桜前線の北上とともに,何やら心がざわめいてきます。今年こそ福島の桜を見に行こうと決めているからです。東日本大震災以来,大好きな福島の桜を見ていません。まだ苦しんでいる人はたくさんいるのは知っているのですが・・・。特に,二本松市の合戦場のしだれ桜に会いたいと願っています。
ところで,桜ほど多くの季語を持っている植物はほかにないでしょう。手元の『日本大歳時記』(講談社)の「植物」の項には夏の季語である余花・葉桜を含めると見出し季語11,傍題79,計90もの季語が載っています。
初花(初桜) 彼岸桜(姥桜・東彼岸・立彼岸)枝垂桜(糸桜・しだり桜・枝垂彼岸・紅枝垂) 桜(染井吉野・深山桜・大島桜・大山桜・牡丹桜・里桜・茶碗桜・丁字桜・目白桜・豆桜・富士桜・ははか・上溝桜・金剛桜・犬桜・しおり桜・左近の桜・雲珠桜・楊貴妃桜・秋色桜・朝桜・夕桜・夜桜・桜月夜・嶺桜・庭桜・家桜・若桜・姥桜・桜の園) 花(春の花・春花・花の雲・花房・花片・花の姿・花の香・花の輪・花の友・花の主・花笠・花の庭・花の門・花の都・花明り・花盛り・花便り・花の露・花朧・花の陰・花の奥・花の名残・花を惜しむ・花埃・花の錦・花の色・花の粧) 山桜 (吉野桜)八重桜(奈良の八重桜) 遅桜 落花(散る桜・花吹雪・桜吹雪・飛花・花散る・花屑・花の塵・花筏)残花(残る花・名残の花・残る桜)桜蘂降る
時候,天文,生活(花衣,桜漬,桜餅,花見など)行事の季語で65。植物の季語と合わせるとなんと155もの季語があるのです。これだけ見ても,桜がいかに日本人の生活に根差した花であるかがよく分かるのではないでしょうか。