季節風~日々の思いを風に乗せて

喜寿になったのを機に新しいブログを始めました。日々の思いをつぶやきます。

半歌仙 紫陽花の巻

2022-06-02 14:06:47 | 連句
 芭蕉の発句により,脇起半歌仙 紫陽花や の巻が始まりました。

 発句  紫陽花や薮を小庭の別座舗   翁
に対して「捌き」の考えた以下の脇案がメールで送られてきました。
     蚊遣の煙漂ってくる        
     襟を正して老鶯を聞く
      夕立のあとの石のすがしき
 このうちの一句を選んで私が第三を付けることになりました。連句の本を読むと「第三の出来いかんで連句一巻の流れが決定する」「受け渡しの役もしなければならない」とかプレッシャーがかかります。「転じのコツは“見立て替え”」なんてよく分りません。三句のどれもよく付いているとは思いましたが「襟を正して老鶯を聞く」をいただきました。付句の候補が五句では多いかと思いましたが,自信がなく三句には絞れませんでした。
第三案
 カンバスに祖母の肖像描くらん
 山頂に校歌歌いてきりもなし
 投函す詫び状毛筆楷書にて
 今月の句会は中華飯店に
 ゆらゆらと揺れる水面の光見て
 
 捌きからは以下のような評が届きました。

 第三だからといって、堅苦しく考えることはないと思いますよ。要するに、転じていれば良いんですから。前二句の世界から離れればそれで結構です。校歌は鶯が鳴いているのでまずいですね。カンバス、いただきます。
発句  紫陽花や薮を小庭の別座舗       翁
脇    襟を正して老鶯を聞く        
第三  カンバスに祖母の肖像描くらん      
 それと、三句にしぼる必要はないと思います。捌きによっては、三句で・・・とおっしゃる方もあるかと思いますが、私は数打ちゃ当たる~~式でやっています。(^^)/

 ふうっ,一安心。それにしても「鶯」があるのに「歌」を付けるとは,まだまだ勉強が足りません。




連句―初めての脇句

2021-01-20 14:25:45 | 連句
 昨年から二つの「座」の「連衆」に加えていただき文韻(メール)で連句を詠んでいます。
 その一つは連衆4人、私の発句によって始まった二十韻「蟷螂をの巻」が「名残の表」まで進んでいます。もう一つの座は連中5人、歌仙「空蝉の巻」がつい先日巻き上がりました。初めて巻いた歌仙の挙句が「捌き」によって決まった時には、一人で詠む俳句とは違った喜びがありました。
 続いて20韻に移ることになり「捌き」から以下の発句が示され、今回は私が脇句を付けることになりました。

鳥一羽よぎり太平洋おぼろ
冬ぬくし鈍行で行く母の郷
大枯野行く胸中に火種持ち
 鷹匠の眼差し凛と大枯野

 このところ 火の如き弟子一人欲し年の暮(原田浜人) の気分でしたので迷うことなく、

大枯野行く胸中に火種持ち 

をいただき、それに脇句を付けることとしました。捌きからは「脇は同時、同場所でお願いします。発句に出ていないものを出して、発句を補う感じで・・こう書くと何だか小難しくなりますが、要は発句に寄り添うかたちで、ということです。」とのメッセージが届いています。それを踏まえて下の5句を考えました。

目指すは遥か凍星の下
凩の押す青年の背な
恐れず走れ君は狼
空に励ますごと虎落笛
旅の途中に駆け巡る夢

 これが脇句としていいのかどうか…。百聞は一見に如かずと連句の座に加えていただきましたが、まだ「式目」などもよく分らず教えていただくばかりです。
 発句と脇句によってその巻の形が決まりスタートすることとなります。果たして私の脇句に対してどのような「一直」があるのか楽しみです。(すべてボツで詠みなおし、もあります。)
「歌仙は三十六歩なり。一歩も後に帰る心なし」の基本精神を踏まえ、楽しみながら学んでいきたいと思います。

半歌仙 独吟「仙人掌の花」の巻(2)

2020-08-12 20:27:45 | 連句
  先日、初めて一人での連句に挑戦し、半歌仙を巻き当ブログに載せました。その後、二つの座の連衆として招待いただき、現在歌仙、半歌仙を文音で営業中です。(座・連衆・文音・営業の使い方はこれでいいのかな。)二つの座ではいくつかの句を出して「捌き」の方からその都度ご指導をいただいています。例えば「空蝉」の巻では、表の五 月明の川面を渡る舟の影 に付ける秋の雑・3句を提出しました。 

 
〇色鳥の声花街に聴く
〇水澄む村を好きで離れず
〇秋の蝶追い峠を越えて

 
「捌き」の方から次のようなご指導がありました。
〇色鳥の声花街に聴く
 恋になりそうですね。まだオモテなので、恋は出せません。
〇水澄む村を好きで離れず
 水(川)に水は付けたくないです。村を好きで離れず、はうまく前句に付いています。季語を変えてみていただけますか。
〇秋の蝶追い峠を越えて
 舟を浮かべている川から、峠はちょっと唐突な感じがします。もう少し近い方が良いと思います。

 
  初めて知ることばかりでした!これらのご指導を基に推敲し、結果的に 鹿鳴く村を好きで離れず を採っていただきました。
このようなメールのやり取りの過程で、改めて連句の面白さを知り、勉強の必要性を感じました。連句の基本的な「式目」を学ぶため『連句・俳句季語辞典 十七字』を読んだり『日本連句連盟』のサイトおよびそこにリンクされているサイトをめぐったりして学んでいます。
 現在「恋」の二句目に苦戦中。「一連の恋にならないように」「自他場」を考えて…難しい。

 そうこうしているうちに、前回ここに発表した半歌仙・独吟「仙人掌の花」の巻のレベルの低さが恥ずかしくなってきました。次回は学んだことを基に前回の独吟を推敲、あるいは新たな発句を詠んでの半歌仙に再びチャレンジしてみることにします。


半歌仙  独吟  「 仙人掌の花 」の巻 

2020-07-24 22:51:36 | 連句
  生涯学習センターで全4回の「連歌・俳句入門」を受講したのが平成30年。蓮歌の魅力、戦国武士と蓮歌、芭蕉の連句などの内容を興味深く聞きました。その後『歌仙はすごい』(辻原登・永田和宏・長谷川櫂著)を読み、隅田川の巻の深川芭蕉庵も訪ねてみました。とはいえ、実際の「連句」がどのようなものかがわからないままに日が過ぎていき、どうしたら具体的に学べるのかと思っていた矢先「茨城県連句大会」への参加を誘われました。40名近い参加者の中で初心者は私一人。5人のグループの中に日本連句協会会長の青木秀樹先生がいらっしゃいました。「次は恋の句を七七で」とか「ここでは色を入れて詠んでみましょう」とか実に丁寧に教えていただきました。ほとんど何のことやら理解できていませんでしたが拙句も数句採っていただきました。何よりもテーブルの名酒「獺祭」を軽く飲みながらの会、すっかりその知的なゲームの雰囲気が気に入りました。
 その参加を機に、連句のグループからのお誘いをうけ、20韻を2度巻きました。とはいえ、句会や歌会ほどの頻度で連句の会が開かれるわけではありません。そこで「独吟」もありということを知り、連句大会の折にいただいた小冊子『連句しませんか』(やまぐち連句会)を頼りにその「座の仕組み」「巻き方」「句の付け方」「基本的な式目」などを学びながら半歌仙を巻いてみました。
 何しろ初めてのこと、連句を学んでいる方からのご指導をいただければ幸いです。今日一日、頭を使いながらとても楽しかったことは事実です。

半歌仙 毒吟 「仙人掌の花 の巻」 

表発句  夏   仙人掌の花や哲学倫理学
脇       夏              砂漠転がる麦藁帽子
第三   雑    勤王の志士の鳩首は蕎麦屋にて
四            雑                      昔話の味はひ深く
五           秋月         湖に映る満月紙のごと
六            秋                      糸につないだシオカラトンボ
裏一           秋            指切りを破つて友の墓参る
二            雑                        宇宙旅行に行くため貯金
三            雑恋           君の眼が声がしぐさが髪が好き
四            雑恋                   二人の腰を縛りて入水
五            雑             ジュラ紀にはステゴサウルス跋扈して
六    雑      がたんごろんと水車が回る
七    冬月   寒月に徳利抱へて平手神酒
八    冬       近き忌日に剪る寒椿
九    雑              荒れる海鎮める赤き蝋燭に
十            雑                        病院前に嬰児を捨てる
十一         花              市民バス桜吹雪に迷ひをり 
挙句         春                        うららかなるや故郷の道
   令和二年七月二十四日 首
   令和二年七月二十四日 尾