【紀元前399年春、ソクラテスは「国家公認の宗教を信じず、新手の宗教をもちこんで若者を堕落させた」かどで告発され、死刑判決を受けて投獄された。そこに親友クリトンが現れて、脱獄をすすめる説得をはじめるが・・・。】
「ソクラテスの弁明」のその後、という感じですね。
この作品も、とても読みやすい。しかも100円。
クリトンはソクラテスに死刑の判決が出たことに納得できず、脱獄を勧めますがソクラテスはそれは義に反することとして受け入れません。そしてクリトンに、法を無視して脱獄をすることは、いかに悪法であってもできないということを対話によって納得させるのです。
やはり、賢い人はちがいますね。考え方が冷静で、理性的。信念がしっかりしている。
「なんだってそんなに大衆の思わくを気にする必要があるんだい。考慮に値するのは優れた人物の思わくだけだ」
本当に優れた人とは?
(私は、優しく思いやりがあり物事を平和的に解決できる能力を持つ人だと思います。)
「ぼくはよくよく考えてみて最良だってことが明らかになった言論にしか従わない、他の要素はいっさいかえりみない」
「ぼくにはね、君を説得したうえで行動を起こすってことが重要なんだ。君が納得してくれなきゃだめなんだ」
「大切にしなきゃいけないのはただ生きることではなくよく生きること」
「義に反する行いはどうあってもけっしてしてはいけないんだ」
「たとえ義に反する仕打ちを受けても義に反する仕打ちで返しちゃいけないんだ」
「義に反する仕打ちを受けて去っていくわけだが、これはわれわれ国法による仕打ちではなく、あくまで人間たちによる仕打ちなのだ」
悪法は、手続きによって変えていくべきで、勝手に破るのは義に反するということ、ですね。
(国の法律は不完全な人間が作っているのだけど、正しい方法で変えるべきだということ)
生き方の基本ですね。
読む価値のある作品です。
星5つ
悪法によって命を落とすなんてもったいないですよね。
でも、ソクラテスはそれを善しとしているのです。
ソクラテスの言う義とは、人間世間の思わくではなく、自分の信念というか、神の言われる真理(みたいなもの?神は分かりませんが「真理」にもとづくもの、普遍のもの)を言っているのでしょう。
だから、心は平静なのですね。自分はまちがったことはしないゾということで。
つまり、人から殴られても、自分は殴り返さない、なぜなら「人を殴ってはいけない」から、ということですね。
「クリトン」は読んだことがありませんので、この本をまるで分かっていません。
ただまるちゃんの解説から感想を述べさせていただきますと、ソクラテスの生き方が良かったのか疑問に思いました。
>「義に反する行いはどうあってもけっしてしてはいけないんだ」
この本にも書かれているようですが、義は世の中の変化、国民の意識の変化で変ります。
ソクラテスほどの賢人が間違った義のもとに死を受け入れるのは後世の人間の損失だと思います。