三日月ノート

日々の出来事を気ままに。

ルーツの力

2018年01月14日 11時20分24秒 | 宗教

昨日、白百合女子大学で開催されたカトリック宗教講座へ参加してきました。

目的は、演題もさることながら、その昔、とてもお世話になった司祭が講師だったので・・・。
お元気そうで、語り口も昔と変わらず、懐かしいような嬉しいような気持ちで聞いていました。

演題は新渡戸稲造の生涯に沿って、現代の日本社会の抱える問題について、新渡戸氏の著書「Bishido, the soul of Japan」と教皇フランシスコの言葉を引用しながら語られました。

特に昨年の12月に上智大学の学生と教皇とをビデオ中継で結んだ対話での多くの事柄のうち、以下のようなやりとりを紹介されました。

学生:今日の若者に対する心配と希望について
教皇:若者が文化や、歴史、家族、人類のルーツや記憶を忘れ、根の無い成長できない人間となることを憂慮している。若者は常に動きまわり目的に向かって歩んでいるが、ルーツにしっかりとつながることで現状の課題と向かい合うことができるだろう。

学生:日本の印象
教皇:日本人は理想や深い宗教性を持ち、働き者であると同時に、大変苦しんだ民族だ。日本の過度な競争社会やとどまることのない消費主義、実力主義が、この国が本来持っている大きな力と理想を害し削いでしまう恐れがあるだろう。

講座では、自分が意識している部分だけではなく、意識しない隠れているもの(ここではルーツという言葉が使われていましたが)に目を向ける、気付くことなくしては本当の力は出てこないのではないか、と話されました。

自分が生まれ育った家庭、幼少期の環境、先祖から受け継いでいるものなど、確かに深く知ろうとする事は少ない気がします。

他方、他国の人たちと話をする機会があると、自分たちが背負っている歴史上の責任、現在直面している問題など、場当たり的ではなく血肉となっている思考から発生している意見だなぁと感じることが多くあります。

人それぞれ考え方や持っている意見は多様だと思います。
しかし、それが根拠のない上辺だけのものだとしたら、それは未来に向けて力強く成長していく「力」にはなり得ないのでしょう。

個人としての人生をどう生きるかということを見いだすために自分自身と向き合うこと、この社会をよりよくしていくために過去の歴史を知ること。

この気持ちに気付いているかどうかだけでも、未来は変わっていくのだろうな、そんなことを感じました。





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