今帰仁村教育委員会主催の第1回目テーマ「今泊の魅力を磨こう(今帰仁村今泊のフクギ屋敷と集落景観)」上杉 和央(京都府立大学)、歴史文化講座が6月22日に今泊公民館にて開催され参加したので所感を記したい。
『ぬーんねーんしが今帰仁』(何もない今帰仁)が村のキャッチフレーズである。沖縄のグスク群である今帰仁城が世界遺産に認定されて様々な環境整備も整いつつある中、その今帰仁城の下方に位置する今泊集落が2019年10月16日国の重要的文化的景観「今帰仁村今泊のフクギ屋敷と集落景観」として選定された。
今泊集落は今帰仁城の中腹にあったが琉球王朝時代の政権争いの結果、親泊ムラと今帰仁ムラという2つのムラが下方に位置する現在の場所へ移り住んだと言われている。沖縄には昔から防風林でフクギが屋敷囲いされた風景が各地にあったが、その原風景は本島内では主に本部町の備瀬と今帰仁村の今泊などに残されている。
今泊の魅力である「今帰仁村今泊のフクギ屋敷と集落景観」が国の宝となった今、その景観を残そうと村や観光協会が以前から動き出したが、地元住民の意識との格差が感じられる。貴重な原風景も日頃の管理(伸びた木の伐採、清掃など)と、そこで居を構えている住民も高齢化がすすむ中、その苦労は大変だと思いますが、村民挙げて解決策に取り組んで欲しいと思います。
同報告会も地元の今泊公民館で開催したが地元住民の参加者が少なく寂しい感じがした。このような現象は個々の差はあるものの各市町村が抱えている課題でもある。
講演後に行われたワークショップにて今泊の今を観光客、移住者、他市町村の方々へ感想を伺うと、この原風景は他地域では見られない厳かな景色が残っていると一致した意見であった。
その魅力を残そうと「今帰仁グスクを学ぶ会」が、日頃から村の魅力情報発信のためガイドを行っている。今帰仁村桜祭りのイベントメニュー「今帰仁の史跡巡りガイドツアー」として村外から訪れた人々に、その魅力を伝えているが同会のメンバー構成も移住者が多く占め、もっと地元の方々も危機感を持って自らのムラ原風景保存に積極的に関わって欲しいものと感じた。
<2023.6.29琉球新報レキオ記事抜粋>