真夜中のカップらーめん

作家・政治史研究家、瀧澤中の雑感、新刊情報など。

菅直人は、誰にも見えない

2011-03-23 23:01:53 | Weblog
再び、某テレビCMの改作。

「菅直人」はだれにも見えないけれど、「自衛隊や警察や消防や現地の活躍」は見える
「思いやり」は全然見えないけれど、「思い」だけは毎日聞かされる

民主党を支持する知人から、
「蓮舫大臣も枝野官房長官も、一所懸命やってるじゃないか。
なにがいけないっていうんだ?」
と聞かれたので、

「大臣が大臣の仕事をしていない」

と答えておいた。

彼らは、毎日入ってくる情報を懸命に精査し、国民に報告し、訴える。
たしかに一所懸命だ。それは認めよう。
だが、官房長官の役割は、役所の課長や報道官のそれではない。
全体を把握し、適切に各閣僚に指示をし、時には政治決断を行うのが仕事だ。

節電を呼び掛けるのも、買占めを叱るのも、ナイターをやるなと言うのも結構だ。
しかし、例えば節電呼び掛けなどは、完全に「東電目線」ではないか。
どうして東電のやる仕事を大臣がやっているのだ?

では、大臣の仕事とは何か。
それは、集まってきた事象を部下に分析させ、上がって来た精度の高い情報を基に、改善策を

「政策として実現・実行すること」

にある。東電と一緒に節約をお願いするのは大臣の仕事ではない。

東電は、「電力が足りない。節電をお願いし、足りなければ大停電を避けるために、計画停電を行いたい」、と言う。
役所は、「それじゃあ、法的にうまくいくよう調整しよう」、とする。
大臣は、
(1)節電・計画停電はやむを得ないが、影響を最小限にとどめ、不公平にならぬよう気配りし、
(2)いつまで続くのか算定させ、
(3)とりあえず直近で、電力事情を改善するためにどんな知恵(政策)があるのか考え、
(4)将来計画停電をせずに済む仕組みを検討し、国民に示して安心させ、
(5)これらをスピーディーに発表・実現する。

農家に対する補償もそうだ。
東電で足りない分を政府が補償するというが、誰が、いつ、どんな基準で、いくら、いつまでに、どんな形で支払うのか。
まったく決まっていないのに、「補償する」という口約束だけが農相から出る。

民主党は、党首が選挙で公に約束した
「沖縄の米軍基地は国外か最低でも県外」ということも、
「マニフェストに書いていないから、党の公約ではない」
と、堂々と主張できる政党だから、国民や農民は怖いのだ。
「また口先だけではないのか」、と。

少なくとも、
「まず現状、農家が破たんしないよう緊急にこれだけお金を出します。農家の方は安心して、残念ではありますが農産物を処分して下さい」
と、なぜ大臣は声を発しないのか。
まずは農家を安心させることこそ、役人には出来ない政治決断ではないのか。
農家できちんと処理されていれば、市場に出ている農畜産物はとりあえず安心だと、国民は思えるのではなかろうか。

さて。

いろいろな大臣たちが不思議な仕事の仕方をしているが、内閣の中でいちばん不思議なのは、総理大臣である。
まったく姿を見せない。
「(首相は)慌ただしく過ごしている。表に見える形で動くことがリーダーシップとして効果的な場合もあるが、多くの場合は、必ずしも目に見えるものではない」
とは、官房長官の弁。しかし、これは詭弁だ。

アメリカでは、危機が大きければ大きいほど大統領は国民に語りかけ、記者からの容赦ない質問に答える。厳しい質問に答える姿を見て、国民は安心をする。
「任せても大丈夫だ」、と。

菅氏は、
「東京電力との統合本部と連絡を取り、指示を出していることが多い」
そうだが、それは総理がやることだろうか?

防災担当大臣か、忙しいのなら、官房副長官クラスの仕事ではないのか???

まだ避難先に落ち着くこともできない人がたくさんいて、
多くのご遺体をどうするのかさえ決まっていない今、
菅氏が出て来て、
「一致団結!今こそ新しい国づくりを!!」
と叫ばれるよりは、官邸に閉じこもっていてもらった方が、たしかに腹は立たないが。

うーん、「菅直人は誰にも見えない」のが良いのかぁ……。

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