あおこのぶろぐ

オペラ、テレビ、日常など、気が向いたときに書いていきます!

新国立劇場「セビリアの理髪師」ふたたび

2020-02-15 23:31:28 | 日記
昨年6月の二期会「サロメ」以来、久しぶりにオペラを観に行きました。新国立劇場には「ウェルテル」以来で、今年度初。
こんなに長期間観に行かなかったことは珍しいかも。

新国立劇場内でいろいろ変化があったので(英語字幕とか黒いクッション?とか)、時の流れを感じました。

で、令和初の新国立劇場。
「セビリアの理髪師」(2月14日)。

キャスト
フィガロ……フローリアン・センペイ、
アルマヴィーヴァ伯爵……ルネ・バルベラ、
ロジーナ……脇園彩、
バルトロ……パオロ・ボルドーニャ、
ドン・バジリオ……マルコ・スポッティ、
ベルタ……加納悦子
指揮……アントネッロ・アッレマンディ、
管弦楽……東京交響楽団

演出は前回も書いたケップリンガーで2016年の公演と一緒。

脇園さんを観聴きしたくて行きましたが、評判通り、素晴らしかったです。
まだお若いのに、歌も演技も堂々としたもの。舞台姿も日本人離れしていて、スター性があります。歌だけでなく容姿、演技も重視するわたくしも納得・満足。今後も注目していきたいです。

加納さんのベルタも安定の存在感。

他のキャストも皆さん好演、熱演で楽しめました。

が、男性陣には主にヴィジュアル面でやや不満も。

アルマヴィーヴァ伯爵があんなに「丸く」ては……。
たぶん伯爵のバルベラとフィガロのセンペイと、胴周りのサイズはあまり変わらないかも? と思うのですが、背が低いと不利ですよね。

逆にバルトロのボルドーニャは扮装で太らせていました。ヴィジュアルは伯爵と逆のほうがしっくりしたかも。

前回の伯爵・ミロノフがカッコ良かっただけにね……。

前回のフィガロのイェニスはギターで「リンドーロの名乗りの歌」の伴奏をしていたよなぁ、などと前回と比べてしまった。

総合的には16年のほうが良かったな。


カーテンコールを見て、カッコいい♪と思ったのは、バジリオのスポッティと指揮者のアッレマンディでした。
アッレマンディは、頭がザビエル系(ゲルギエフ系というか)だったけど、全く問題なく、一番素敵だったかも。


今回のバルトロのボルドーニャは日本語をギャグとして使い笑いを取っていました。国際公演だと、こういうことも出来るわけですね。

しかし、オール日本人キャストの場合は、こういうコメディ作品は訳詞上演でいいんじゃないかと思います。

以前書いた中山悌一訳詞、鈴木敬介演出の二期会公演は、シンプルな装置ですごく工夫され楽しかった記憶があります。バルトロ役の故・斎藤俊夫さんも好演で、すごく楽しかった。
訳詞でも歌詞が聞き取りにくかったという印象もなかったし。

そういう敷居の低い公演をもっと上演して欲しいと、やっぱり思うのであります。





感動のラスト 東京春祭「さまよえるオランダ人」

2019-04-11 21:26:15 | 日記
春祭「さまよえるオランダ人」(4/5)を鑑賞。


指揮:ダーヴィト・アフカム
オランダ人:ブリン・ターフェル
ダーラント:イェンス=エリック・オースボー
ゼンタ:リカルダ・メルベート
エリック:ペーター・ザイフェルト
マリー:アウラ・ツワロフスカ
舵手:コスミン・イフリム
管弦楽:NHK交響楽団
合唱:東京オペラシンガーズ


アイン・アンガーの来日中止は残念でしたが、堪能出来ました♪


ハナから「外国人>日本人」という評価をする人もいるけれど、私は「この程度の外人さんなら、日本人でもっと歌える人もいるのになあ」と思うこともよくあります。

が、今回のソリスト、特に主要3人、すなわちオランダ人のブリン・ターフェル、ゼンタのリカルダ・メルベート、エリックのペーター・ザイフェルトを観ると、歌のレベルもだけど、醸し出すものが違う、と感じました。
世界で幾たびも歌ってきてて、まさに場数が違うのでしょう。
これは主に国内だけで活躍する日本人歌手の方では「かなわない」んだろうなあ。

メルベートは、海外鑑賞歴のない私が一番多く生で観聴きしている外国人女性歌手じゃないかしら。
ターフェルは初めてでした(METライブビューイングでは観てるけれど)。声と存在感に圧倒されました。
ザイフェルトも、昔から映像、録音で聴いていたので、なんか感動しました。


この作品はソリスト6人のみ、ということもあり、今回は譜面台なし。
演奏会形式というより、演技ありのセミステージ形式という感じ。
指揮者のアフカムも含め、「ドラマティック」でした。

舞台上演では演出が気になるこの作品。
特にラストシーンの描かれ方が、以前書いたように印象を左右するのだけど。
そこをどうするのか興味ありました。
まさかゼンタが舞台から飛び降りるわけにいかないし、と注目していたのですが、歌い終わった後、上手からオランダ人が「さあ、おいで!」とばかりに手を差し出し、ゼンタがふらふらと歩いていき、手を取り合って上手に消える、というもの。
その時のターフェルの表情。救済を歓喜する顔、なんて簡単な言葉じゃ言えない表情にキュン♪

下手な舞台上演より感動したラストシーンでした。


「拍手どころ」のジレンマ 新国立劇場「ウェルテル」

2019-03-22 23:32:24 | 日記
「ウェルテル」は私がオペラ的に「物心がつく前」、つまり初心者の時に観たオペラです。

最初に観たのは、1980年の二期会公演。
小林一男さんのウェルテル、荒道子さんのシャルロッテでした(指揮はコバケン、オケは東京交響楽団、演出は栗山昌良さん)。

「オシアンの歌」をはじめとする美しい音楽と、幻想的な舞台、遥か昔(幼い頃の夢か前世で)見聴きしたかのような「懐かしさ」を感じ、このオペラが大好きになりました。
フランスオペラではいちばん好きです。

その後、CD等でいくつかの演奏を聴きましたが、「観た」のは、新国立劇場の2002年と2016年、それにカウフマン主演ののMETライブビューイングくらい。

今回の公演は2016年と同じプロダクションで、タイトルロール以外邦人キャストです(2月20日鑑賞)。

ウェルテルのサイミール・ピルグは、若干ウェルテルのイメージと違うところもありますが、歌もヴィジュアルもOK。

シャルロットは世界に誇るメゾの藤村実穂子さん。今までフリッカとかヴァルトラウテとかしか聴いたことなかったけど、こういう、しっとりと聴かせる役もいいですね。

ソフィーの幸田浩子さん、アルベールの黒田博さん、お二人とも日本を代表する実力派スターで、期待通りの演唱でした。

しかしプログラムに、ウェルテル23歳、シャルロット20歳、アルベール25歳、ソフィー15歳と書いてあるのを見てしまうと、オペラグラスは使わないほうがいいなと思ってしまったけど。

大法官は、ありゃ、この前「他の役で観聴きしたい」と書いた、びわ湖のファーフナー、伊藤貴之さんではないですか! やはり良い声でした。

シュミットの糸賀修平さんはちょっと線が細い感じだけど明るい声、ジョアンの駒田敏章さんはいい声で、今後が楽しみです。

指揮のポール・ダニエルも良かったなあ。オケは1980年と同じ東響。

ニコラ・ジョエルの演出は、気になるところもなくはないけど、大きな不満はありません。

総じて満足の公演でした。

ただ、シャルロットの「手紙の歌」とウェルテルの「オシアンの歌」の後に、拍手用に音楽を止まったところが、個人的には「うーむ」。
拍手が起こったから止めた、というより拍手用に止めていました。
初日のリアクションをみてそうしたのかもしれないし、それが世界的スタンダードだからかもしれません。
だけど、私は前々から気になっていました。

確かにここは「拍手どころ」。拍手と演奏がかぶってしまうとよくないのはわかります。

特に「オシアンの歌」はテノール最大の聴かせどころです。
拍手はもちろんわかる!
……んですが、「オシアンの歌」はその後の音楽を考えても、切らないで欲しいなと思ってしまうのです。
ハープのアルペジオが続いて、シャルロットが返して、ウェルテルがたたみかけて、二人の思いが最高潮に達する大事な場面。
ドラマがブチッと切れてしまうようで。

オペラという総合舞台芸術。それぞれ楽しみ方がありますが、私は、演奏(歌)より、ドラマと音楽を重視したい派である、ということを自覚したのでありました。


R―1ぐらんぷり2019&「3年A組」最終回

2019-03-12 23:01:52 | 日記
霜降り明星・粗品がR―1制覇でM−1と史上初の2冠達成…R―1ぐらんぷり2019決勝

毎年書いているR-1ぐらんぷりについて。
今年は霜降り明星の粗品が史上初の二冠、また史上最年少で優勝しました。

フリップ芸は全く新しくないし、私はあまり好きじゃないのですが、粗品は確かに発想もいいし、何より勢いがありましたね。

ただ決勝に残った3人がすべて本来コンビ芸人というのが残念。
確かにR-1ぐらんぷりは「ひとり芸人」ではなく「ひとり芸」の大会なので仕方ないのですが。
ピン芸人に頑張ってもらいたい。

しつこいようだけど、私が好きなのは、マツモトクラブ。
今年も復活ステージから本戦に出てきたのは、「さすが」です♪



『3年A組』最終回 永野芽郁ら生徒、菅田将暉を救う姿にネット涙(ネタバレあり)


同じ日に放送された「3年A組」最終回。
「今日から俺は!!」ほどハマったワケではないけど、全回面白く見ました。
菅田将暉演じる一颯先生の、毎回生徒に向けられる熱い言葉。
まさしく現代の金八先生。

SNSに限らず、自分のごく狭い世界の中で、その先のことを考えず、目先の楽しみや感情だけで動く人が多すぎる、と日々感じていたので、一颯先生の言葉に深く共感します。

このドラマで「真犯人」とされたSNSの怖さ。

私は遅筆だし、メールでもある程度推敲してから送るようにしています。
でも、電車の中でLINEしている若い子を見ると、パッと打ってパッと送信してすぐ別の人の画面にしてまたパパッと打って、という感じで、「これでいいかな」と確認もせず送っている。

文字は、言葉で言うのと違って、形に残る。
下手なこと打って、スクショ撮られて拡散されるってことがあり得る世の中なのに。
特にニュアンスが伝わらない=受け手の気持ち次第となる「文字だけの言葉」は難しい。

「Let's think!」

若い世代に限らず、現代人すべてに言えることだけど、特に今の十代の子たちは、小さい頃からスマホがあって、SNSでの迅速かつ一様性の高い関係性が当たり前になっている。
流れやフンイキを重視し、簡単に発信することに抵抗がないのでしょう。

でも、このドラマを見て、少しでも多くの人が「これを送ることで及ぼす影響」まで考えてから発信するようになればいいなと思うのです。

びわ湖ホールプロデュースオペラ 「ジークフリート」 その2

2019-03-09 00:38:05 | 日記
(続きです)

ブリュンヒルデ。
2日めのステファニー・ミュターは力強い声で大きな印象を与えたけど、やはり池田香織さんが良かった。深みのある声で、舞台姿も美しい。
目覚めてからなかなかジークフリートを見なかったのだけど、目覚めさせてくれたのが生まれる前から愛していたジークフリートだったことが重要で、その見てくれはどうでも良いということなのかしら。
起こしに来たのがジークフリートだったという喜びを池田ブリュンヒルデは見事に表現されてました。
でも、見た瞬間、『まあ、ずいぶん大きくなったのね』と思わなかったかしら、と思ってしまった(^_^;)

ヴォータンは、初日の青山さんが、理想のヴォータン声で素晴らしかったです。
2日めのユルゲン・リンは、老獪さも感じられ、ジークフリートのおじいちゃんである「さすらい人」として総合的にぴったりでした。

ミーメは初日のトルステン・ホフマンは、キャラクターテノールとしてはパンチが足りないかなと思いましたが、演技・風貌にミーメらしかったです。
2日めの高橋淳さんは、こういう役を嬉々として演じているのがわかります。うまい!
ミーメの最期ですが、ヴォータンとのやりとりを考えたら、「そうだろうな」という殺され方でした。

小人のはずのアルベリヒのお二人、町英和さん、大山大輔さんは、(ミーメの高橋さんもだけど)本来背が高いので、メイクと扮装で表現していたものの、かっこよすぎるアルベリヒでした。声は大山さんのほうが役に合ってたかな。
ちなみに、日本最高のアルベリヒは、島村武男さんだと私は思ってます。

エルダの竹本節子さん、八木寿子さん共に良かった。衣装も素敵。

ファーフナーも伊藤貴之さん、斉木健詞さん共に良かったです。特に伊藤さんは初めて聴いたので、他の役で観聴きしてみたいと思いました。

森の小鳥の吉川日奈子さんもイメージ通りの声で良かったです。

葦笛の東口佐和子さん(パンフレットと、オケが舞台に向けて掲げたというメッセージより推察)、角笛の福川伸陽さん(N響)、熊の小嶋卓也さんもカーテンコールに登場しましたが、みなさんブラボー! です。

沼尻竜典さん指揮京都市交響楽団も安心の演奏。
本当に総合的にとても楽しめました。

それにしても、こんな豪華な公演を1日ずつ2日間の公演で終わってしまうなんてやっぱりもったいない!
せめて2日ずつあれば、特にノートゥング鍛造の場面の演技面ももっとこなれたことでしょう。

(2日連続で観たにも関わらず、用事があって、ワークショップは聴けませんでした。残念)
※ 外国人の方は敬称略させていただきました。



ロビーから見た琵琶湖



某所で遭遇し、書いていただきました♪