With the I Ching

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英語圏での四柱推命

2009-05-05 21:48:39 | 四柱推命

☆はじめに。東洋圏以外での四柱推命についての所感

ご存知のように四柱推命――本家本元的には子平・三命・八字(Ba Zi)などと呼ばれる占術は、中国という土壌で生まれ、そして日本を含めたアジア圏内で育まれてきました。

その四柱推命の根本理論の一つに「季節感」というものがあります。
これは自己として定義される日干に対して、春夏秋冬という四季がどのような影響を与えているか、ということを重要視する視点です。

しかし、このことは逆に世界規模の四柱推命を考えるときには大きなネックとなりうるものです。というのは、例えば低緯度地帯、特に熱帯地方には日本や中国のような四季の推移は見られませんし(ただし気温は変化します。雨季と乾季もある)、北極や南極といった高緯度地帯も季節感を捉えることは困難です。夏は白夜になるし、冬は極夜になる。(正確には、66度33分より高緯度を極圏という)

緯度に関する問題は西洋占星術でも度々議論されていますが(ハウス理論の諸説として)、四柱推命でも掛かる問題点は共通しています。地球の場合、緯度の違いは太陽高度の違いでもあり、それによる日照時間や照射量の変化によって季節の変遷具合が異なります。

さらに元を辿ると、季節変化の主因は地軸の傾きです。
地軸とは、地球が自転する際に南北の極点を結んだ静的な軸のことですが、それが23度26分(23.4度)ナナメに傾いている(=太陽の自転軸と地球の自転軸が平行でない)ことで、太陽と地球との関係に熱や光における複雑な様相をもたらしているわけです。

遥か昔に中緯度地域で生まれ、そして発達してきた四柱推命は、多分にその土地の季節感に依存しています。二十四節気の名称を見るとそのことが露骨に判りますが、さらに七十二侯にまで拡張すると、俄然、世界各地の季節感とは一致しなくなります。

季節的に四季の推移がはっきりしているのは、およそ30~50度内の中緯度地域で気団の変化が大きい場所です。天文学に言えば、南北回帰線から極圏の間の地域ということになります。理屈的にはこの範囲内であれば、多少の改良が必要だとしても、ほぼ通常通りに四柱推命を用いることはできそうです。

ただ、こうした名称や季節感にとらわれず、単なる黄経上における記号やシンボルとして扱うならば、そうした体系をつくり上げることは可能だろうと思います。もっとも、そうなると旺相死囚休や十二運といった旺衰論を展開するのにもチョットばかし工夫が必要そうですけど。

十二運については上級者の方から排斥されることが多いのですが、一方の旺相死囚休は採用されているみたいなので、これを除外するわけにはいきません。また、僕が作っている「白帯」というソフトにとっても、この旺相死囚休は五行力量計算の根底に流れているものなので必須です。

この理論を端折って言うと、その人自身と季節とがマッチしているか、ということです。マッチしていれば力量的に強くなりやすく、ミスマッチならばその逆です。

例えば、日干木行(甲・乙)の生まれの人は、土用や秋の時期に生まれることを忌みます。というのは、木剋土であるし、金剋木であるからです。つまり、死や囚になる。
一方で、春生まれは木に乗じるため力を得ますし(旺)、夏生まれでもそれなりのエネルギーがある(相)。これを「月令を得る」と言っています。また、冬生まれは水生木となり、平素の(中間的な)力量があります(休=僕は老という言い方が好き)。

この理屈を世界仕様の四柱推命に延長させる場合、どうしても熱帯地方や極地方については追求しづらくなり、あるいは理論的に破綻してしまう恐れもあります。

まあ、それ以外の地域ならば、例えばオーストラリアやアルゼンチンといった南半球でも、はたまたロシアとかカナダといった比較的高緯度の国でも使用には耐えうるだろうとは思います。ただ、その場合も地支の反転(南半球)や蔵干理論の見直しが求められるかもしれません。

こうしたことを一つ一つ解決していくためには、まずは純粋に「当たるか、当たらないか」を判別するために海外生まれの方を大勢検証していく必要があります。そして、当たらないのであれば、その理由を突き止めて改善する。とりあえずは、そこからでしょうね。


☆・・・で、今日の本題。

(毎度ながら前置きが長くてすみません

今回の記事を書くに当たって、また南半球に対する海外の四柱推命ソフトの対応状況を知りたくて、幾つかの英語版ソフトや英語サイトを当たってみました。

今日はそのソフトの紹介をして目処にしようと思いますが、今後も用語の対照(「相生・相剋って、英語ではなんていうの?」とか)を含めて、海外での四柱推命の理解度や使用状況を探っていこうと思います。

まず、四柱推命という名称ですが、主な英語サイトを見る限りでは「Four Pillars」(四つの柱)とされているようです。もっとも、中国系の占術全般を「Chinese Astrology」(中国系占星術)と呼んでいるようなので、認知度の低い国では多少の混同はあるのかもしれません。

で、今回紹介するのは、そのまんまですが「Four Pillars」という名のソフトです。
これにはシェアウェアとフリーウェアがあるのですが、ここではフリーウェアを取り上げます。

ダウンロードは、次のサイトから行えます。
上側にある日本の国旗をクリックすると、適当に翻訳してくれます。
(でも、英語のままの方が案外判りやすいかも!?)



「Four Pillars and Feng Shui Software」

Feng Shui とは風水のことですが、まあ、ソフトの内容的には日本の気学および家相のような感じです。本格的な風水とは言いがたいですが、海外製ソフトにしてはそこそこのつくりだとは思います。

製品版に関しては、

Four Pillars & Feng Shui 4.1 Screenshots」か、
Four Pillars and Feng Shui Tutorials」で、詳細が見れます。
(シェアウェアですが、30日間無料お試し期間版もあります。ここではフリーソフトのインストールを解説してますが、本格的に試すならばこっちの方がいい。)


トップページの画面を下げていくと「Freeware Four Pillars 1.0」というのがありますので、そこをクリックします。(左のメニュー画面の「Download」から入っても可。)



拡張子が.exeなため、「実行」すればファイルが自動抽出されますが、保存場所を指定して「保存」しても構いません。



自動抽出の場所は、基本的にそのまま「start」で大丈夫です(テンポラリーフォルダへ抽出される)。



続いてインストールです。

注意書きの内容は、「このソフトをインストールする前に主要なアプリを閉じておいてください。」というものです。準備が済んだらOKを押します。



次の画面。ここで、インストール先を指定します。
必要ならば「Change Directory」をクリック後、各自で変更してください。
まあ、ちょっと試してみるだけならば、そのままPCのアイコンを押せばOKです。



このとき、ソフトで使われているファイルがPCにあるファイルより古い場合、コピーするか(上書きしても良いか)どうかを聞いてくるメッセージが出てきます。

「既存のファイルを残す(keep)ことをお薦めします」とあり、次いで「現在のPCにあるヴァージョン(新しい方)のファイルを残しますか?」と聞いているので、「Yes」を選択します。
PCにとっては重要な内容なので、慌てないようにしてくださいね。



さて、これでインストールが済みました。

今、インストールしたフォルダを開いて、次のアイコンをクリックするとソフトが開くはずです。



以下の画面は、初期設定の状態です。
「Calculate」(計算)ボタンを押すと、四柱のデータが出てきます。
調べたところ、均時差補正も組み込まれているようです。

皆さんは、ご自分のデータを入力・選択してみましょう。



まず、「Male」と[Female]は「男」か「女」か。これはいいですね。
あとは、年月日時のデータを選択して「Calculate」。

基本的なインターフェースは、日本や中国での四柱の表記に近いので馴染みやすいとは思います。下部にある「Year」「Month」「Day」「Hour」が年月日時で、それぞれに干支と英語読みと中国語読みが併記されています。地支の下にあるのは「蔵干」でしょうね(中国式? 日本の一般的なものとは少し違う。特に四正のところ)。

ちなみに製品版では、これらに力量としての数値が与えられていてグラフ化されるわけですが(30日間お試し版を参照)、フリー版では残念ながらその機能はありません。力量配分は、蔵干が配当される期間などの影響から余気・中気・本気でそれぞれ異なっています。最も高いのは本気ですが、余気・中気も本気の3分の1くらいを割り当てられています。

また、製品版の場合、Atlasによって南半球の場所データも選べますが、どうも年月支の反転は全く考慮されてないみたいです。他のサイトも見てみましたが、支の反転を云々している所は見当たりませんでした。(検索の仕方が悪かったのかな。再調査の必要がありそう)

ところで、左右に「Life」と「Conception」とあります。
「Life」は日本で言う命宮で、「Conception」は「受胎月」だと思います。

日本の一昔前の文献にある淘宮術だったかにも、受胎月を考慮する看命方法がありますが、そういった本を参考にしているのかな。

でも、この命宮で示される十二支は六壬で言う月将と同一で、いわゆる十二星座(サイン)です。例えば子と出たら、それは水瓶座のことです。表繰りは節気形式の四柱推命用もありますが、いずれにせよ支は支でも系が違う。これを同一要素として考えていいものかは疑問です。また、命宮を求めるならば実際のASC(アセンダント)を出すべきだと思う。基本的に表繰り方式は正確さに欠けますからね。

命宮の干の出し方は、紫微斗数の十二宮への十干配置法と同じです。
具体的に書くと、生年干が何であるかによって、寅を起点とした右回りの干配置が決まる、というものです。甲己年ならば丙寅、乙庚年ならば戊寅、丙辛年ならば庚寅、丁壬年ならば壬寅、戊癸年ならば甲寅となり、残りは右回りに十干を配置させればいいわけです。たとえば甲己年ならば、丙寅→丁卯→戊辰・・・という風に。

(ところで製品版では、作者独自の理論として月の柱(Moon Pillar)と月の時間(Moon Hour)というものも出せます。作者本人も「実験的」とヘルプファイルに書いているので、実践に使えるかどうかは不明瞭ですが。
ただ、考え方としては「白帯」にも同じようなデータを入れてあるので理解はできます。特にMoon Pillarの方は月相を十二支に当てはめたものなので、太陽と月のアスペクトという意味合いで考えることは可能です。

Moon Hourの方は、一日の太陽の運行を月に置き換えたものみたいです。大まかに言って、十二ハウスでの月の位置関係で十二支を表している。時柱の月版のようなものということで、作者も「これは非常に時柱に似ている」と書いています。)

製品版の方にある力量判定を見てみると、月令(月支)を重視しているのは同じようです。ただ、通根・透干の理屈や旺相死囚休を考えているかどうかまではわかりません。まあ、かなり凝った作りなので、もしかしたら内部処理では考慮されているかもしれません。

また、単に十二運で運気を見ているサイトは幾つかありましたが、このソフトではそれによらず、喜忌を元に吉凶グラフを出しています。五行の力量計算に関する条件設定は不可みたいですが、喜忌の取得法はユーザーで選択できますので、それぞれを試して過去の事象と照合させることが可能です。これはいい機能だと思う。

通変や神殺といった要素を用いず、五行(十干)の力量によって判断しているという点では結構まともなソフトだと思います。
(僕もこれぐらいのソフトが作れるくらいの技術力があったらなーって思う



ではでは、今日はこの辺で。

また、暇を見ては、英語サイトでの四柱推命を紹介していこうと思います。
お楽しみに。。。



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