2月頃から四柱推命のデータとにらめっこしてきて、色々な五行パターンや通変(六親)の配合状態などを見てきました。もちろん、それらは力量計算や蔵干の出し方によっても変わってくるので必ずしも正しいとは言えないわけですが、それでも大筋では出生時点や行運での状態を把握することができるようになってきたと思います。
それで、ここ半月ほど四柱推命の研究から少し外れてビッグ・ファイブ(性格特性としての主要五因子)の本を何冊か読み進めています。今では最初にBigFiveを知った頃よりも色々な書籍が出ていて、かなり詳細が分かるようになってきているからです。2006年頃に、僕はこのビッグ・ファイブ理論と五行や六親という東洋占術の基礎的思想との関連を考え始めたのですが、この頃になって、ようやく自分の中で進展し出したような気がしています。
ちなみに、最近、僕が読んだ(でいる)本は、「パーソナリティを科学する 特性五因子であなたがわかる」(ダニエル・ネトル=著、竹内和世=訳、白揚社)と、「主要五因子性格検査ハンドブック 性格測定の基礎から主要5因子の世界へ」(村上宣寛・村上千恵子、学芸図書K.K.)というものです。また他にも、以前から持っている関連本を改めて読み直したりもしています。
ネット上でもPDF形式での論文が結構な数で見つかるので、それらも適宜参考にしていますが、内容的には専門性が強いので少し難しい感じがします。ただ、それでも色々なことに応用されてきているんだな、ということは知ることができます。
ビッグ・ファイブ理論はパーソナリティに関する心理学なので、それと占いとを結びつけるのは畑違いなわけですが、五行や六親の視点でとらえると不思議なほど共通する内容があるように僕には思えるのです。
当初僕は、ビッグ・ファイブと五行を次のように関連させて考えていました。
その対応のさせ方については、資料が少なかったこともあって紆余曲折がありました。
1.2006年夏:
外向性 : 火
調和性 : 金
誠実性 : 土
情緒安定性 : 水
経験への開放性 : 木
2.2009年夏の記事:「パーソナリティの主要五因子と四柱推命~陰陽五行と通変~」
外向性 : 木(仁・比劫)
調和性 : 火(礼・食傷)
誠実性 : 土(信・財)
情緒安定性 : 金(義・官)
経験への開放性 : 水(智・印)
この時期に通変との関連性を考えていました。対応のさせ方は今も同じです。
ただし、五行については今は次のように想定しています。間違っているかもしれませんが。
3.現在(2014年春)
外向性 : 火、比劫
調和性 : 土、食傷
誠実性 : 金、財
情緒安定性 : 水、官
経験への開放性 : 木、印
各因子は「~~タイプ」というような“類型”ではなく、数量的な幅のある“特性”として測られます。
例えば、ある人について「外向性がある」と述べるだけでは不十分で、それが“どの程度あるのか”という観点で示されます。
簡単に言うなら、強い外向性や平均的な外向性、弱い外向性といった具合です。
逆の見方をすれば、弱い外向性は強い内向性と見ることもできます。それと同じように、調和性や誠実性などの他の因子も、それぞれの度合い(尺度)によって解釈が設けられています。これに関しては前述の「主要五因子性格検査ハンドブック」が詳しく、そこには五因子の内の有力な一つ、もしくは二つを組み合わせた解釈も記されています(参考:本の目次)。これを見ると、僕は「四柱推命 完全マニュアル」(浅野太志=著、総和社)にある31の命式タイプとの関連を考えずにはいられません。
また、各因子の名称も今のところ完全には定まってはおらず、著者によって異なった呼び方がされているので、これから学んでみたい人は幾つか別称も覚えておく必要があります。例えば、「経験への開放性」には他にも「知性」や「文化」という呼び方もありますし、「情緒(不)安定性」を「神経質傾向」などと言ったりもします。「調和性」も「協調性」とか「愛着性」と言ったり、「誠実性」を「勤勉性」と呼ぶ人もいます。
で、現状として、個人的には3のように対応関係を考えていますが、五行としてみたほうがいいのか通変(六親)としてみたほうがいいのかは、まだあまり確信のないところです。一応、通変との対応で読むのがいいかなとは思っていますが、ひょっとしたら、これらは占星術でのハウスやサインの定位のようなものとして機能しているのかもしれません。あるいは八卦と九宮の定位のようなものとして。
こうしたクロス・リファレンス(相互参照)の考え方は、他のあらゆる理論とも結び付けられる可能性があります。僕自身も以前に、様々な分野の内容とリンクさせて連想を広げるということをしていた時期があります。陰陽五行などの東洋思想に限れば、主に五行との関連で古来より多くの人達が対応付けを探ってきていますし、現代では、それらに加えて新たな科学的知見も織り交ぜられるようになってきています。
例えば脳科学の分野から五行とホルモンの関係に言及するものもありますし(五因子の働きと脳の活動部位の特定、外向性とドーパミン、情緒安定性とセロトニンやノルアドレナリンの関係など。また、「脳の設計図で知る 本当の自分ウラ・オモテ」のサイト/著書でも面白い考察がなされています)、それから遺伝学や生物学の分野で分かってきたことをパーソナリティの研究に応用する向きもあります(例えば、「血液型より正確 あなたの性格はDNAで決まっていた」など)。
また五行と味覚の関係で、酸っぱい、苦い、甘い、辛い、塩辛いというのが昔から言われていますが、現代ではこれに「うま味」(グルタミン酸を主成分とする味)の概念も出ています。(大枠で括れば、旨味を甘味として分類できるのかもしれませんが)
それに関連して、東洋医学の分野では五臓六腑や喜怒哀楽(七情)、六淫などと五行との関係などが考えられており、それらが漢方や医学の診断に用いられているそうです。この辺りに関しては、四柱推命でも健康を判断するために五行の状態を読み解くということをしています。例えば、次に挙げる書籍ではそうしたことをメインとして書かれています(他にも色々あると思いますが、今手元にあるもので紹介)。
「実践 四柱推命 人の運命と健康のあり方」(レイモンド・ロー=著、山道帰一=監訳、島内大乾=翻訳、太玄社)
「命証合診 体質と病気と運命が分かる 「命理学」と「漢方治療」の結合」(林秀静、岡田研吉、袁世華=共著、東洋書院)
「「眞医」 陰陽五行四柱推命学 ~「漢方」と「四柱推命学」で病気を予防する!!~」(宮幹藍后=著、ギャップ・ジャパン)
※一番目の「実践 四柱推命~」は、健康を主として扱ったいい内容なのですが、出てくるデータを一つずつネット上の情報と照合していくと、出生時刻、時には記載されている生年月日が異なっていると思われるものがちらほらあります。著者が独自に入手されたデータなのかもしれませんが、一応、鵜呑みにせずに出生データについては自分で調べておく必要があると思います。
(実のところ、近年出版されている運命学の本を見ると、他の分野の書籍よりも校正やチェックがしっかりされていないように思えるものが少なくないです。読者はそれらを元に勉強するわけですから、基礎データなどの部分は特にしっかり確認を入れて欲しいと思います。)
四柱推命そのものはパーソナリティ(性格)に留まらず、そこから運命の機微や盛衰の流れなどを読み取っていくので、たくさん学ばなければならないことがあります。でも、それゆえに性格にしても健康にしても運命傾向にしても、それぞれの人の関心に応じて調べていける面白さがあると思います。
それは易での陰陽や四象や八卦と同じく、潜在的には実に多岐に渡る分野に結びついたシステムだと思うのですが、占いという括りで見られることが主流なために、ほとんど科学的な見地からは考察されることがなく、ちょっと残念です。生年月日時&出生地から導き出される情報には、一般に思われている以上に個人の人生を叙述する多くのデータが含まれています。
パーソナリティ研究によると、一人の人間にとって性格の半分は遺伝的(先天的)なものだが、残りの半分は何かしら後天的に作り出されていくものだと言われています。「性格が運命を作る」という意味では、自分自身をよく理解することが、その時々の運気をサーフィンする上でとても重要になっているのでしょう。
幸い、四柱推命では五行であれ通変であれ、その変化を逐一見ていくことができるので、個々人の基盤となっているパーソナリティを軸に、時々刻々と変わる振れ幅(偏差)を読むこともできます。この辺を突き詰めて研究してみるのも面白そうです。
もう少し頭を整理してから書き始めたらよかったのですが、思いつくことを次々と書いただけのような感じになってしまいました。いずれまた、同じテーマで進展した内容を書ければいいなと思っています。
なお、ビッグ・ファイブの心理診断をしてみたい人は、以下のリンクを見てみると大まかなことは分かるんじゃないかと思います。
5つの性格診断 総合案内 パーソナリティ理論を応用した性格診断 心理テスト Big Five Inventory
人の性格を「ビッグ・ファイブ」と呼ばれる5つの要素でとらえる(リンク内にある「主要5因子性格検査(BigFive,デモ版)」)
また、様々な性格分析と四柱推命での方法論とを網羅的に示しているページとして、次のリンクを紹介しておきます。
個性の見方(「大六壬と四柱推命のページ」より)
書き忘れていたことを追記します。
すでに上で今の僕が想定している通変(自洩財官印)と五因子の対応を記しました。
そして、その多寡についても五行計算で出せる段階にあります。ただ、それがネガティブに作用するのかポジティブに作用するのかは力量だけでは判断できません。おそらく他の条件との絡みで考える必要があります。
これに関して、昔は単純に通変の違い(比劫と劫財、食神と傷官、偏財と正財、偏官と正官、偏印と印綬(正印))で読めるのかなと漠然と考えていましたが、四柱推命的には当然、身旺身弱から判断される喜忌の視点もあるわけで、それが天秤の重石のようなものとして(程度の差こそあれ)、ネガティブとポジティブのどちらに傾くかを決める要素になっているんじゃないかと思っています。
あるいは、ひょっとすると純粋に個人の自由意志の働きが関与しているのかもしれませんが、いずれにしても、その辺のことはまだ十分に検討できてないため、五行もしくは通変と五因子の関係も含めて、もっと考察を深めていこうと思います。
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