そごう美術館の「フェルメール光の王国展2018」に行って来ました。
特別の期待もせずに行ったのですが、おもしろくて2時間以上も見入っちゃいました。
幼い頃に昆虫少年だったという生物学者の福岡伸一氏が監修しているのですが、
フェルメール作と認識されている全37点作品を原寸大で鮮やかに再現(リ・クリエイト)し、
描いた順番にしかも所蔵されている美術館とほぼ同一の額装を施してあるのです。
り・クリエイト作品なので撮影も可でした。【真珠の耳飾りの少女】
リ・クリエイトとは、原作の画像データをもとに色ヒストグラム解析、デジタル修復技術、
紫外線プリントなど現代の画像・印刷技術を使って再現。これは海外でも話題になり、
「真珠の耳飾りの少女」を所蔵するオランダのマウリッツハイス美術館から
リニューアルオープンの際コマーシャルキャラクターに抜擢されたそうで
そのコマーシャルも流されていて、これがまた秀逸でした
福岡氏の考察にぐいぐい引き込まれました。
昆虫少年だった彼は顕微鏡の父と言われるレーウェンフックに興味を持ち、
同じオランダのデルフト生まれで同じころ活躍したフェルメールにも惹かれていったそうです。
レーウェンフックの顕微鏡は金属板に穴をあけ小さなレンズをはめたものですが、
500もの自作顕微鏡で観察を続け、赤血球や細菌、動物の精子も彼の発見とは驚きです。
そしてフェルメールはカメラ・オブスクーラを使っていたとされています。
これは、今のカメラの基になった物でカメラは「部屋」オブスクーラは「暗い」という意味で、
部屋の壁に小さな穴をあけると反対の壁に外の景色が逆さに映る現象から、
箱に穴をあけレンズをはめ写った景色を紙に写し取る物で、画家たちが素描に使ったとか。
フェルメールの作品を見るために世界を巡った福岡氏は二人が生まれ住んだデルフトも訪れています。
フェルメールの作品に登場する天文学者と地理学者のモデルは、レーウェンフックではないか?
レーウェンフックの綴った手稿のスケッチの一部はフェルメールが描いたのではないか?
さまざまな根拠も示されていて、とても興味深かったです。
会場には作品に何度も描かれている楽器「ヴァージナル」なども展示されていて
夏休みの子どもたちも楽しんだことが想像されました。
この秋から始まる上野の森美術館「フェルメール展」には本物が8点来るそうです。
福岡氏の解説を思い出しながら観賞したらおもしろそうです。