長島 潤 Sing a mindscape

jun nagashima singer-songwriter

シュニッツラー「輪舞」

2023-05-25 00:33:00 | 

再読のための覚え書き


輪舞

アルトゥル・シュニッツラー(1862-1931

高橋健二訳


10人の登場人物による、それぞれの情事の前後の会話を綴った戯曲。


登場するのは、夜の女、兵士、小間使い、若だんな、若奥さま、夫、おぼこ娘、詩人、女優、伯爵。


夜の女が兵士と、兵士が小間使いと、小間使いが若だんなと……という具合に順繰りに出てきては睦言を繰り広げる。


性愛の駆け引きでさえ、それぞれの立場に囚われている哀しさがおもしろい。



2023.5.24読了


輪舞

新潮文庫

昭和27920日初版発行

昭和2711202

旧字新仮名遣い


# #読書 #文学 #文庫 #シュニッツラー #輪舞






石川達三「日蔭の村」

2023-05-23 01:54:00 | 

再読のための覚え書き


日蔭の村

石川達三(1905-1985


「蒼氓」に次ぐ、史実に基づいたルポルタージュ的群像劇。東京の水瓶である奥多摩湖の成り立ちを描いた作品。


昭和初期、東京の利水を目的として、小河内ダム(奥多摩湖)の建設計画が持ち上がった。


そのために、小河内村は湖底に水没、村民たちは移転の補償を受ける約束なのだが、東京と神奈川による水利権の争いが起こり、工事は進まない。


宙ぶらりんとなった建設計画の中で、農民たちは畑作ができず困窮し、疲弊してゆく……


「僕は自分ひとりでこの村に日蔭の村という名をつけているんです。つまり東京という大都市が発展して行く、すると大木の日蔭にある草が枯れて行くように小河内は発展する東京の犠牲になって枯れて行くのです。山の日蔭にある間はまだよかった。都会の日蔭になってしまうと村はもう駄目なんです」



2023.5.22読了


日蔭の村

新潮文庫

昭和23630日初版発行

昭和3272713

旧仮名遣い


# #読書 #文学 #文庫 #石川達三 #日蔭の村






ホフマン「ホフマン短篇集」

2023-05-21 19:45:00 | 

再読のための覚え書き


ホフマン短篇集

エルンスト・テオドール・アマデウス・ホフマン(1776-1822

池内紀訳


《砂男》

人形に恋をする男を題材にしたバレエの「コッペリア」は、この作品にヒントを得たもの。


学生ナタナエルには、幼児期からのトラウマがあった。それは、砂男が自分の目に砂をかけて眼球を奪っていくという妄想だった。


ナタナエルは、望遠鏡を売りつけに来る男を砂男と怪しみ恐れていたが、ある日、その望遠鏡で向かいの教授の家を覗くと、教授の娘オリンピアの姿があった。


ナタナエルは美しいオリンピアに心奪われてゆくのだが……


「クレスペル顧問官」「G町のジェズイット教会」「ファールンの鉱山」「砂男」「廃屋」「隅の窓」の6編の短編集で、いずれも怪奇譚。



2023.5.20読了


ホフマン短篇集

岩波文庫

1984917日初版発行


# #読書 #文学 #文庫 #ホフマン #ホフマン短篇集






岸田國士「泉」

2023-05-19 09:46:00 | 

再読のための覚え書き


岸田國士(1890-1954


浅間山麓は曽根部落の水源地問題をめぐり、土地の若者たちと別荘地開発業者の間で、争いが起きていた。


若い植物学者の幾島暁太郎は、部落に別荘地を持つ立花伯爵の美しい秘書、斎木素子に思いを寄せている。


暁太郎は水源地問題に関し、新たな水源地を発見することで、両者の争いの解決ができると提案。


暁太郎は、素子に気持ちを告白するも受けいられず、東京を去る決意をする。


一方素子は、やがて開発業者の社長秘書となり、暁太郎がした提案を現実化しようと試みるのだが……


2023.5.17読了


角川文庫

昭和26715日初版発行

昭和284203


# #読書 #文学 #文庫 #岸田國士 #






ガードナー「すねた娘」

2023-05-13 10:23:00 | 

再読のための覚え書き


すねた娘

ES・ガードナー(1889-1970

鮎川信夫訳


弁護士ペリー・メイスンの事務所に、若い女性の依頼人が来た。


そのフランシス・フラン嬢は、亡くなった父親の莫大な遺産を相続する予定なのだが、父親の遺言は、「もし25歳までに結婚したなら、多額が慈善事業に寄付される」、「遺産を管理する叔父に、その自由裁量の権利がある」ということ。


25歳まで結婚を待てないフランシスは、結婚しても遺産を受け取れるようメイスンに依頼するが、しばらくして叔父が殺されてしまう。


そして、その現場にフランシスとその婚約者がいたという目撃者が現れた……



2023.5.12読了


すねた娘

角川文庫

昭和36615日初版発行


# #読書 #文学 #文庫 #ガードナー #すねた娘