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「楡家の人びと 第2部」北杜夫

2018年01月15日 | 読書

歩かなきゃもう少し運動しなきゃと思いながら、寒いので外に出るのがおっくう。土曜日は昼寝をしたら、目がまわって気持ち悪くなったのでそのまま朝まで養生しました

動かず、机の前に座ってばかりいたら体調も悪くなりますね。体ってめんどくさい。
ああ、寒いのは苦手だ~。早く暖かくなれ~。歩かなきゃ~。動かなきゃ~。
でも、読書とお勉強は止められない~。

[北 杜夫]の楡家の人びと 第二部(新潮文庫)

【関東大震災による建物の消失、圧倒的なカリスマ性を誇った基一郎の突然の死。災いが続き衰退に向かう楡病院に、気位高く君臨する基一郎の長女・龍子、二代目院長を引き継いで病院経営と家庭の不和に悩む夫の徹吉、不幸な結婚で落ちぶれる龍子の妹たち、浮世離れした弟たち。時代は大正から昭和へ変わり、軍国主義の風潮が広がる中で、一族それぞれの運命は大きく分岐し変転する。】

楡家の人々は面白いというより、”滑稽”な人たちだ。”哀しい”人たち。というか、普通の人間はみんなそうかも。鷹揚で我が道を行く個性的な基一郎が築いた偉大な?楡病院。基一郎を崇拝する院代や長女龍子。

けれど、家族としては、バラバラで気位は高いがそれぞれに不満がいっぱい。冷たい母。龍子の夫の徹吉も次女聖子も三女桃子もみんな不幸だ。弟の欧州にしても米国にしても、都会の子、街の子。資産家の子なんだな。龍子の子ども俊一は医学よりも飛行機(戦闘機)が好きで、弟周二は気が弱い劣等生。藍子も、楡家の女たちはなぜかみんな我が強い。

女たちは愛情に飢え、男たちはひ弱なぼんぼん。ばあやがいて、やさしいのが救い。

滑稽な人たち。ユーモラスに描かれているけれど、それぞれの心情を観ればやはり憐れなというか、残念なというか、、、。

戦争の足音は大きくなるのに、人々は何の疑いもなく受け入れてしまう(田舎の人はもっと無関心だっただろうね)。情報の少なさ(新聞とニュース映画、ラジオ)なのか、教育(洗脳)なのか、娯楽の少なさなのか(まるでお祭り騒ぎ)、想像力の欠如なのか、、、それを「無知」というのか。

俊一は戦闘機マニアから愛国者へ、そして立派な軍国主義者へ。

俊一の友人城木は軍医として、真珠湾攻撃に参加する。

楡一族の物語であるとともに、第二次世界大戦に向かう社会の空気が描かれている。

今の日本の空気が、戦前の日本の空気と似ているようで恐ろしい。(キタを叩いている日米西側諸国。戦前の日本が今のキタと重なって見える)

どうしても敵を作りたがる人間。敵を作らなければ無敵(=最強)なのになあ。慈しみの心は最強なのになあ・・・

星4つ 

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