季節風~日々の思いを風に乗せて

喜寿になったのを機に新しいブログを始めました。日々の思いをつぶやきます。

自選・今年の10句

2022-12-23 15:38:14 | 俳句
ミサイルの空を白鳥帰りけり   
ペン回し覚え揚々卒業す
にしきへび首に巻く列子どもの日
扇風機なま温かき昭和かな
からすうり手繰ればあの日ついた嘘
自然薯や高倉健のぶつきら棒
介護終へ開く教科書秋灯
紅葉宿串に鹿肉熊の肉
一面にソマリアの飢餓今朝の冬
焼芋を待つ間に夫の肴買ふ

桜ー季語

2022-03-26 19:39:53 | 俳句
 桜前線の北上とともに,何やら心がざわめいてきます。今年こそ福島の桜を見に行こうと決めているからです。東日本大震災以来,大好きな福島の桜を見ていません。まだ苦しんでいる人はたくさんいるのは知っているのですが・・・。特に,二本松市の合戦場のしだれ桜に会いたいと願っています。
 ところで,桜ほど多くの季語を持っている植物はほかにないでしょう。手元の『日本大歳時記』(講談社)の「植物」の項には夏の季語である余花・葉桜を含めると見出し季語11,傍題79,計90もの季語が載っています。

初花(初桜) 彼岸桜(姥桜・東彼岸・立彼岸)枝垂桜(糸桜・しだり桜・枝垂彼岸・紅枝垂) 桜(染井吉野・深山桜・大島桜・大山桜・牡丹桜・里桜・茶碗桜・丁字桜・目白桜・豆桜・富士桜・ははか・上溝桜・金剛桜・犬桜・しおり桜・左近の桜・雲珠桜・楊貴妃桜・秋色桜・朝桜・夕桜・夜桜・桜月夜・嶺桜・庭桜・家桜・若桜・姥桜・桜の園) 花(春の花・春花・花の雲・花房・花片・花の姿・花の香・花の輪・花の友・花の主・花笠・花の庭・花の門・花の都・花明り・花盛り・花便り・花の露・花朧・花の陰・花の奥・花の名残・花を惜しむ・花埃・花の錦・花の色・花の粧) 山桜 (吉野桜)八重桜(奈良の八重桜) 遅桜 落花(散る桜・花吹雪・桜吹雪・飛花・花散る・花屑・花の塵・花筏)残花(残る花・名残の花・残る桜)桜蘂降る

 時候,天文,生活(花衣,桜漬,桜餅,花見など)行事の季語で65。植物の季語と合わせるとなんと155もの季語があるのです。これだけ見ても,桜がいかに日本人の生活に根差した花であるかがよく分かるのではないでしょうか。

塩ふり俳句

2022-03-23 17:20:57 | 俳句
 先日の句会で
  板前の塩振る高さ桜鯛   
という句が,高得点を得ました。(私は違和感を覚えて点を入れなかったのですが。)
 魚などに塩を振ったりする俳句を,私は「塩振り」俳句と詠んでいます。景がはっきりするからなのでしょうか,この情景は結構詠まれています。よく知られている俳句では
  新涼や尾にも塩ふる焼肴 真砂女 
  子の皿に塩ふる音もみどりの夜 龍太
があります。「新涼」「みどりの夜」の季語が生かされて,焼き魚はおいしそうですし,皿に落ちる塩の音は涼やかです。他にも
  白粥に粗塩ふりて夏至近し 池上貴誉子 
  秋鯖に塩一振りの匙加減 鏡山千恵子 
  岩魚への塩ふる尺の高さかな 久田しげき
等があります。
 晩春の季語・桜鯛と塩の両方で詠んだ俳句もあります。
  宮詣り塩加減よき桜鯛 酒井ひろ子 
  こまやかに塩ふる夜の桜鯛 小澤克己 
  桜鯛化粧塩され跳ねゐたり 奈辺慶子
「宮参り」の句は別にして,他の二つの句には塩を振る「高さ」がないように思います。私が,句会に出された 板前の塩振る高さ桜鯛 に違和感を覚えたのはこの「高さ」にあります。塩の白さと桜鯛のピンクーこの対比はいいのですが,桜鯛の大きさが気になったのです。ある程度の高さから塩を振る場合,魚はその大きさのまま,あるいは切り身にされて串に刺されているのではないでしょうか。桜鯛の大きさに串をうち,それを手に持って塩を振るというイメージが湧かなかったのです。
 最後に当の作者の言「ある料理屋さんで見た光景です。実は串をうったぼたん海老に塩を振っていたのです。でもぼたん海老は季語ではなく,思いついて桜鯛にしました。」
 違和感は解消されました。私も何かに塩を振って詠んでみようと思います。

姉のやさしさ

2021-10-07 09:43:39 | 俳句
 5歳の妹の幼稚園最後の運動会。
 その様子が動画で送られてきました。撮影者は8歳の姉。最近買ってもらったスマホで妹の競技や演技の様子を撮影したものです。
妹は運動が苦手~姉も好きですが得意な方ではありません~園で行われる持久走では、毎回かなり離れた最後尾を走っています。園長先生が付き添って走ってくれています。
 今日の運動会の徒競走でも障害物競走でも、最後尾を走っていました。徒競走では、いつものように園長先生が横を走ってくれていました。ママの「がんばれ、頑張れ」の声も聞こえています。
 姉がその様子をスタートからゴールまでクリアに撮影していました。彼女はどんな気持ちで妹にスマホを向けていたのか、動画を観ている時点では不覚にも分かりませんでした。
「相変わらず遅いけど、泣かないで走っているからいいよね、足の速い家系じゃないしね」などと、妻と話していました。
 その夜、私のタブレット画面に姉のラインがつながりました。「今日は暑かったね、妹の運動会で日焼けしたんじゃないの」などの会話の途中、姉が言い出しました。「私、運動会で感動したよ」画面にはアプリを使って自分な顔を加工し、涙をしていました。
「だってね、最後まであきらめないで一生懸命走っていたんだよ。笑わないで真剣に走っていたから感動した。」
 姉は心の中で「がんばれ、頑張れ、それでいいよ」と妹を励ましながら、スマホを向け続けていたのです。
 やさしさに溢れた姉の動画だったのです。姉の横でこの通話を聴いていた妹はとてもとても嬉しかったでしょうね。
私たちも姉の妹を思う気持ちに感動しました。
 さわやかや いもうと走る しんけんに
 その夜、姉の詠んだ俳句です。

俳句を「読む」子ども(2)

2021-09-18 18:42:23 | 俳句
  朝7時に「行ってまいります」のメール、4時ごろに「ただいま」のメール。その後、宿題をし二人(5歳・1歳)の妹と遊び、晩ご飯を食べと、忙しい学校生活を送っているようです。毎日作っている俳句ですが先日は「今日、ママに髪の毛を切ってもらうからお休みしていい」とメールが来ました。もちろんそんな日は休みますが、2学期が始まって以来、休んだのはその一日だけです。
さて、孫の「鑑賞」を見てみましょう。
〇とおくより さいれんきこゆ ひのさかり
 私 ひのさかり とは夏の一日で一番あついころ。
 孫 昼ってことかな? 何のサイレンかなあ。
 私 そう、いいところに気がついたね。
 孫 うん、サイレンは救急車、消防車、パトカーとかあってややこしい
         (わ かりにくい)と思った。
 私 そうだね。夏の暑さをよむのならどのサイレンがいいかな。
 孫 私だったら、消防車かなあ。夏ってあついでしょ、火事もあついから。
 私 じっちゃんは救急車。熱中症が多いのが夏だからね。
 孫 あっ、それがあったか~!  (なるほどのスタンプ・鬼滅の刃の)
 私 だから、サイレンを使わない俳句に直してみましたよ。わかるかな。
 孫 えー? 2個考えたけど分からない。
 私 ひのさかり とおくちかくに 救急車
 孫 やばい!(固まったスタンプ)
   やばいのなんの。俳句の達人!
 私 少しは夏の暑さが分かるでしょ。
 孫 うん!
 私 あなたは達人の一番弟子。
 孫 達人の孫になれて嬉しい!幸せ!信じられない!
 私 (恥ずかしそうなスタンプ)
 孫 てれたなあ~
 私 まあね。
 孫 かわいい。(にやりとしたスタンプ)
 私 いい弟子をもって幸せです。
 孫 (キュウウウンの文字が入りハートマークに囲まれた女の子のスタン
              プ)
 私 いい夢見てね。
 孫 (おやすみなさいのボイスメッセージ)

   俳句の鑑賞を通して、孫と交流しながらストレスを解消しているのは私かもしれませんね。
   今度、私の俳句を鑑賞させてみよう。