※この記事は、「2words」サイトにて何回かに分けてお送りするつもりでしたが、文章の切りどころがつかめず、結局こっちで投稿することにしたものです。
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2016/9/7 白露の日
暦の知識と使い方:「十二直(じゅうにちょく)」
二十四節気という東洋の暦では、今日から白露(はくろ)です。昼間はまだ暑いものの、夜の冷え込みにより朝露が降りてくる、といった意味です。秋らしさも増してきて「天高く馬肥ゆる秋」なんて言葉が似合う時季がやってきます。
この二十四節気は12か月を24の季節感に分けるもので、各月の前半にある“節気”が暦上の一か月(十二支月)の区切りです。また、後半の区切りは“中気”と呼ばれます。中気のほうは星占いでの星座の区切りと同じで、例えば秋分の日は天秤座の始まりの日になります。
今回のテーマとしている「十二直」は“節気”を境に切り替わる暦です。例えば、9月は十二支では酉(とり)月に当たり、同じ酉の日を十二直のスタートである「建(たつ)」に当てます。10月なら戌(いぬ)月なので、戌の日を「建」に当てます。つまり、「建」は数字の1とかアルファベットのAのようなものと言えます。
この建を起点に、建(1:たつ)→除(2:のぞく)→満(3:みつ)→平(4:たいら)→定(5:さだん)→執(6:とる)→破(7:やぶる)→危(8:あやぶ)→成(9:なる)→納(10:おさん。収とも書く)→開(11:ひらく)→閉(12:とず)の順で並びます。今日の白露以降で最初の酉の日は9/12なので、逆算すると今日7日の十二直は「危(あやぶ)」となります。(「さだん」、「おさん」は、「さだむ」、「おさむ」でもいい。読み方にこだわる必要はありません。)
逆算しないで考える場合は、単純に「節気の日は前日の十二直を繰り返す」と覚えておけばOKです。つまり、9/6が「危」の日だったので白露の節気が始まる9/7も「危」。そして、9/8は次の「成」になるというふうに。この繰り返すことを「オドル」といい、踊る、躍る、跳るといった文字が当てられます。
ちなみに、暦の別の要素である28宿にも「危宿」というのがあるので、日めくりなどを見るときはそれと間違わないようにしてください。そうした混同を防ぐ理由もあって、十二直は平仮名表記されることがよくあります。
現代に生きる私たちにとっては年賀状などで年の十二支には馴染みはあっても、月や日の十二支があることを知らない人が少なくありません。しかし、昔は季節や一か月の移り変わりを知るために月の十二支は重要でしたし、それと呼応する日の十二支を物事の起点にするという考え方が出てきたのも、ごく自然なことだったのでしょう。
その意味で、この十二直はわりと素直な暦注(選日)と言えるものです。読み方も易しく、概ねその言葉から連想される解釈が当てられています。ただ、一般の暦の本や日めくりなどに書かれている解釈は使い古されたものであり、また大げさな表現に感じるものもかなりあります。例えば、「満(みつ)」は「すべてが満ちる日」なんて書かれています。そうした解釈をそのまま使うのは無理があり、それよりも例えば、“なぜ満ちる状態になるのか”を考えるほうが応用も利き、使い勝手が良いでしょう。
また、移転・引越、旅行、婚姻、建築、開店、種まき、動土、穴堀、道路修繕、購入、服薬、祭祀など、いろいろと具体的な事柄が書かれていてそれぞれに吉凶を説いていますが、それに関してはこだわらなくてもいい、と述べておきます。旅行に行きたければ行きましょう。日取りで凶と出ていたら動けないのでしょうか? いえ、そんなことはありません。もし心配なら吉方位や吉方時でも調べてそれを使えば、意外と気分よく出かけられるでしょう。
薬を飲んではいけない? そんな日があったら困る人がこの世の中にはたくさんいます(「除=薬の飲み始めに良い」というのは、百害を除くという解釈から出た、もはや“願掛け”と同等の意味合いに思えます)。結婚に良い日/いけない日? これも、日めくりに書かれている「結婚に吉」を見て式を挙げたのに離婚や別居している人はごまんといます。高い買い物をしていいかどうかなどは、もう暦を確認する以前に考えるべきことが多々あるはずです。
常識的なことを差し置いて、いきなり暦に飛びつき、答えを求めるようなことは受け身な態度でしかありません。そして、それこそ運を下げる要因になりやすいことを覚えておいてください。占いでもそうですが、まずは自力で何とかしようとする気持ちが大事で、それでもどうにもならない場合に、神意(宇宙の意思とかでもいいですが)を得るために占いや暦に尋ねるのです。
大した努力もしていない人が依存的に他の人のアドバイスやヘルプを求めていたら、そのうちに煙たがられ、「自分で何とかすれば」と突き放され、結局は振出しに戻ってしまうでしょう。それと同じことです。
ここでは、一つのヒントとして以下にキーワードを示しておきます。あとは、それを広げて自分なりの使い方を日々の生活の中で見つけていってほしいと思います。
建(1:たつ):物事のスタート、ローンチ。新機軸を打ち出す。紹介や宣伝。テーマを立てる。学び始める。
除(2:のぞく):新たに打ち出したものと、これまでのものとの比較。反応を見た上で修正や削減をする。
満(3:みつ):作り出す動き。生産とか創造的な活動をする中で気づきや発展的な見方を得る。拡張路線。
平(4:たいら):活動に対する休息。落ち着きを意識する。日常品の補充。習慣づけ。共感や共有、同調。
定(5:さだん):挑戦目標や進路(方向・意志)を定める。忌憚なく話し合う。なれ合いから一歩踏み出す。
執(6:とる):周りの要求に応える。自分の役割や責任・義務を果たす。環境・状況に合わせて調整する。
破(7:やぶる):実際に目標にぶつかることでその大きさと課題を知る。食わず嫌いや思い込みを打破する。
危(8:あやぶ):問題回避能力(迂回手段)、および克服方法や危機管理力。慎重さや生きる知恵を学ぶ。
成(9:なる):不足や欠けをなくして完成形にする。組み合わせる。総合的に考える。上のランクを志す。
納(10:おさん):人に見せても恥ずかしくないものにする。プレゼン。未完成なら次の時までに仕上げる。
開(11:ひらく):「納」を踏まえた「建」。現状の刷新。反抗。新しい人脈作り。明るみに出す(公開)。
閉(12:とず):一つの終幕と次の可能性の発掘。時期尚早なら時が来るまで保持。プライベートを尊重。
※十二支月と「建」の日
西暦での12月(子)の大雪以降の子の日(以降=節気日を含みます。他も同じ)
西暦での1月(丑)の小寒以降の丑の日
西暦での2月(寅)の立春以降の寅の日
西暦での3月(卯)の啓蟄以降の卯の日
西暦での4月(辰)の清明以降の辰の日
西暦での5月(巳)の立夏以降の巳の日
西暦での6月(午)の芒種以降の午の日
西暦での7月(未)の小暑以降の未の日
西暦での8月(申)の立秋以降の申の日
西暦での9月(酉)の白露以降の酉の日
西暦での10月(戌)の寒露以降の戌の日
西暦での11月(亥)の立冬以降の亥の日
「十二直の由来は北斗七星の動きにある」といった話もあり、それは天文学的にも確かにそうなのですが、実用上は十二支月と日の十二支、そして十二直の配列とその意味さえわかれば事足ります。理屈は理屈として置いといて、とりあえずは、「こういう考え方もあるんだな」くらいに受け止めたうえで、判断に苦しんだ時の行動指針として参考にするのもいいと思います。
十二直の配列については、それぞれの頭文字をとって、「たのみたさとやあなおひと」と覚えると楽です。重複する文字もありますが、慣れれば順番で判別できます。
でも、解りやすく書いて頂きありがとうございます。
暦注とか選日といわれるものの中で、いかにも当てもの的に作り出された印象の強いものは覚えるに値しません。実際、迷信と揶揄されてもしょうがないものばかりです。
その中で、十二直は原理がはっきりしていて考え方もわりと理解しやすいものなので、ここで紹介しました。
何かの折に参考になれば幸いです。