鮎川玲治の閑話休題。

趣味人と書いてオタクと読む鮎川が自分の好きな歴史や軍事やサブカルチャーなどに関してあれこれ下らない事を書き綴ります。

埋もれた軍歌・その15 錦旗党行進曲

2013-04-21 00:09:10 | 軍歌
随分と久しぶりの更新となりましたが、今回ご紹介する歌は正確には軍歌ではありません。戦前の右翼政党?の歌です。
遠藤友四郎という人物が1927年に結成した錦旗会という団体の歌なんですが、この錦旗会というのはそもそもなんなのか。
ここに載っている渋川明雄氏の文章によれば、錦旗会は「熱烈なる皇室中心主義の下に錦旗を奉じての社会改造を理想とし、純国粋主義の宣伝に努めた団体」だそうです。メンバーのうち有名なのは226事件に唯一民間人として参加した渋川善助でしょう。
今回ご紹介する「錦旗党行進曲」は、錦旗会の機関誌である『日本思想』第五年八九月号に未定稿として掲載されているものです。雑誌に載ってる時点で未定稿というのもどうなんだという話ですが、実際に未定稿と書いてあるので仕方ありません。

 錦旗党行進曲(未定稿)  田尻隼人

      一
 八紘いかにすさぶとも
 これをおほひて家となし
 六合いかにひろくとも
 これを開いて都とす
 神州の道はてしなく
 てらすや錦旗の尊さよ。

      二
 いざ神州の御民われ
 ますらを、もはたをとめらも
 錦旗まもりて東西の
 文明の波こゝに統べ
 修理固成につとめつゝ
 尊き「いのち」を謳はずや。

      三
 あゝそれ時に悪魔らが
 錦旗の光さへぎりて
 わが大衆をしひたげつ
 あるは皇国にあだなさば
 わが荒魂をふり起し
 剣光一閃斬りすてむ。

      四
 大海原に波もなく
 世界平和のうま酒に
 酔ひしれびとの多からば
 奇、和魂をよび起し
 文化の園の収穫に
 高き誇りを知らしめん。

      五
 地上幾億生民の
 いのちのかての不壌(ふえ)の道
 伝ふるよ我がすめらぎの
 稜威のしるしの燦として
 輝く錦旗まもるなる
 われらが使命の偉なるかな。     (仮に『あゝ玉杯に』の譜)


やたら錦旗錦旗言ってますが、まあ題名からしてアレなので仕方ないでしょう。
この詞を作った田尻隼人は詩人で、「政経新論」顧問を務めたほか、亜細亜友之会や天中会に所属していました。1924年には沢田五郎・千家鉄麿・西川光二郎・満川亀太郎・渥美勝らと聖日本学会を結成しています。著書には「民族の河」「日向御進発」などがあります。

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