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「現代日本の開化」 夏目漱石

2014年05月28日 | 読書

現代日本の開化

【明治期の文学者、夏目漱石の講演筆記。大阪朝日新聞社の依頼で関西・中国地方でおこなわれた連続講演会の二番目のもの。本文はじめに「1911(明治44)年8月和歌山において述」とある。西洋の開化が「内発的」であるのに対して、明治維新以後の日本の開化は「外発的」であることを漱石は自分自身のこととしても認識し、「出来るだけ神経衰弱に罹らない程度において、内発的に変化して行く」ことだけが消極的な対処法だという「苦い真実」を明らかにしていく。文明批判であり社会批判でもある。】(Amazon)

また夏目先生の講演を読みました。

明治の文明開化(外発的)→75~80年→太平洋戦争→戦後復興、欧米化(外発的)→戦後69年→?

何だか夏目先生のいう現代日本と、私たちの戦後日本てとても似ているような気がするんですが・・・?
 

引用しながら簡単にまとめると・・・(書き方はテキトーです^^;)

開化とは人間活力の発現の経路であると定義。その活動には2種類ある。一つは「積極的」なもので、勢力の消耗を意味する。もう一つは、「消極的」なもので、勢力の消耗をできるだけ防ごうとする。前者は活力消耗の趣向、(自分の活力を消耗して嬉しがる道楽とか。文学、科学、哲学なども入る)後者は活力節約の行動(人間生存上必要な仕事、つらい仕事はなるべく少なくしたい)とも言える。この二つの活力、活動が複雑に関係し合って開化は進んでいく。
(ふむふむ。楽しいことだけで生きていきたいけど好き勝手遊んでばかりもいられない。)

>古来何千年の労力と歳月を挙げてようやくの事現代の位置まで進んで来たのであるからして、いやしくもこの二種類の活力が上代から今に至る長い時間に工夫し得た結果として昔よりも生活が楽になっていなければならないはずであります。けれども実際はどうか?打ち明けて申せばお互いの生活ははなはだ苦しい。昔の人に対して一歩も譲らざる苦痛の下に生活しているのだと云う自覚がお互いにある。(便利になればなるほど競争が激しくなり、短時間でできるようになればなるほど仕事量は増える)

この開化は一般に生活の程度が高くなったという意味で、生存の苦痛が比較的柔らげられたという訳ではありません。
・・・ようやく今日まで発展してきたようなものの、生活の吾人の内生に与える心理的苦痛から論ずれば今も五十年前もまたは百年前も、苦しさ加減の程度は別に変わりはないかも知れないと思うのです。

これが、「開化の一大パラドックス」である。(生きること、人生は苦であるという真理ですね) 

>しかし、一般の開化と日本の開化とは事情がちがう。日本の開化は内から自然に出て発展するような内発的なもの(西洋は内発的な自然なもの)ではなく、外からおっかぶさった他の力でやむをえず一種の形式を取るものなのです。・・・今まで内発的に発展してきたのが、急に自己本位の能力を失って外から無理押しに押されて否応なしにその云う通りにしなければ立ち行かないという有様になったのであります。
(明治の話?戦後の話?似てますね~)

>開化の推移はどうしても内発的でなければ嘘だと申し上げたいのであります。
(同感です。外国からの押しつけも、一部の権力者の押しつけも同じこと。) 

私も、無理なくつぼみが花開くような、自然な流れの中でしか健全な開化はないと思います。
人間(日本人)として自然な、内発的でじっくりゆっくり時間をかけた開化が必要でしょう。
そうでない所に、ひずみや不具合が出てくる原因があるような気がします。 

「現代日本の開化は皮相上滑りの開化である・・・・・事実やむをえない、涙を呑んで上滑りに滑って行かなければならない・・・・・西洋で百年かかってようやく今日に発展した開化を日本人が十年に年期をつづめて、しかも空虚の譏(そし)りを免れるように、誰が見ても内発的であると認めるような推移をやろうとすればこれまた由々しき結果に陥るのであります」

「実に困ったと嘆息するだけで極めて悲観的の結論であります」 

そこで、
「出来るだけ神経衰弱に罹らない程度において、内発的に変化して行く」ことだけが消極的な対処法
となるわけです。
とにかく、文化というものはどこからも誰からも押しつけられない。時間をかけて自然な流れの中でよりよく変わるもの。
現実的には自分にできることをするしかないわけで、夏目先生のいうことはもっともだと思います。
悲観しても暗くなってもいいことは何一つない(よくない)ですから、内発的に明るく、
今できることを精一杯やるしかないですね。

それにしても、夏目漱石先生って、講演も面白いです。ファンになりそう・・・^^

星5つ 

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