ひなたぼっこねこ

のんびり のんびり
ひなたぼっこ。。。

故郷 Ⅱ

2011-03-31 16:49:16 | 


               夕方、姪が電話をくれました
               自分は大丈夫、一緒のアパートの人と車で逃げた
               ばあちゃん(私の母)は小学校の屋上
               お兄(私の甥)から連絡があったからと
               ラジオからの情報しかない中で
               とても救われた姪からの電話でした

               夜になり
               仙台のばあちゃんは?と
               泣きながら電話をしてきた娘も会社から帰って来て  
               夜、ロウソクの薄明かりの中
               電気の入っていないこたつにみんなで足を入れていると
               ほんわかぬくもりがホッとする感じがしました

               電話が鳴り
               仙台の弟の声が聞こえました
               携帯電話も繋がらず公衆電話からでした
               母は小学校の屋上へ避難
               でも小学校とは連絡がつかない
               弟はたまたまその日実家の近くに仕事に来ていて
               地震の後
               トラックの荷台に
               逃げる人達を乗せながら小学校まで運んだとの事
               甥が荷台に乗って引っ張り上げていたのかもしれません
               車で5分もかからない小学校まで
               避難する人達を乗せ2度往復し
               3度目、町に入った時
               目の前に波が見え、家が崩れていくのを見たということです
               急いで逃げ
               小学校へ行ったのでは助からないと思い
               そのままなるべく遠くへと車を走らせたそうです
               その途中にも10人以上の人達を荷台に乗せながらという事なので
               津波の映像をテレビなどで見た今
               後ろから迫ってくる津波を見ながらのその行動は
               よくやったねと思う反面
               ぞっとする気がします
               その時の弟の気持ちはどんなものだったのか
               その時まだ足が震えていると言っていました

               弟とも連絡が取れ
               後は母が無事なことを祈るだけでしたが
               10m以上の津波だとラジオから流れるなか
               小学校は河口からすぐの川沿いの土手の下
               そんな波が来たら
               屋上とはいえ、たしか2階建ての小学校
               母は本当に大丈夫でいるのか心配でした

               ラジオからの錯綜する情報
               続く余震の揺れ
               この寒さの中
               屋上にいるかもしれない母やたくさんの人達を思い
               眠れない夜の時間が過ぎて行きました            
               
           
               
                              
               

故郷 Ⅰ

2011-03-30 11:15:23 | 
          
          川沿いの土手を行くと
          左に小さな小学校
          運動会、お祭り
          夏休みには毎日のようにプールに通い
          実家に帰る度なつかしく見ていました
          学校に入る道の脇の小さなお地蔵さん
          お盆の時の灯篭流し
          町内に入っていく道の角には
          色んなものが売っているお店屋さん
          道を挟んで両側に並ぶ家々
          昔からそこに住んでいる人達
          同級生の酒屋さん
          郵便局
          友達と探検した細い路地
          幼馴染の家
          何度通っただろう
          白いガードレールのついた橋
          松林の中に小さい神社
          海の入り口には低い低い日和山
          干潟に野鳥達
          自転車であっという間に一周出来てしまう
          海まで歩いてすぐの
          小さな小さな町
          私の故郷

          その日
          息子の高校の手続きの帰り道
          お店に入っていた時にゆらゆらと
          いつも遠くで地震がある時に揺れるような
          少しめまいのするような地震の揺れ
          「大きくなるよ!」という私に
          「大丈夫だよ」という息子と入口に戻り
          二度目の揺れで外に出てしゃがみこみました
          三度目の今までとは比べようのない大きな揺れ
          「何か変だ!おかしい!気持ち悪い!」
          そんな言葉だけが
          息子に言うわけでもなく
          何度も何度も口から出ていたような気がします

          車の中で待っていた義父がラジオを聞いて
          「東北だって」という声に
          急いて母のいる仙台の実家に電話をしましたが
          何度かけても通じませんでした
          実家の近くにいる姪の携帯電話も通じません
          胸騒ぎがしました

          少し駐車場で待機し、家に戻ってみると 
          ひとりで家にいた義母と
          先に家に戻っていた主人が
          物が散乱した家の中に立っていました
          大きな水槽が壊れたので部屋の中が水浸しでした
          片付けながらラジオを聞いていると
          大津波警報が出ているということ
          実家の母がどうしたのか
          胸騒ぎはどんどん大きくなってきます
          時間が過ぎていく中で
          ラジオから家の近くの小学校の名前が出てきました
          屋上に避難している人たちが孤立しているということ
          母がその中に入っていればいい
          そう願うばかりでした