太った中年

日本男児たるもの

飼育

2010-10-17 | weblog


大江健三郎の小説で「飼育」という秀作がある。太平洋戦争が終戦する頃、ある山奥の村落に米戦闘機が墜落、生き残った黒人米兵を村人が捕虜として飼育するつー物語だ。高校時代に読んで、村人が面白いがって黒人米兵とヤギを獣姦させる内容にド胆を抜かれた記憶が鮮明にある。初期の大江健三郎はよかった。

さて奥さん、9月初旬に渡航して以来フィリピン人妻の実家に滞在しているワケだが、それは今年3月、妻が帰省して実家近くにある住宅分譲地を購入した。そこに家を建てることと同時に何らの商売を始めて経済基盤を作ることの2つが主な理由で、つまりはフィリピンへ移住して妻子と一緒に暮らすことが目的だった。

したがって家が完成するまでの数ヶ月間は大江の「飼育」の如く妻の実家で管理される運命なのである。

果たして黒人米兵のようにヤギと獣姦させられるのだろうか、期待と不安が入り混じる。

それにしても妻の実家は首都マニラより南へ500km下った風光明媚な片田舎にある漁師町。しかもその外れの集落にあるからフィリピン最大手の通信会社SMARTのエリア外でインターネットも携帯電話も不可のため音信不通になってしまった。改めて都会=便利、田舎=不便の単純な生活様式を思い知らされたのだ。

それでは以下、主たる登場人物。

jet師範(御存知マニラ在住のアジア格闘王、我がニノン=結婚したときの後見人でもある)

bibbly (もうじき50。言うまでもなく飼育される人。妻の実家ではプリンスと呼ばれている)

妻  (26歳。本人は他人に20歳だと言い張る怖ろしく気が強い女房)

娘  (1歳半。とにかくカワイイのだ)

父52(妻の父親、漁師一筋40年。性格はデリケートで神経質。昔はアル中だった)

母48(妻の母親、家でサリサリ=雑貨店経営。性格は明るく温厚でクレバー。プリンスは敬愛している)

妹23(妻の妹、ナース。2年前に会ったとは看護大学生だったから時が経つのは早い)

妹4 (妻の妹、4歳。2年前に会ったとは当然2歳だったから時が経つのは早い)

弟22(妻の弟、ドア・トゥ・ドア=宅配のドライバー)

弟19(妻の弟、未だ高校生。長い間休学していた)

フランシス君(26歳、妹23のショータ=彼氏、建築士。もうじき弟になる予定)

ライカ嬢(16歳、弟22ショータ=彼女。高校生。もうじき妹になる予定)

そんなワケでプリンスの飼育は始まった。

俄には信じがたい驚異に満ちた物語がスタートする、乞うご期待。