湖のほとりから。

花と空と心模様を写真と詩と文に託して。

映画『慕情』について

2020-04-19 16:35:00 | コラム
亡き母が、生前に
『慕情』
『旅情』
『めぐり逢い』
『風とともに去りぬ』は、見なさいよと、洋画好きの女性らしく
当時の『水曜ロードショー』や
『日曜映画劇場』で放映があるものならば、次の日が学校でも
遅くまでテレビを見させてくれた。

古い古い映画になりますので
わたしが生まれていなかったほどの時代の映画。

しかし、そこには
女優らしい女優と
男優らしい男優が
古き良き時代のアメリカの象徴のように、憧れたり、そのロマンに酔ったりして、母と映画が終わっても
長い時間話をしていたことを思い出す。






その中で
1955年製作アメリカ映画

『慕情』(あくまで邦題)と言う2文字の意味が
広すぎて、深すぎて
幼い私にはよくわからなかった。


映画の中で
女医を演じる ハーン(ジェニファ・ジョーンズ)

特派員を演じるマーク(ウィリアム・ホールデン)

正統派どうしの俳優さん方。

まだ、香港が中国とイギリスとの間にあった時の穏やかな時代。
しかし、確実に戦争の影が忍び寄るとき。

夫を亡くした女医ハーンと
離婚調停中だった特派員マークの出会い。

いぶかしげに、気になりつつも
奥さんのいる方と、、、。
しかし、出会ってしまった。
好きになってしまった。

抗おうが、求める恋心

大人の2人は、ひと目で恋に落ちても、
自分の本心を相手にはぶつけない。
口論さながらさぐっていく。
気になりながら
どんなことでも超えていけるいう確信に変わるとき、初めて
アイラブユーが交わされる。

しかし、病院を追われてしまう女医。
戦争に向かわねばならなくなった男性。

また、いつか
この小高い風の吹く丘で逢おうと別れるが、、、、。

運命は、残酷なこと。

彼の戦死の知らせと共に
遅れて届いた彼からの優しい思いやりのある手紙を握りしめ
あの、いつぞやの小高い丘に向かう。
懸命に、必死で、まさかと
かけのぼってゆくハーン。

ふと見えたのはまぼろし。


本当の愛はまばゆい光に満ちているんだよと、歌う、ナット・キング・コール
優しくつつみこむような歌が流れてくる。


このシーンが一番好き。

映画のラストでもあり
最高潮の名シーン

素晴らしい愛を
この胸に残してくれたのだと
悟るしかないのかしら。


英題はナットコールキング歌う題名そのままに
Love Is a Many-Splendored Thing』
(愛はまばゆい光にみちている)


『慕情』の意味は
異性を思う
したう心
あこがれ
思慕の念
想い
情景
相手が、異性でも、同性でも、親子でも、共通するものなのかもしれない。

『慕情』と題する曲の多いことがそれをものがたる。

五木ひろしさん、フランク永井さん
森昌子さん、サザンオールスターズ
中島みゆきさん、吉田拓郎さん、藤あやこさん、など。

とりわけ
サザンの桑田さんは、
胸にのこる慕情、グッドバイ、、だと歌い

吉田拓郎さんは、
あなたを見失うことは世界の終わり
あなたがそこにいる、ただそれだけでいい、、と歌い

中島みゆきさんは、
過去を振り返り何かを間違えた
もう一度初めから、あなたに尽くしたい、、と歌った


したい続けながら
心にいる人を想う


ひとつ間違えば
今回のコロナウイルスのように
荼毘に付されてからしか逢えないような状況もある中で、

映画のように戦争で愛する人を亡くしてしまう中で
きらめいた大切な気持ち

祈るように
その姿を慕う

みんながそう歌っているのかな。

愛はまばゆい光に満ちているからこそ想い続けられるし
その人、その人への想いを大切にしていくんだね。

今は
ある意味、戦時下のような。

大事なきらめくような時間をわすれないでいて下さいと、言われているようで、ふと思い出した映画と歌。


ナット・キング・コールの歌が素晴らしい




もし、ナット・キング・コールが男性側からの歌だとしたら、
女性からは、きっと、美空ひばりさんの歌が一番だと、私は思います。