約1年ぶりの新国立劇場の主催公演鑑賞です(2月9日鑑賞)。
アンドレアス・ホモキのこのプロダクションは何度も上演されていますが、私は初めて観ました。
(自分でもびっくり)
これだけ何回も上演されるのは、シンプルなセットで低予算ということもあるのかな?
どの席からも死角がほぼないのはとてもいいと思います。
影の使い方や舞台前方の、いわゆる装置の箱の外の使い方など、「なるほど」と思うところはあり、興味深くはありましたが、これは「上級編の演出」という気がしました。
多くの観客はこのオペラを「何度も」か「何度か」は観ていてストーリーを知っていると思いますが、初心者にはわかりにくいのでは?
装置(セット)が段ボール箱のみで、「隠れてるのか見えているのかわからない」というようなところもあり、ドタバタしているわりに笑えないというか。
(コメディは、「わかっていても笑いたい」タイプなので)
ソーシャルディスタンスの関係で今回変わったところもあるのかも知れませんが。
第一幕のケルビーノが隠れるシーン、伯爵が見つけるところがまず笑いどころだけど、ちょっと無理があったし。
それと字幕。
原語上演なら字幕+演技で笑わせるところは笑わせられるはずなのに、少なかった。
字幕はずいぶんはしょってるなという印象。
それに、プログラムには「初夜権」と書いてあるのに字幕では「領主権」となっている。領主権ってどういう権利か少々わかりにくい。
U-25のお客さんを意識して? など、色々な制限はあるのでしょうが。
私は以前書いたウィーン国立歌劇場の来日公演をテレビで観たのが人生初フィガロだったので、それがベースになっています。
https://blog.goo.ne.jp/aokohime/e/7b0ed672100e71840f09eade619ef280
とてもオーソドックス、古典的と言ってもいい演出でした(ヘルゲ・トマ演出)。
今でも忘れられないのが、第二幕、出てくるのがケルビーノだと思ったのにスザンナが出て来た時の伯爵夫人(ヤノヴィッツ)の、驚きをごまかしたリアクション。面白かった!
考えてみれば当時は劇場での字幕もなかったので(イヤホンガイドみたいのはあったかも知れないけど)、同じ時の来日公演の「セヴィリアの理髪師」にしても、場内から笑いが結構起きていたので、「見せて笑わせ」ていたのはすごことだなと改めて思いました。
歌手の方々も何度となく歌っていて「こなれて」いたのでしょう。
その後邦人による公演は数々観ましたが、私が印象に残っているのは、バス歌手の池田直樹さん演出による公演です。
具体的にどこがどうだったとは言えないのですが、非常に無理のない自然な演出で、歌い手さんならではの視点というか、演じていて感じた不自然な点を解消したのかも、と思った記憶があります。
可能ならもう一度観てみたい。
で、今回の公演ですが、歌手陣は素晴らしかったです。
まず外人男性お二人。
お二人とも背が高い! 脚が長い! スタイル良い!
フィガロのダリオ・ソラーリはトスカのスカルピアで来日しており、急遽連投で登板、とのことでした。
えー、こんなスカルピアならいいじゃん一晩くらいトスカ!
と思ってしまいました♪
伯爵のヴィート・ブリアンテは、イタリア人らしい色気で好色な伯爵にぴったりでした。
日本で歌って下さってありがとう!
どうか帰国されてもお元気で!
日本人のみなさんも良かったです。
スザンナの臼木あいさんは、おきゃんというか少々蓮っ葉にも見えるこのプロダクションのスザンナを好演。
伯爵夫人の大隅智佳子さんは、確か私は、東京オペラプロデュース公演のワーグナーの「妖精」以来かと……。こちらも急遽の出演だったそうですが、声も役に合っていました。
(日本人のブロンドに違和感がなくなってきたのは、ひょっとしてローランドのせい?)
そして一際大きな拍手を浴びていたケルビーノの脇園彩さん。歌だけでなく容姿、演技も文句なく世界レベルですね。
“少年”というより立派な“ドンファン”でした。
バルトロ&マルチェリーナペアも流石。
竹本節子さんは、東京シティフィルやびわ湖のエルダが印象的で、好きな歌い手さんです。
そして妻屋秀和さん。まるで追っかけをしているように、私が観る作品への登場率が高いですが、それだけバスの第一人者ということでしょう。サービス精神も◎。
また、バルバリーナの吉原圭子さんも良かった。そのうちスザンナに昇格しそう。
考えてみれば一年前の「セビリア……」でロジーナを歌った脇園さんがケルビーノ、そして昨年バジリオだった妻屋秀和さんがバルトロ。
感慨深いです。
演奏は東京交響楽団を、こちらも代打・沼尻竜典さんが指揮しました。
日本人率が高くなりましたが、決してレベルは下がっていませんでした。
世界ではまだまだオペラが上演出来ないでいる国も多いようです。
そんな中、オペラを観られる幸せを感じました。
次の「ワルキューレ」もキャスト変更が発表され、残念ではありますが、仕方ないですね。
早く感染拡大が収まって、安心出来る世の中になりますように。
アンドレアス・ホモキのこのプロダクションは何度も上演されていますが、私は初めて観ました。
(自分でもびっくり)
これだけ何回も上演されるのは、シンプルなセットで低予算ということもあるのかな?
どの席からも死角がほぼないのはとてもいいと思います。
影の使い方や舞台前方の、いわゆる装置の箱の外の使い方など、「なるほど」と思うところはあり、興味深くはありましたが、これは「上級編の演出」という気がしました。
多くの観客はこのオペラを「何度も」か「何度か」は観ていてストーリーを知っていると思いますが、初心者にはわかりにくいのでは?
装置(セット)が段ボール箱のみで、「隠れてるのか見えているのかわからない」というようなところもあり、ドタバタしているわりに笑えないというか。
(コメディは、「わかっていても笑いたい」タイプなので)
ソーシャルディスタンスの関係で今回変わったところもあるのかも知れませんが。
第一幕のケルビーノが隠れるシーン、伯爵が見つけるところがまず笑いどころだけど、ちょっと無理があったし。
それと字幕。
原語上演なら字幕+演技で笑わせるところは笑わせられるはずなのに、少なかった。
字幕はずいぶんはしょってるなという印象。
それに、プログラムには「初夜権」と書いてあるのに字幕では「領主権」となっている。領主権ってどういう権利か少々わかりにくい。
U-25のお客さんを意識して? など、色々な制限はあるのでしょうが。
私は以前書いたウィーン国立歌劇場の来日公演をテレビで観たのが人生初フィガロだったので、それがベースになっています。
https://blog.goo.ne.jp/aokohime/e/7b0ed672100e71840f09eade619ef280
とてもオーソドックス、古典的と言ってもいい演出でした(ヘルゲ・トマ演出)。
今でも忘れられないのが、第二幕、出てくるのがケルビーノだと思ったのにスザンナが出て来た時の伯爵夫人(ヤノヴィッツ)の、驚きをごまかしたリアクション。面白かった!
考えてみれば当時は劇場での字幕もなかったので(イヤホンガイドみたいのはあったかも知れないけど)、同じ時の来日公演の「セヴィリアの理髪師」にしても、場内から笑いが結構起きていたので、「見せて笑わせ」ていたのはすごことだなと改めて思いました。
歌手の方々も何度となく歌っていて「こなれて」いたのでしょう。
その後邦人による公演は数々観ましたが、私が印象に残っているのは、バス歌手の池田直樹さん演出による公演です。
具体的にどこがどうだったとは言えないのですが、非常に無理のない自然な演出で、歌い手さんならではの視点というか、演じていて感じた不自然な点を解消したのかも、と思った記憶があります。
可能ならもう一度観てみたい。
で、今回の公演ですが、歌手陣は素晴らしかったです。
まず外人男性お二人。
お二人とも背が高い! 脚が長い! スタイル良い!
フィガロのダリオ・ソラーリはトスカのスカルピアで来日しており、急遽連投で登板、とのことでした。
えー、こんなスカルピアならいいじゃん一晩くらいトスカ!
と思ってしまいました♪
伯爵のヴィート・ブリアンテは、イタリア人らしい色気で好色な伯爵にぴったりでした。
日本で歌って下さってありがとう!
どうか帰国されてもお元気で!
日本人のみなさんも良かったです。
スザンナの臼木あいさんは、おきゃんというか少々蓮っ葉にも見えるこのプロダクションのスザンナを好演。
伯爵夫人の大隅智佳子さんは、確か私は、東京オペラプロデュース公演のワーグナーの「妖精」以来かと……。こちらも急遽の出演だったそうですが、声も役に合っていました。
(日本人のブロンドに違和感がなくなってきたのは、ひょっとしてローランドのせい?)
そして一際大きな拍手を浴びていたケルビーノの脇園彩さん。歌だけでなく容姿、演技も文句なく世界レベルですね。
“少年”というより立派な“ドンファン”でした。
バルトロ&マルチェリーナペアも流石。
竹本節子さんは、東京シティフィルやびわ湖のエルダが印象的で、好きな歌い手さんです。
そして妻屋秀和さん。まるで追っかけをしているように、私が観る作品への登場率が高いですが、それだけバスの第一人者ということでしょう。サービス精神も◎。
また、バルバリーナの吉原圭子さんも良かった。そのうちスザンナに昇格しそう。
考えてみれば一年前の「セビリア……」でロジーナを歌った脇園さんがケルビーノ、そして昨年バジリオだった妻屋秀和さんがバルトロ。
感慨深いです。
演奏は東京交響楽団を、こちらも代打・沼尻竜典さんが指揮しました。
日本人率が高くなりましたが、決してレベルは下がっていませんでした。
世界ではまだまだオペラが上演出来ないでいる国も多いようです。
そんな中、オペラを観られる幸せを感じました。
次の「ワルキューレ」もキャスト変更が発表され、残念ではありますが、仕方ないですね。
早く感染拡大が収まって、安心出来る世の中になりますように。