再読のための覚え書き
田舎教師
田山花袋(1872-1930)
中卒の林清三は、貧困のために進学できず、埼玉県弥勒の小学校の教員になった。
周りの友人たちのようにいずれは東京に出たいという夢を抱いていたが、生活に追われ、やがて自暴自棄になってゆく。
「成功不成功は人格の上になんの価値もない。人は多くそうした標準で価値をつけるが、私はそういう標準よりも理想や趣味の標準で価値をつけるのがほんとうだと思う。乞食にも立派な人格があるかもしれぬ」
・・・・・・・・・・・・
登場人物の多くは実在の人物であるモデル小説。
埼玉の田舎町の風物や生活の音の描写の美しさが通奏低音になり、主人公の挫折や焦燥をより哀しいものにしている感じがした。
2022.10.30読了
田舎教師
新潮文庫
昭和27年8月15日初版発行
昭和40年10月10日41刷
旧仮名遣い
#本 #読書 #文学 #文庫 #田山花袋 #田舎教師