ニーガンウカー(根神御泉)の伝説
知花村以前にあった「オホンダカリ村」のウブガーと言われている。昔(現在60歳代の人たちの祖父の時代の話)御泉が洪水で埋没し、人々にその名が忘れ去られた頃、知花の若者たかが相次いで死去した。それは「御泉の埋没したことに因るものだ」。とユタによって明かされ、村ではさっそく御泉の発掘にかかったが、その所在がどうしてもつかめず、村人たちは困りはてていた。そんな或る日のこと、奥間ミックワー(盲人)という人が真夜中にある家(仲ヌ前ん当)の門まで来ると「前にも後にも行けなくなった」。と言ってその家に、タバコをつけさせてくれと入って来た。
彼の盲人が言うには「どこ、そこの方向に御泉が見えるがどうしたことか、そのために私は行く道進めないんだ」。と、そのことをきいた村人たちは、その晩のうちに彼の案内、彼の指示する場所を掘ったところ、御泉の縁枠が出現し、村の難問題が、無事解決されたという。開発がすすむ中で、問題のユナガーを含め、その原形が消失し、痕跡をとどめるだけのものや完失が予想されるものなどがあり、さりとて、歴史的には、精神文化的所在としての位置づけはあるもののその一部は自然崩壊にも何ら手を打たないままにしている状態である。 (知花区有志)
【参考文献】美里小学校創立100周年記念誌より