長島 潤 Sing a mindscape

jun nagashima singer-songwriter

石坂洋次郎「山と川のある町」

2023-10-16 15:21:00 | 

再読のための覚え書き


山と川のある町

石坂洋次郎(1900-1986)


東北の田舎町。

資産家の娘早川のぶ子は、才色兼備の女学生。旧態依然とした父と母の関係に、事あるごとに反発する。


そんなのぶ子は、通っている高校の教師八木敬助に惹かれつつある。その一方、敬助は、同僚の妻みね子に淡い気持ちを抱いているが……。


大人びて賢しいのぶ子が発する、歯に衣着せぬ言葉の数々がおもしろい。



2023.10.15読了


新潮文庫

昭和33年2月5日初版発行

昭和41年6月15日15刷


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平林たい子「私は生きる」

2023-10-16 15:20:00 | 

再読のための覚え書き


私は生きる

平林たい子(1905-1972)


表題作の「私は生きる」の他、「こういう女」、「鬼子母神」、「人生実験」を併録。


「私は生きる」は、腹膜炎で入院していた元活動家の「私」が社会主義運動で連行された話を綴った「こういう女」の後日譚。


家で療養中の「私」を看病する夫に対してわがまま放題を言い、夫から「俺に気の毒だという気持ちは起こらないのか」と言われるも、「起こらないわ。人は病気にかかったら治す権利があるんだわ。仕方ないわ」と言い返す「私」の凄まじさを描く。



2023.10.7読了


私は生きる

角川文庫

昭和27年2月25日初版発行

昭和42年9月30日24刷

旧仮名遣い


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ラーゲルレーフ「幻の馬車」

2023-10-16 15:19:00 | 

再読のための覚え書き


幻の馬車

セルマ・ラーゲルレーフ(1858-1940)

山室静訳


大晦日の夜、結核に罹患したダビッド・ホルムは、喀血して死に瀕しながら思い出す。


それは、「大晦日の12時の鐘の前に死んだ者は、1年間、死神の馬車の御者にならなければならない」という言い伝えだった。


そしてダビッドの耳に聞こえてきたのは、近づいてくる馬車の音だった……。



2023.10.6読了


新潮文庫

昭和26年1月10日初版発行

昭和29年10月15日15刷

旧仮名遣い


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中島敦「李陵・弟子・名人傳」

2023-10-16 15:17:00 | 

再読のための覚え書き


李陵・弟子・名人傳

中島敦(1909-1942)


《弟子》

中国の思想家の孔子と、その弟子の子路の物語。


一本気で直情型の子路は、当時思想家として高い評判を得ていた孔子の鼻を明かしてやろうと意気込み、孔子に問答をしかける。


しかし、孔子の素晴らしさに心酔した子路は、孔子の弟子となり、知恵をつけていくのだった。


子路はやがて、衛の国の蒲の地を治めることになるが、数年後に政変が起こり、主君が捕えられる。


子路は、周囲の者の制止に耳を貸さず、ひとりで主君の救出に向かうのだった……。



2023.9.27読了


李陵・弟子・名人傳

角川文庫

昭和27年2月25日初版発行

昭和42年9月30日24刷

旧仮名遣い


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椎名麟三「重き流れの中に」

2023-10-16 15:15:00 | 

再読のための覚え書き


重き流れの中に

椎名麟三(1911-1973)


表題作の他、「深夜の酒宴」、「深尾正治の手記」を併録。


いずれも、主人公は戦後の貧困の極みにあり、アパートや木賃宿の狭い世界の中で、物語が観念的に進んでいく。


「明日、それは人間のつくった言葉のなかで最高なものだ。しかしこれほど虚偽にみちた言葉はないのだが。それでもやはり明日はいい。ことに明日の天気のことを考えるのは全く素晴らしい。」(重き流れの中に)



2023.9.24読了


重き流れの中に

新潮文庫

昭和25年7月25日初版発行

昭和52年1月30日38刷


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