
(東京新聞)
さいたま市と福岡市を結び、日本一の走行距離千百五十二キロを誇る夜行高速バス「Lions Express」(ライオンズエクスプレス)が、十六日の出発便を最後に運行休止となる。西武観光バス(所沢市)と西鉄高速バス(福岡市)が二〇一一年十二月に共同運行を始めて約三年半。利用者の伸び悩みが主な理由だが、利用者からは「休止は残念」と惜しむ声が上がっている。 (服部展和)
ライオンズエクスプレスは一一年十二月八日、運賃が安い高速バスの需要の高まりに合わせ、さいたま-福岡と福岡-さいたまの毎日二便の運行を始めた。西日本鉄道(福岡市)が福岡-東京・新宿で運行する高速バス「はかた号」の走行距離千百三十七キロを抜き、日本一の長距離高速バス路線となった。バスの名称は、埼玉西武ライオンズがかつて福岡に本拠地を置く西鉄ライオンズだったことにちなんで名付けられた。
さいたま-福岡の所要時間は十五時間二十分。西武バス大宮営業所を午後五時三十五分に出発し、大宮駅、池袋、横浜を経由して翌日午前八時五十五分に西鉄天神高速バスターミナルに到着する。運賃は時期で異なるが、片道八千三百~一万二千三百円と安さが魅力だった。
一便の定員は三十二人。一日平均の利用者は昨年三月はさいたま発が二八・二人、福岡発が三〇・九人と人気を集めていた。一方、成田空港-福岡空港で一万円以下となる格安航空会社(LCC)が台頭。ライオンズエクスプレスの今年三月の一日平均の利用者はさいたま発が二二・五人、福岡発が二六・九人と落ち込んだ。四月には成田空港にLCC専用ターミナルができたこともあり、西武観光バスは「安定した利用者確保が見込めない」と休止を決めた理由を説明する。
これまでのライオンズエクスプレスの利用者は延べ約四万五千人。十六日の最終便まで予約でほぼ満席となっているという。
十一日、西武バス大宮営業所から乗車したさいたま市の会社役員堀江良一さん(67)は「いつか乗ってみたいと思っていて、ようやく実現できた。休止前に乗れてよかった」。所沢市の会社員斎藤大輔さん(30)は「バスの旅はゆっくり過ごせるのが魅力。時間をかけて目的地に着くと『遠くに来たな』と感慨深くなる。日本一長距離の高速バスがなくなるのは寂しい」と話していた。
運転手の男性(46)は「日本一という誇りを持って運転しており、寂しい気持ちもあるが、利用者の皆さんに感謝したい。最後まで安全運転を心掛けたい」と気を引き締めていた。
6月に、熱海へ家族旅行で行きますが、『旅行』…じゃなくて、『旅』に行きたいなぁ。 