地味～な焼きそばの実力 ～馬車道・福源楼～

またまた、福源楼に行く機会があった。前回食べたのは、うまい蒸し鶏がタップリ乗った冷し中華。あの蒸し鶏の味が忘れられず、この日も冷し中華にしたかったのだが、さすがにこの時期にはもう出ていない。 　ならば、多くのお客さんが注文している「鳥ネギそば」を食べようと思ったそのとき、当ブログに書き込みのあった「五目焼きそば」が一瞬頭をよぎり、こっちにしてみた。 　普通、五目そばといったら、ニンジンやエビの赤、ブロッコリーやピーマンの緑、ベビーコーンやギンナンの黄色、それにイカの白などで豪華に彩られているものなのだが、ここのはなんともじみ～な風貌をしている。華やかさがないのだ。 　白菜も、青菜も、タケノコも、野菜類はすべてクタクタに煮込んでみました、というような状態。これはいったい、いつから火を通しているんだ、と、おじさんに聞いてみたくなる。 　あんに酢をまぶし、辛子を混ぜ込み一口頬張ると、「うーん、普通に旨い」。期待感が大きかった分、少しイメージどおりではなかったが、柔らかい焼きそばとしては及第点だろう。 　そうそう、いま柔らかい焼きそばと言ったけど、焼きそばには普通、柔らかいのと硬いのと２種類あるといわれているが、柔らかいのをさらに分類すると、麺を鍋で焼いた“ちょいヤワ”と、麺を野菜類と一緒に炒めたヤワヤワのと二つに分けられるだろう。 　「福源楼」の焼きそばは前者だ。少し焦げ目の付いた麺が、あんの裾からはみ出たりしている。焼きたての麺はそれほどヤワではなかったのだろうが、テーブルに運ばれてきてしばらくすると、熱いあんに蒸されてシットリしてきた。これが煮込まれたようなあんと絡んで、旨煮ご飯のソバ版のような状態になる。 　“柔らかい焼きそば好き”には、たまらない一品かもしれない。　 　でも、私は“かた焼きそば”が好きなの。そこで翌日は珠江飯店のランチで、懐かしい“かた焼きそば”を食べてきた。 　これがその一品だ。半チャーハンとデザートが付いて８００円！ 　 　“かた焼きそば”の醍醐味は、一皿で三度の味わいがあることだ。刻々と変化する麺を食べ分ける面白みと言ったらいいだろうか。 　つまり、出来たての状態はパリパリなのに、中盤は熱いあんに覆いかぶさられてシットリとしきて、最後はあんと麺が混沌としてグンニョリとなる、そんな食べ方が、単一的な“柔らかい焼きそば”より奥が深いような気がするのだ。 　口の中が痛くなるほど角張って強気の麺も美味しいし、もうどうにでもしてくれっていうほどグデングデンになった柔な麺も、これまた旨い。 　この“かた焼きそば”と対称的なのが「萬来亭」の上海焼きそば。食べる前の完成品の写真でなくて申し訳ない。こちらは最初からヤワヤワ。 　でも、これはこれで旨いもんだ。 ←素晴らしき横浜中華街にクリックしてね 「ハマる横浜中華街」ランチ情報はコチラ⇒