今日は楽しみにしていたオペラ『サロメ』を観に、新国立劇場へ行ってきました。
前回の『サムソンとデリラ』はコンサートオペラだったのに対し、今回は一般に言われる「オペラ」だったので、舞台芸術も含めて堪能することができました。
席は2階中央部の2列目。
東京芸術劇場では字幕が舞台上部だったので今回もそうかと思いきや、左右縦長の字幕だったので、少々読みにくかったです。
この配置だと座席は若干、左右どちらか寄りがいいのかもしれません。
さて、私の場合、オペラはおろかオーケストラについてもド素人なので、素人なりに感じたことを書き留めておきたいと思います。
舞台は暗く仄かな明かりの中で、これから始まる「出来事」を暗示するような、美しく緊張感のある旋律から始まります。
ストーリーは聖書をモチーフとしているため、細かい部分の演出を理解するためにはある程度聖書の知識があったほうが楽しめるのでは?と思います。
全体を通してドロドロした人間の欲望が絡み合うように物語が進んでいきます。
中には「猟奇的」「醜悪」と思われるようなシーンがあるにもかかわらず、音楽と舞台照明によってうっとるするような美しさを感じます。
そもそも「悪」とか「罪」とかいうような人間の闇の部分というものは、美と紙一重であると個人的に思っています。
そうった意味で、この『サロメ』で表現されている醜さやエロティックさは非常に美しいと言えるでしょう。
上手く言えませんが、ホラー映画の「美」と何か共通するものを感じます。
オペラもいろいろな舞台同様、ソリストやオーケストラとが融合して一つの舞台が出来上がり、同じ演目であってもメンバーが違えば印象はかなり違ったものに仕上がると聞きました。
そして、前回含めオペラを観に行って思ったのは、こういう「舞台」というのは、観客はただ単に観るだけではなく、観客も実は舞台の完成の1片を担っているんだなぁということでした。
今回とても残念だったのは、舞台が終わってキャストが舞台上に現れる場面で、すでに席を立って帰る人がいたことです。
面白くなくて拍手もしたくない、というのならいいと思います。それが正直な観客の感想ですから。
でも、舞台を楽しんだのならどうして最後までその舞台を見せてくれた出演者に拍手ができないのでしょう?
非難するというよりは、理解ができないというのに近い思いを抱きました。
自分なら感動したら思い切り彼らに拍手でその気持ちを伝えたいと思うので・・・。もったいないなぁという思いもあります。
ま、いろんな人がいるということですね。
ところで『サロメ』はyoutubeでも観られるようですね。近いうちに観てみたいと思います。
最後に・・・あの、「♪サ~ロミ~(←「メ」ではない!)」と何度も繰り返されるフレーズがたまらなく好きになりました!(笑)
<サロメ/リヒャルト・シュトラウス>
サロメ:カミッラ・ニールント
ヘロデ:クリスティアン・フランツ
ヘロディアス:ハンナ・シュヴァルツ
ヨハナーン:グリア・グリムスレイ
管弦楽:東京交響楽団