再読のための覚え書き
善魔
岸田國士(1890-1954)
政治家北浦剛の妻、伊都子が失踪した。
T新報社社会部の記者三国連太郎は、上司の中沼茂生から、伊都子の居所を突き止めるよう命じられる。
伊都子はかつて中沼が憧れた女性で、失踪は夫との離婚を望んでの家出だった。
伊都子を探し当てた三国連太郎は、伊都子の家族や、中沼と伊都子の関係に関わってゆくことになるのだが……。
「「悪」に対する「善」というものはあっても、人間の善性はもともと、自らを守ることがせいいっぱいで、決して、進んで「悪」に戦いを挑み、その喉笛を締めるというようなことはしないものだ。それゆえ……いわば、「悪」がその本来のすがたのなかにもっているようなしぶとさ、たくらみ、闘志、苛酷さを必要とする」
2023.12.7読了
善魔
角川文庫
昭和32年8月15日初版発行
昭和33年8月20日再版
旧仮名遣い
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