ダ・ヴィンチの絵画「最後の晩餐」を、私が知ったのは中学校の美術の教科書でした。
小さな写真になっておさまっている「最後の晩餐」を、美術の先生が解説して下さいました。
それは、おおむね、今、一般的に解説されている内容と異なっていませんでした。
絵は、キリストと十二人の弟子たちの最後の食事の場面であること。
キリストから、十二人の中に裏切りる弟子がいると聞いて、弟子たちが騒然としている場面であること。
中央にキリストを配した構図は遠近法で描かれていて、とても美しいものであること。
ダ・ヴィンチは、万能の天才と呼ばれた画家であること。ついでに、先生は同じページに載っていた
「モナ・リサ」の説明にも言及されました。
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また、彼らが食事をしているとき、イエスはパンを取り、祝福して後、これを裂き、弟子たちに与えて言われた。
「取って食べなさい。これはわたしのからだです。」
また、杯(さかずき)を取り、感謝をささげて後、こう言って彼らにお与えになった。
「みな、この杯から飲みなさい。
これは、わたしの契約の血です。罪を赦(ゆる)すために多くの人のために流されるのです。
ただ、言っておきます。わたしの父の御国(みくに)で、あなたがたと新しく飲むその日までは、わたしはもはや、
ぶどうの実で造った物を飲むことはありません。
そして、賛美の歌を歌ってから、みなオリーブ山へ出かけて行った。
(マタイの福音書・26章26節~30節)
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イエス・キリストは、食事の後、弟子たちとオリーブ山に出かけるのです。
オリーブ山のゲツセマネというところまで来て、一人はなれて祈り、悲しみもだえ始められるのです。
その夜のうちに、イエスは、捕縛され、当時のユダヤの宗主国だったローマの官憲に引き渡され、
十字架に付けられるのです。
「最後の晩餐」はイエスと弟子たちとの「過ぎ越しの食事」ですが、
このとき、これを、弟子たちとの地上での最後の食事だと知っていたのはイエスだけです。
イエスは、弟子たちにパンと葡萄酒を与えて、「わたしのからだであり、契約の血である」と言われたのち、
わたしの父の御国(みくに)で、あなたがたと新しく飲むその日までは、わたしはもはや、ぶどうの実で造った物を
飲むことはありません」と、十字架と復活を知らせておられるのです。
しかし、弟子たちが、真実を知るのは、もう少し先のことでした。
じつに厳粛で、悲痛な場面です。
(つづく)