全ての消費者が電力会社や料金メニューを選択できるようになる
現在、一般家庭向けの電気の販売は、東京電力や関西電力など全国に10社ある各地域の電力会社が独占的に担っています。そのため、一般家庭では居住地域によって電力会社が自動的に決まり、どの会社から購入するか選択の余地はありませんでした。
しかしながら、2016年4月1日から、一般家庭向けの電力小売販売への新規参入が可能となり、全ての消費者が電力会社や料金メニューを自由に選択できるようになります。これを「電力の小売全面自由化」といいます。面倒な手続きなどは必要なく、会社を変えたからといって切り替え費用などは発生しません。
供給安定性も会社によって変わらないとされていることから、現時点では料金が会社選びに対する重要事項になると予測されます。そんな中、株式会社グリーン・シップが電力自由化に関して東京、大阪にてアンケートを行いました。結果、東京、大阪で4月以降に電力会社の変更を予定している世帯は「できるだけ早く、いずれは変更」「変更する予定がない」「わからない」が3分の1ずつ。変更先は東京が「東京ガス」、大阪が「大阪ガス」と、ガス会社に人気が集まっています。
各社からはさまざまなプランが登場
また、単純な電気料金の差異だけでなく、約8兆円とされる電力市場の自由化という波に乗ろうと、小売各社からは数社共同によって次のようなさまざまなプランが提供されることも考えられます。
■電気とガスの同時契約による割引プラン
・東京電力と日本瓦斯・TOKAIホールディングス
・関西電力と岩谷産業
■携帯電話料金などとのセット契約による割引プラン
・大阪ガスとNTTドコモ
・東京電力とソフトバンク
・関西電力とKDDI
・東京ガスとNTTコミュニケーションズなど
■ポイントサービスプラン
・東京ガスとPonta・Tポイント・楽天など
・中部電力とNTTドコモ・名古屋鉄道
■住宅購入顧客などへの電気料金割引プラン
・ミサワホーム
・大和ハウス工業
■太陽光などエコ発電した電気を使うプラン
・神奈川県太陽光発電協会
・東京エコサービスなど
■量販店・コンビニなどでの販売
・JX日鉱日石エネルギーが家電量販店のノジマで販売
・三菱商事とローソン
■鉄道会社がグループ商品・サービスとセット販売
・東急電鉄
「電力自由化」を電気料金節約のきっかけに
一方、家計的目線に転じれば、消費者が気になるのはやはり電気料金です。総務省の「家計調査」によると、光熱・水道費は支出総額の約7%を占めています。電気代は光熱・水道費の約半分です。年間の電気代を仮に14万円とすれば、5%下げるだけでも7千円のメリットがあるということになります。前述したさまざまなプランが登場する中、今後はどの会社を選択すれば最も節約になるのか、真剣に判断する必要がありそうです。
もちろん、電気代の節約には、このほかにもさまざまな方法があります。一例を挙げれば、古くなった家電製品の買い替えです。環境省の節電情報サイト「しんきゅうさん」では、冷蔵庫・エアコン・テレビなど5品目について、現在使用している製品の購入年・容量と新しく買う製品の容量・メーカー・型番を入力すれば、どの程度電気代が下がるのかを試算できます。
ちなみに、我が家で8年前に購入した容量470リットルの冷蔵庫で試算してみたところ、年間で電気代が約2万円、CO2排出量が約430キロ削減できるという結果でした。最近の家電製品は省エネ性能が古いものと比べ格段に向上しており、買い替えも節約に大きな力を発揮します。電力自由化が始まる4月に向けて、今後さまざまな会社から割引などのプラン詳細が発表されるでしょう。それぞれの家庭で十分に検討の上、家計の節約に取り組んでください。
(山下 幸子/ファイナンシャルプランナー)
節約になるなら変えてみたいけど、よく分からないんだよなぁ。
この記事はファイナンシャルプランナーが書いているから、知り合いのファイナンシャルプランナーに聞いてみるといいのかな?