Archivから出ている、『「ああ、わが心よ!」-ヘンデル・アリア集』(UCCA-1077)(メゾ・ソプラノ:マグダレナ・コジェナー、アンドレーア・マルコン指揮、ヴェニス・バロック・オーケストラ)(録音:2006年3月、トブラッハ)を聴いてみました。以前、DVDで彼女の歌う姿を見て衝撃をうけてから、お気に入りの歌手の一人になっています。ヘンデルを歌っているとは知らず、このCDを見つけて、やったー、といった感じで即買いました。カバー写真もうまく撮れており、彼女にしては珍しくやや悩ましげな表情が魅力的です。
彼女の迫真の歌唱は、鬼気迫るものがあり、いつも感動させられます。あまりにも感情が入りすぎて息が詰まって(窒息?)、血圧も上がるのではないかと、つい心配してしまう位です。このCDも、細微に至るまで神経を研ぎ澄ました、隙が無く、かつ圧倒的な表現力はすばらしいと思いました。完璧と言えるほどの歌唱力ですが、あまりにも感情が入りすぎて、ちょっと苦しげな息使いが聞こえるのが、ヘンデルの曲によってはやや重苦しく感じることもありますが、これが彼女の特徴で、魅力的な所でもあります。かの有名な歌劇《リナルド》の「私を泣くがままにさせて」を聴いても、彼女の特徴が良く出ています。ドゥ・ニースの天心爛漫な明るい歌声を聴いた後にすぐに聞き比べると、大袈裟ですがまったく違った曲にさえ聞こえます。
ヘンデルのオペラは、歌手や演奏の仕方によって、魅力が全然違ってくると言われていますが、コジェナーの歌を聴くとそのことを実感します。彼女の次の新譜のCDを期待しています。
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