○日本の右翼について想うこと。
常々思っていて、あまり重要だとも思わなかったので書き留めることもなかったのだが、日本で右翼と呼ばれている人間及び組織に関して、何らかの、僕なりの定義づけが必要かとも思う。みなさんが漠然と抱いている右翼に関するイメージと、僕のそれとはそれほどの距離感はないと推察する。現象的に云えば、現代における右翼のイメージとは、大型の観光バスの中古車を黒塗りにし、時代錯誤の結社名を恥ずかしげもなく大仰に書き、古めかしい、売れない歌謡曲のような歌を大音量で流しつつ、北方領土返還と日教組に対するわけのわからぬ批判的言辞を繰り返すような悪趣味の極みである。あの大音量に対して、あるいは、街中に大型バスの大きさの不気味な何台もの車に対して、日本の警察が取り締まる光景を見たことがないのも不可思議なことである。つまらない個人に対する職質を繰り返す警察権力が、事、右翼団体に対しては、あまりにもお目こぼしが大き過ぎるのはいかなることなのか?
近代社会における右翼団体のもとをたどれば、第二次大戦中の、あるいは日中戦争中からの、児玉誉士夫と、笹川良一の中国大陸における暗躍によって、巨万の富をネコばば同然に中国大陸から持ち帰り、その財力をもとにして、戦後の日本の保守政治家を陰で動かしてきた活動が思い浮かぶ。児玉誉士夫も笹川良一も満州から上海にかけて、日本陸軍の武器・食料などの調達を独占し、横流しし、中国の当時の資産家たちから、軍隊の力を借りて金品を不法に分捕り、それらを貯め込んだ。とりわけ、児玉誉士夫は、児玉機関と称する軍部との繋がりの中で、日本の国益などはそっちのけで、自己の金満家としての欲望を思いのままに満たしたのである。敗戦後、児玉を乗せた専用機には、中国大陸でくすねた金塊を飛行機の床に敷き詰め、その他の金品財宝を欲望のままに飛行機に持ち込んだために、過重な重量に耐えかねた飛行機が、日本の飛行場に離陸する際に前輪が重さに耐えかねて折れたという事実は、あまりにも有名な逸話である。
児玉誉士夫は、戦後の日本でA級戦犯に問われることもなく、国際興業という日本型コングロマリットの代表者として、長きに渡って、GHQとその走狗としての保守政治家たちを陰から操り続けた。無論、そこには、膨大な金銭が動いたのは想像に難くない。笹川良一は、競艇界のドンとしての地位をほしいままにした。競艇を法律によって合法化し、独占できたのは、笹川が金銭で政治を繰ることで成し遂げられ結末である。笹川良一などは、歳老いてから、度々テレビの競艇のコマーシャルに出演し、好々爺を演じていたし、競艇で数えきれない人々が生活を破綻させた、その金で、国連に微々たるお余りの寄付をしたことで、国連から表彰されたことは、何とも歴史の皮肉としか言いようのない事実である。ご存じのとおり、笹川良一はA級戦犯として逮捕されたが、金の力と、GHQが日本を操るために必要とした人材?として認めたために、釈放された。A級戦犯として極東軍事裁判で認定された人間たちが次々と処刑される中で、笹川は悠々と巣鴨から出獄してきたのである。
児玉も笹川もすでに鬼籍に入って久しいが、やはり自称右翼と称する団体がまるでセンスのない時代錯誤の言動を繰り返していられるのは、その資金源にせよ、警察の明らかなお目こぼしにせよ、裏でタカ派の保守政治家や、それを支える資本家たちが、時には株式総会でまっとうな株主に物を言わせないために、あるいは、タカ派政治家たちからの資金を得る見返りに、あやしげな商売に対する、これまたお目こぼしがあると考える方が自然ではないか?
それにしても、児玉誉士夫も笹川良一は勿論のこと、彼らを支えた右翼政治家も右翼団体も愛国と叫びながら、彼らの攻撃のターゲットは、常にかつてのソ連、現在のロシアをはじめとする共産圏の国々やかつての日本軍の支配国に限られているのは、どう控えめに見ても思想的におかしい。愛国というならば、第二次大戦における敗戦が明らかであったにも関わらず、東京・大阪のB29の爆撃による非戦闘員の大量虐殺と、戦後政策のために落とされた、世界で唯一の広島・長崎への二発の原子爆弾によるホロコーストに対して、何故愛国的に、アメリカを非難しないのであろうか?北方領土だけが日本の主権を犯された証左なのだろうか?それなら、いま、大問題になっている沖縄におけるアメリカの軍事基地に対する、愛国的精神からの怒りがなぜ湧いては来ないのか?答えは明らかではないか。銭、である。日本の右翼団体の愛国の正体は、明らかに、銭のための言動に過ぎない。さもしい限り。
推薦図書:「夜と女と毛沢東」吉本隆明×辺見庸の対談。文藝春秋刊。政治的行為や言辞など、そもそも矛盾だらけ。右翼ばかりをやり玉に挙げるのもどうかと思いますので、かつては左翼の憧れだった毛沢東という、したたか極まる人物像に迫ってみましょう。毛沢東があの悪名高き「文化大革命」を指導したのです。政治とは、健康なときはそうでもないですが、体調がよろしくないと、僕にとっては、関わりたくない、NO.1の存在です。
京都カウンセリングルーム(http://www.counselor-nagano.jp/)
アラカルト京都カウンセリングルーム(http://www.sodan119.jp/) 長野安晃
常々思っていて、あまり重要だとも思わなかったので書き留めることもなかったのだが、日本で右翼と呼ばれている人間及び組織に関して、何らかの、僕なりの定義づけが必要かとも思う。みなさんが漠然と抱いている右翼に関するイメージと、僕のそれとはそれほどの距離感はないと推察する。現象的に云えば、現代における右翼のイメージとは、大型の観光バスの中古車を黒塗りにし、時代錯誤の結社名を恥ずかしげもなく大仰に書き、古めかしい、売れない歌謡曲のような歌を大音量で流しつつ、北方領土返還と日教組に対するわけのわからぬ批判的言辞を繰り返すような悪趣味の極みである。あの大音量に対して、あるいは、街中に大型バスの大きさの不気味な何台もの車に対して、日本の警察が取り締まる光景を見たことがないのも不可思議なことである。つまらない個人に対する職質を繰り返す警察権力が、事、右翼団体に対しては、あまりにもお目こぼしが大き過ぎるのはいかなることなのか?
近代社会における右翼団体のもとをたどれば、第二次大戦中の、あるいは日中戦争中からの、児玉誉士夫と、笹川良一の中国大陸における暗躍によって、巨万の富をネコばば同然に中国大陸から持ち帰り、その財力をもとにして、戦後の日本の保守政治家を陰で動かしてきた活動が思い浮かぶ。児玉誉士夫も笹川良一も満州から上海にかけて、日本陸軍の武器・食料などの調達を独占し、横流しし、中国の当時の資産家たちから、軍隊の力を借りて金品を不法に分捕り、それらを貯め込んだ。とりわけ、児玉誉士夫は、児玉機関と称する軍部との繋がりの中で、日本の国益などはそっちのけで、自己の金満家としての欲望を思いのままに満たしたのである。敗戦後、児玉を乗せた専用機には、中国大陸でくすねた金塊を飛行機の床に敷き詰め、その他の金品財宝を欲望のままに飛行機に持ち込んだために、過重な重量に耐えかねた飛行機が、日本の飛行場に離陸する際に前輪が重さに耐えかねて折れたという事実は、あまりにも有名な逸話である。
児玉誉士夫は、戦後の日本でA級戦犯に問われることもなく、国際興業という日本型コングロマリットの代表者として、長きに渡って、GHQとその走狗としての保守政治家たちを陰から操り続けた。無論、そこには、膨大な金銭が動いたのは想像に難くない。笹川良一は、競艇界のドンとしての地位をほしいままにした。競艇を法律によって合法化し、独占できたのは、笹川が金銭で政治を繰ることで成し遂げられ結末である。笹川良一などは、歳老いてから、度々テレビの競艇のコマーシャルに出演し、好々爺を演じていたし、競艇で数えきれない人々が生活を破綻させた、その金で、国連に微々たるお余りの寄付をしたことで、国連から表彰されたことは、何とも歴史の皮肉としか言いようのない事実である。ご存じのとおり、笹川良一はA級戦犯として逮捕されたが、金の力と、GHQが日本を操るために必要とした人材?として認めたために、釈放された。A級戦犯として極東軍事裁判で認定された人間たちが次々と処刑される中で、笹川は悠々と巣鴨から出獄してきたのである。
児玉も笹川もすでに鬼籍に入って久しいが、やはり自称右翼と称する団体がまるでセンスのない時代錯誤の言動を繰り返していられるのは、その資金源にせよ、警察の明らかなお目こぼしにせよ、裏でタカ派の保守政治家や、それを支える資本家たちが、時には株式総会でまっとうな株主に物を言わせないために、あるいは、タカ派政治家たちからの資金を得る見返りに、あやしげな商売に対する、これまたお目こぼしがあると考える方が自然ではないか?
それにしても、児玉誉士夫も笹川良一は勿論のこと、彼らを支えた右翼政治家も右翼団体も愛国と叫びながら、彼らの攻撃のターゲットは、常にかつてのソ連、現在のロシアをはじめとする共産圏の国々やかつての日本軍の支配国に限られているのは、どう控えめに見ても思想的におかしい。愛国というならば、第二次大戦における敗戦が明らかであったにも関わらず、東京・大阪のB29の爆撃による非戦闘員の大量虐殺と、戦後政策のために落とされた、世界で唯一の広島・長崎への二発の原子爆弾によるホロコーストに対して、何故愛国的に、アメリカを非難しないのであろうか?北方領土だけが日本の主権を犯された証左なのだろうか?それなら、いま、大問題になっている沖縄におけるアメリカの軍事基地に対する、愛国的精神からの怒りがなぜ湧いては来ないのか?答えは明らかではないか。銭、である。日本の右翼団体の愛国の正体は、明らかに、銭のための言動に過ぎない。さもしい限り。
推薦図書:「夜と女と毛沢東」吉本隆明×辺見庸の対談。文藝春秋刊。政治的行為や言辞など、そもそも矛盾だらけ。右翼ばかりをやり玉に挙げるのもどうかと思いますので、かつては左翼の憧れだった毛沢東という、したたか極まる人物像に迫ってみましょう。毛沢東があの悪名高き「文化大革命」を指導したのです。政治とは、健康なときはそうでもないですが、体調がよろしくないと、僕にとっては、関わりたくない、NO.1の存在です。
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