台風の関係で見ることができないとあきらめていた名月が突然にやってきました。
名月と言えば、私の一番好きな句が蕪村にあります。
月天心貧しき町を通りけり
です。
何時か聞いたことがあるような懐かしい感じのする句ではないでしょうか?この「貧しい」とはどんな意味だとお思いでしょうか。私は、かって昔、随分と華やかで活気が帯びた、人がそこらじゅうにあふれた町であったのが、幾世経て、その華やかさも何時しか消え、今では誰も見向きもしないような落ちぶれたとでも言えばいいでしょうか、そんなわびしい町でもお月さまだけは、昔と変わりなく訪ねてきてくれ、黙って中天にかかって通り過ぎているのだという、蕪村独特な味わいを表している句ではないかと、私は思っています、まあ、蕪村の句の中で最もきな蕪村の一つでもあるのです。
と言うのは、そんな町が、今書いているブログの宮内なのです。毎年、決まって、名月の今夜、私はその宮内の町を逍遥い歩いています。今年は駄目かなと思っていたのですが、台風の進路がそれ我が町吉備津は絶好のお月見日和になりました。一句でもひねりにと、毎年出歩くのですが、毎年決まって
“ああ宮内は”
が落ちになっているのです。
さて。今年はいかなる句が出来ますやら。