母がまた倒れた
崩れ落ちる寸前を
私が後ろから抱きとめて
そのまま床に
私が抱きしめたままの格好で
母はガクガクと
唇が動いたあと
そのまま止まり
目は見開いたまま
もう、何もうつしてはいない
母の名を呼び
耳元で
『大丈夫よ、私が居るから』と
何度も叫んでいた
これで最後か?
娘の私が抱きしめたまま
逝ってしまうのか
それならそれで
ありかもしれない
しばらくすると
目に光が差し込んだように
パァーと顔色が戻ってきた
何事もなかったように
起き上がろうとする母
きっと
これまで
何度もどこかの際まで行って
怖くて立ちすくみ
私の声で引き戻ってきたのかもしれない
私は
ちゃんと
そこまで、
その瞬間まで
寄り添えていけるのだろうか
できるなら
この腕から
光の指す方からやってくる使者に
優しく引き渡してあげたい
この先は神様しかわからない
夕暮れの湖面の光の道
とある条件が重なった時にできるように
人の人生の閉じられ方もまた
とある条件が定められているのかもしれない。
崩れ落ちる寸前を
私が後ろから抱きとめて
そのまま床に
私が抱きしめたままの格好で
母はガクガクと
唇が動いたあと
そのまま止まり
目は見開いたまま
もう、何もうつしてはいない
母の名を呼び
耳元で
『大丈夫よ、私が居るから』と
何度も叫んでいた
これで最後か?
娘の私が抱きしめたまま
逝ってしまうのか
それならそれで
ありかもしれない
しばらくすると
目に光が差し込んだように
パァーと顔色が戻ってきた
何事もなかったように
起き上がろうとする母
きっと
これまで
何度もどこかの際まで行って
怖くて立ちすくみ
私の声で引き戻ってきたのかもしれない
私は
ちゃんと
そこまで、
その瞬間まで
寄り添えていけるのだろうか
できるなら
この腕から
光の指す方からやってくる使者に
優しく引き渡してあげたい
この先は神様しかわからない
夕暮れの湖面の光の道
とある条件が重なった時にできるように
人の人生の閉じられ方もまた
とある条件が定められているのかもしれない。