)

さらに、のちにDVD化されるとのこと。
咳(今は特にご法度だけど)や飴袋のガサガサ音やフライングブラボーなどもなく収録出来たのは良かったのかも知れませんね(そういうのがあるのも、ライブならでは、ではありますが)。


連日1万人を超す人が観ていました。すごいことですよね。

拍手のないカーテンコールは寂しかったですが、SNS上で多くの人たちが拍手を送っていました。

私もネットカフェの個室で涙しながら拍手していました。
(日曜日、終演後、R−1ぐらんぷりに切り替えようかとも思いましたが、余韻に浸りたくて、映像が消えるまで遡って観直したりしていました)

今回の「中止」によるホールの金銭的損失は計り知れないですが、びわ湖ホールではこれだけすごいものを作っているんだぞ、ということを、全国、いえ全世界の人たちに発信出来たことは価値があったのではないでしょうか。


(感想編につづく)



チケット払い戻しの書類と一緒に送っていただいたパンフレットを片手に鑑賞

「ちりとてちん」「カーネーション」「スカーレット」 朝ドラに見る女性と仕事

2020-02-26 20:24:11 | 日記
朝の連続テレビ小説は、女性の一代記物が多く、つまり、女性の仕事について書かれることが多い。

21世紀の朝ドラで、私が名作だと思っているのは、「ちりとてちん」と「カーネーション」(ただし、尾野真千子編のみ、夏木マリ編は“別物”だと思っている)である。
大森美香さん作の「風のハルカ」と「あさが来た」も大好き。
大阪制作局作品が多い。
東京制作ものでは「あまちゃん」と「ひよっこ」が良かった。

現在放送中の「スカーレット」も名作リストに入ると思う。

「ちりとてちん」「カーネーション」「スカーレット」は、特に女性の仕事について深く描かれていたように思う。そして夫が同業者という共通点もある。

「ちりとてちん」では最終的に落語家をやめて『おかみさん』『おかあちゃん』として生きることを選ぶ。
女性活躍や男女同権が叫ばれているけれど、男性と渡り合って生きていくだけが女性活躍ではないと思う。もちろん、不当な男女差別はあってはいけないけれど。
『おかみさん』『おかあちゃん』は、女性にしか出来ない大事な仕事。
主人公がああいう決意をして終わるというドラマは逆に新鮮で、私は素晴らしいと感動したものだった。

そして「カーネーション」。想像だけれど、「スカーレット」の脚本の水橋文美江さんは「カーネーション」を意識して書かれているように感じる。

「カーネーション」の糸子は、男にしか乗れないだんじりに憧れ、男子とけんかして、父親に「女子が男と張りおうてどないすんねん!」と頬を打たれる。
そして糸子は、自分にとって、女にとっての「だんじり」=洋服作りの道を見つけ邁進する。

「スカーレット」も、主人公喜美子は少女時代、父に「女にはない、意地や誇りが男にはあるんじゃ」と言われる。
その後喜美子は、「女にも意地と誇りはあるんじゃー」と言い返す。
そして成長した喜美子はやがて絵付け師から陶芸の道を見つける。
それだけでなく、穴窯という道を見つけ、意地と誇りで挑戦し、そして成功し名声を得る。

でも、それを引き換えに喜美子は「大事なもの」=「夫」を失うのだ。

喜美子と夫・八郎が、出会いから徐々に距離を縮めていくところ、そして告白、結婚へと、朝ドラには珍しいほどの丁寧な作りで二人の関係を描いていただけに、この二人が別離を選んだのはよっぽどのことだと、と心に突き刺さる。
まさしく「何かを得るためには何かを失わなければならない」ということだ。
それくらいの覚悟で取り組まなければいけないんだなあ。

前作のヒロイン・なつが、戦災孤児という設定だけれども、大人になってからいろいろ恵まれすぎて違和感があったが、「スカーレット」はとにかく丁寧。
喜美子も友達をはじめ周囲の「人」にはかなり恵まれている。
その人間関係がしっかり描かれているから、喜美子がどんなに苦労しても、喜美子は明るく生きていっているし、我々視聴者も暗くならず楽しく見ることが出来ている。

「スカーレット」は、今週、異例の本放送内の「スピンオフドラマ」のようになっている。

残り一ヶ月。
一度壊した家族がどういう形で前に進むのか。八郎との関係は? そして武志はどうなるのか? 

喜美子のモデル・神山清子さんの実際のエピソードを下敷きにしながら、夫の不倫は描かれなかったように、オリジナル要素も高い。

これからの一ヶ月、楽しく前向きになるようにな展開と結末を期待したいと思う。