まんじゅうのつぶやき

まんじゅうです。読んだ本の感想や日々のできごとの忘備録です。最近栖が変わりました。

「ポニーテール」重松清

2012-08-15 20:02:09 | 読書のすすめ
今日は暑かったですよね。
なのに気温は それほどたかくなかった模様。
いいような 悪いような・・・ 

さて 重松清の「ポニーテール」を読みました。

ポニーテール
重松 清
新潮社


小学四年生のフミは 六年生の姉のマキのポニーテールに憧れている。
軽やかに揺れるその髪型は いつ見てもフミを魅了するのである。
新しい学校で 最初にできた友達ツルちゃんは とても物知りで
フミに 「まま母」や「連れ子」という言葉を教えてくれる。

フミの『いまのお母さん』は 病気で死んでしまった『まえのお母さん』とは違う。
姉のマキは その『連れ子』である。
フミとお父さん マキとお母さんは できたてのほやほやの家族なのである。



重松清。本当にすごい人です。
この本は 大人向けに書かれたものかもしれませんが
一部の漢字を除けば 多分小学生高学年でも 読んできちんと意味を理解できるでしょう。

知識のある人が難しいことを難しく書くのは 簡単かもしれませんが
誰もが知ってはいても うまく表現できないことを言葉にできる人は本当にすごいと思います。

物語は 主にフミの心情を中心に描かれています。

フミがまた健気。
素っ気ない性格の姉マキや
優しんだけれど二人だけで一緒にいるとすごく疲れてしまう『いまのお母さん』と
なんとか折り合いをつけていこうと 
可哀そうなほど気を遣って 必死で毎日頑張っている。

本当に頑張っている。
四年生ってこんなにいろんなことを考えていたかなと思うけれど
多分 考えていたんだろうなあ。

そして 大人になって力を抜くことを覚えてしまった私なんかと違って
全力で頑張っているのが わかる。
もう24時間頑張っているのである。

自分に懐いているように見えないマキにだけ 気を使って
フミは前向きだから大丈夫!と 勝手に思ってしまっていたお父さんが 友達に言われる。

「それは逆なんじゃないか。
 フミちゃんだって、たまには後ろ向きになりたいときだってあるんじゃないか。」
「でも、産んでくれたお母さんはいないわけだから後ろを向いても誰もいないんだ。」
「ときどき、後ろを向かせてやれよ。」
「人間の細胞がぜんぶ入れ替わるまでには六年かかるんだぞ。
ってことは、ほんとうの意味で新しい生活を始めるには『よーい、どん』から六年もかかるんだよ。」

そうかも知れませんね。
他人からスタートする家族なんて 六年でやっとスタート地点かも。
自分に言い聞かせております。)

素っ気ないけれど根っこは優しいマキと 明るくて優しいお母さんの前で
フミが わあわあ泣くことができるようになるまでが 描かれている。

家族は まだまだこれからだけれど 決して暗い未来ではない。

お勧めです。
是非 ご一読ください。

最後に 重松さん。『天国のお母さん視点』 狙ってますよね?
もう 狙いにはまって 泣かされちゃいましたよ。


いがぐりおをクリックしていただけると嬉しいです。いつもありがとうございます。^^/
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