今朝の新聞報道によると、岡部伊都子さんが死去されたという。
もう大分前のことですが、文化勲章を受章された岡潔さんと対談した記事が新聞だったか、週刊誌だったかは忘れたのですが、写真つきて掲載された事がありました。私はその写真を見て、これこそ、これもまた非常に尊敬している岡先生には誠に気の毒だったのですが、「美女と野獣」だなと、強く印象に残ったことがありました。それ以後、私は岡部さんのフアンであり続けました。ラジオ放送などでお聴きする、岡部さんのきれいな、柔らかな京言葉の響きとともにやわらな文に魅了されどうしでした。
「優しい出逢い」という本の中から、岡部さんの一文を載せ、あわせて、ご冥福をお祈りします。
“この五月、道ばたで摘んできた一本の穂たんぽぽを、卓上に置いて、毎日チラチラ見ていました。
自然の穂たんぽぽの透かしのきれいさ、繊細さ。はじめは口でふっと吹いても、飛ばずにしっかりついていたたんぽぽの種は、花芯からあふれだすように盛りあがってきて、おのずから種を落します。こういう時、風があれば、風にのるんですね。りっぱないのちのあふれかたでしょう。
「どうして人間は、人間だけがえらいと思ってきたのかしら」”
ほのぼのとしたお優しい読んで安心感が漂うような文章でしょう。お書きになっていらっしゃる文総てに渡って、岡部さんの美しく気高い研ぎ澄まされている心がそのままに現されているように思われます。
特に、日本語の中で、句読点を、これほど巧みに使われる書き手は、岡部さんを置いて他には居ないのではないかとも思われます。
安らかにお眠りくださいませ。
もう大分前のことですが、文化勲章を受章された岡潔さんと対談した記事が新聞だったか、週刊誌だったかは忘れたのですが、写真つきて掲載された事がありました。私はその写真を見て、これこそ、これもまた非常に尊敬している岡先生には誠に気の毒だったのですが、「美女と野獣」だなと、強く印象に残ったことがありました。それ以後、私は岡部さんのフアンであり続けました。ラジオ放送などでお聴きする、岡部さんのきれいな、柔らかな京言葉の響きとともにやわらな文に魅了されどうしでした。
「優しい出逢い」という本の中から、岡部さんの一文を載せ、あわせて、ご冥福をお祈りします。
“この五月、道ばたで摘んできた一本の穂たんぽぽを、卓上に置いて、毎日チラチラ見ていました。
自然の穂たんぽぽの透かしのきれいさ、繊細さ。はじめは口でふっと吹いても、飛ばずにしっかりついていたたんぽぽの種は、花芯からあふれだすように盛りあがってきて、おのずから種を落します。こういう時、風があれば、風にのるんですね。りっぱないのちのあふれかたでしょう。
「どうして人間は、人間だけがえらいと思ってきたのかしら」”
ほのぼのとしたお優しい読んで安心感が漂うような文章でしょう。お書きになっていらっしゃる文総てに渡って、岡部さんの美しく気高い研ぎ澄まされている心がそのままに現されているように思われます。
特に、日本語の中で、句読点を、これほど巧みに使われる書き手は、岡部さんを置いて他には居ないのではないかとも思われます。
安らかにお眠りくださいませ。