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『足跡姫~時代錯誤冬幽霊~』ストーリーと感想

2021-08-14 16:46:17 | テレビ
WOWOWライブで2021.7.27(火)放送の舞台『足跡姫~時代錯誤冬幽霊~』を録画したものを観ました。

ストーリーと感想を備忘録として書きます。
※ネタばれがありますのでご注意ください。
※文中の敬称は省略させていただきます。





【ストーリー】
時は江戸時代、将軍は家○の頃。“女歌舞伎”の一座が人気を博しており、看板役者は出雲のお国。お国の夢はお城で将軍の御前で舞うこと。だが、“女歌舞伎“は幕府の取締りが厳しくなってきていた。
死体を買い腑分けをしたい男や売れない幽霊作家、由比正雪の一派やらが一座に関わり絡まりながら物語は進んでいく。
やがて、一座は『足跡姫』という演目をお城で上演することになるが…。


【感想】
ごくごくシンプルな美術、言葉遊び、早口の台詞、早い動きなど、夢の遊眠社からNODA・MAPに続くらしさが全開! NODA・MAP作品の中では比較的わかりやすいストーリーだったと思う。
言葉遊びは早口の台詞が続くので、ぼ~っとしていると聞き逃してしまう。「体臭と大衆」、「(筋肉の)筋と(脚本の)筋」、「母の音と母音」、「生きたいと行きたい」、「足跡姫のアートと足アート」などなど。
お国の体に乗り移った“足跡姫”が、どんどんお国を侵食していくのが怖い…。

ラストシーン、猿若が姉のお国を抱きしめながら発する台詞はカタルシス。

宮沢りえはお国と足跡姫の二役をほぼ同時進行で演じていて、演じ分けも大変だったと思う。美しいビジュアルから出てくる狂気は凄みがある。エロティックなところもいやらしくなく色っぽい。
妻夫木聡(NODA・MAPの常連)、古田新太、佐藤隆太、鈴木杏、池谷のぶえ、中村扇雀らの魅力的で実力のある俳優陣がそれぞれの持ち味を生かしていてよかったと思う。
なかなかないのだ…。それぞれ出自が違い、ホームグラウンドが違うと、全体のまとまりが悪くてざらついた口当たりになる作品も少なくない。変に悪目立ちしている俳優とかがいると最悪だし…。


【余談】
宮沢りえと古田新太はシアターコクーン・オンレパートリー2013『盲導犬-澁澤龍彦「犬狼都市」より-』でがっつり共演していたな~と思い出した。このときの共演者に、後にやらかしてしまった某俳優がいたこともある意味感慨深い。
山下容莉枝は夢の遊眠社の俳優だったな~とか思いながら観ていた。野田作品にはどれくらいぶりの参加だったんだろう?

2012年12月5日に逝去した十八代目中村勘三郎へのオマージュとなっているらしい。野田は勘三郎の葬儀で、今は亡き十代目坂東三津五郎の弔辞のなかで「肉体の芸術ってつらいね、死んだら何にも残らないんだものな」という言葉が脳裏に残り続けていたという。
その場限りで消えていく消えもの。それが演劇。切ないがだからこそ愛しく美しいのだと思う。こんなご時世だけど決して「不要」などではない!と声を大にして言いたい。


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