子供の頃は我が家にも一家団欒と言うのがあった。
父は鍋奉行だった。
特にすき焼きにはうるさかった。
関東なのに割り下は使わなかった。
牛脂で牛肉を焼いてから砂糖を加えて醤油を入れる。
その後は白菜や長ネギや春菊や白滝や焼き豆腐や車麩も入れる。
お酒も入っていたかも知れない。
父が作るすき焼きは何よりのご馳走だった。
外食で本物のすき焼きを食べたことの無い家族にとってはご馳走だった。
器に卵をといで菜箸やお玉で具材を入れる。
うっかりテレビを見ていたら私の器の牛肉は弟の口に入っていた。
父はすき焼きをつまみに呑んでいた。
そこには暖かな家族の形態があったのです。
こたつに入りながら電熱器のすき焼きを食べる。
安い国産牛のすき焼きでもご馳走でした。
今やご飯が出来たと2階にいる家族にLINEをする時代だそうです。
家族はバラバラに食事をする。
楽しかった一家団欒はどこへいったのでしょう?
その日の出来事を家族と話す。
悲しい時代になりましたね。