NHK BShi ハイビジョンステージ『かもめ』を観ました。
ストーリーと感想を備忘録として書きます。
※ネタばれがありますのでご注意ください。
※文中の敬称は省略させていただきます。
【作】
アントン・チェーホフ
【翻訳】
沼野充義
【演出】
栗山民也
【出演】
藤原竜也、鹿賀丈史、麻実れい、美波、小島聖、中嶋しゅう、藤木孝、藤田弓子、たかお鷹、勝部演之 ほか
【公演】
2008年6~7月 赤坂ACTシアター
【ストーリー】
十九世紀末、帝政崩壊前夜のロシア。惰性な日々に我慢がならず、前衛的な劇の創作にその発露を見いだそうとする、青年トレープレフ(藤原竜也)。その恋人で女優志望のニーナ(美波)。青年の母で大女優のアルカ(麻美れい)。母の恋人で有名な作家のトリゴーリ(鹿賀丈史)。
湖の畔の屋敷で起こる愛憎劇はやがて悲しい結末がやってくるのだった…。
【感想】
チェーホフの戯曲を、栗山民也が演出した作品。
原作を残念ながら読んでいないので、どの程度、原作の雰囲気が出ているのかよくわからないのだが…。自分なりに感じたことは、混沌とした不安な時代に生きる人間の気持ちとは、時や場所を越えて同じなのだなと。
異なる強い個性の藤原竜也と鹿賀丈史は、馴染まない心地悪さを懸念していたのだが、思ったよりも舞台上で馴染んでいて、落ち着いて観ていられた。
以前に『身毒丸 復活』を観に行った時にも感じたのだが、藤原竜也の狂気を孕んだ青年の様には、心の奥をぐいっと掴まれるような気がしてならない。
鹿賀丈史と麻美れいは、ベテランのしっかりとした大人の芝居を観せてくれていた。美波は技術云々ではない、初々しい透明感溢れる存在感があり、暗がりに咲く一輪の花のようだった。
全体としてよくまとまっていたと思う。