久しぶりに、菊池寛シリーズ。短篇で、どれも読みやすい。
【譲吉は学位時代から時間を経て久しぶりに図書館に行ってみる。そこで語られる図書館をめぐる思い出を辿る。】
毎日暗い地下室で、ただ人の草履を預かり札を渡す図書館の下足番の大男。「あなたの草履はあまりに汚い。あなたの顔はよく知っている。だから下足札をあげなくてもいいだろう」などと、失礼なことを言うのでちょっとした口げんかのようになってしまった。
でも、一生この男はここでこんな生活を送るのかと、暗い生き甲斐のないその下足番の生活を哀れむ気持ちは消えなかった。
ある日、その下足番の男に声をかけられた。声も明るい。彼は閲覧券売場の仕事に「出世」していた。
人生のどんな隅にも、どんなつまらなそうな境遇にも、やっぱり望みはあるのだ。
そう思うと、譲吉は世の中というものが、今まで考えていたほど暗い陰惨なところ
ではないように思われた。彼はいつもよりも、晴々とした心持になっている自分を
見出した。
何でもないようなことだけど、これをひとつの作品にしてしまう菊池さん、さすがです。
【妻の祖母の恋物語。江戸時代末期の様子が描かれる。】
歌舞伎役者に恋をした。舞台の上で演じている人に夢中になった。でも、素のその人は少しも
好きではない、それどころか・・・
舞台の上の染之助とは、似ても似つかぬほど、卑しくて下品で、見ていられないのですよ。
こんな男が、染之助であっては堪らない・・・
染之助の美しさは、舞台の上だけのまぼろしで、本当の人間はこんなに醜いのかと思うと
私は身を切るように落胆したものですよ。
・・・そこまで言う??
若き日の祖母が見詰めていたのは、染之助ではなく、彼の演じる昔のまぼろしの人間だったのだが、
染之助はそうと思わず、自分を見詰める彼女を舞台の上から愛してしまった。(若き日の祖母はとても美しかった)
当然、染之助はフラれます
哀しいような、面白いような、気の毒なような、滑稽なような・・・
でも、現代でもありそうですね。
【大力に関して語られる力自慢の物語数編。】
まあ、すごい力持ちがあったもんだ。男も女も坊さんも、いろんな強力のお話。
昔話を聞いてるようで、楽しかった。
星4つ
菊池寛さんは大衆作家の雄と言われるだけあって、いろんな小説を書かれていますね。
この3冊のどれも読んでいません。
「出世」は、面白いと思いました。
>人生のどんな隅にも、どんなつまらなそうな境遇にも、やっぱり望みはあるのだ。
その通りですね!
ブログカテゴリーを拝見すると
とても多趣味ですね。
中でも読書記事の件数が多い~
私も本が好きなんですけど
なかなかゆっくり読む時間もつくれなく・・・
参考にさせていただきますね。
菊池寛はちょっと古いかもしれないけど、人情話が多くて(作品も比較的短くて読みやすい)好きです。
青空文庫はタダだし。^^;
いい作品がいっぱいありますよ。^^
さんはなくていいですよ~。もしくはまるさんでも^^
多趣味というか、何でもやってみたくなるというか。
記事数がまだ1、ってのもあったりするのですが・・・^^;
とりあえず、やってみなきゃわからないですからね。
読書は昔から好きで、よく読んでます。
読書は楽しいですね~。
勝手なことを書いてますが、参考にしてもらえたらとてもうれしいです。^^