3月3日、介護保険認定の面接調査員が来た。
初対面だとお袋が不安だろうから、以前からお袋と面識
がある地域の社会福祉士の方と4人で面談した。
お袋は緊張した様子だったが、調査員の質問に淡々と
答えている。いつもより、しっかりした様子でいよいよ質問が
残り少なくなった時、調査員が「これなら自立可能ですね」
と独り言のように言った。
この面接で自立可能と評価されると、介護保険が使えず
全てのケアが10割負担になってしまう。もちろん、お袋は
そんなことはお構いなしに、自分がいかに自立できるか
を主張しているようだった。
その時に助け舟を出してくれたのが、お袋と親交があった
社会福祉士の方が「以前、僕が知っているお母さんの状態
ではないので、もう少し掘り下げて質問をして下さい」と
調査員に言ってくれた。
今回、解ったことは、本人と身内だけでは調査員は信用
しないということ。私の独断で第三者を介入させたことが
功を奏したようだ。
いずれにしても介護認定は結果が出るまで1ヶ月ほど
かかるらしい。
翌日、彼女の手元に現金がないことが不安なので、一緒
に郵便局に年金を引き出しに行った。
彼女は通帳と現金を見ると安心するようだ。地域の小さな
郵便局なので、局員さんにも彼女の認知症のことを告げ
て頼んでおいた。
彼女は、お金が手元にあっても何度も何度も財布を開けて
現金を確認する。もちろん、通帳も引き出した年金も確認する。
極端ではなく、3分おきに確認する。
このままでは、通帳も現金も失ってしまう恐れがあるので
彼女がいない時に、封筒に入った現金を分散し、普段は
探さないようなところに隠した。これは流石に気が咎めた
が、しまい込んで失くすよりはいいだろう。
案の定、用から帰ってくると、現金を確認する。
しかし、減っていることには気が付かない。
とにかく現金が見れば安心するのだろう。
私が今回、帰った目的は5つ。
介護認定の面接、年金を通帳から引き出す、現金の
分散、明細書類の処分、クリニックの通院。
明細書の処分というのは理由があって、明細書が彼女の
目に入ると、それが借金の借用書に見えるらしい。
私に電話して、その時に決まって言うことは、
「あんたは借金ばかりして、私の年金を使っているだろう」
これを電話で延々と問い詰められるので、出ないように
すると留守番電話に罵詈雑言を何十回も入れられるのだ。
たまったものではない。
今回の帰省で、5ツのことができたので少し落ち着いたが、
介護認定が決定するまでは、週一くらいのペースで、
帰った方が良さそうだ。
そうそう、大切なことを言い忘れた。
今回、私はお袋の言動や行動を細かく観察した。
例えば、私が発したどの言葉に反応し不安になるのか。
彼女の行動の意図するところは何なのか。
5日間だったが、いくつか解ったことがある。
「お金」、「借金」、「独り」、「夜」、「近所」、「薬」などの
言葉に反応し、それに基づいて行動している。
行動と言っても、私から観ると不可解だが、彼女には
確かな理由がある。彼女の行動パターンやキーワードに
なる言葉を一つでも多く収集するのも、これからの課題だ。
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