かつてドラッグ中毒、摂食障害だった著者が、どうやって今の仕事(行動専門家)になったのかということが自伝的に書かれています。
また、ノラだった自分の飼い猫が闘病生活を送り、最後に安楽死をさせるに至る部分は、自分も猫と一緒に暮らしているのでとても他人事とは思えませんでした。
家族同然のペットが治らない病気になってしまったり怪我をしたりした時、その治療は実はペットにとっては苦痛を長引かせるだけのものではないのか?もう苦しみしか残っていないのに治療をする意味はあるのか?そんなとき、安楽死という選択をしていいのか?
人間の終末期医療の議論の中でも必ず出てくる問いだとは思いますが、人間と決定的に違うのは、動物たちは言葉で意思を伝えることが一切できないこと。飼い主の選択が動物たちの側の選択に直結してしまうことです。
この本の中で著者は常に、理論や過去の経験をその目の前にいる「彼/彼女」に当てはめようとするのではなく、常に「彼/彼女」たちが、何が不満で何に怯え、何を望んでいるのかを「感じ取ろう」としています。
溢れる情報を受け取るうちに、何が本当で何が違うのかがわからなくなったりする事はとても多いと思います。
もちろんそこには大多数に当てはまる「正解」もあります。
でも、最後は「どうして欲しいのか」を感じ取る「感性」を飼い主が磨いておくことが一番大切なんだと思わせられる本でした。