With the I Ching

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「中庸を量る」って、どういうこと?

2009-12-28 23:51:03 | 四柱推命

ここしばらく、2ヶ月くらい、四六時中とはいかないけれど、時間があれば「四柱推命 白帯」(C.I.の保管庫)の改良に取り組んできました。

易については、「解釈を先に進めないと」という思いは強いのですが、バージョンアップさせておきたい面が気がかりだったので、ずっとそれに掛かりきりになっていました。もちろん、その間も易のデータもちょくちょく取っては来ているので、今後の解説に役立てられればと思っています。

それはそうと、せっかく四柱推命のソフトに専心してきたので、それを使って命式を読解してみたいと思います。

ただ、今回の記事は「四柱推命の中庸」について書きたいので、逆説的ですが、外格(従格)に類する命式を見ながら、五行のバランスを量るとはどういうことか、というテーマを考えてみようと思います。

事例は、「最新四柱推命理論」というサイトのこちらのページで紹介されているものを引用させていただくことにしました。
というのは、著者の方が「きれいな「従児格」の例」と書かれており、理解しやすいだろうと思ったからです。

で、以下の図表は、その命式を「四柱推命 白帯」で表示させたものです。







なんとか読めます?
一応、クリックすると大きい画像が出るようにしましたが、できればソフトをDLして、実際に命式を作ってみて下さい。


で、この命式、確かに食傷(泄星:アウトプット)に当たる木行が突出して高く、他の五行を圧倒しています。

これに財となる火行が少しあって、生産性を得ています(これを四柱推命の用語で「洩らす」という。この場合、大過している相手を克そうとしても力量差がありすぎて返り討ちに遭うだけなので、エネルギーを好い方向に使ってくれるように促したほうがいい、という考え方をする)。

自分である日干癸が率いる水行は木行に比べたら微々たるもので、相対的に過弱です。
また、これを支援する印としての金行は命式内では皆無。大運や年運などで庚辛などの金行が巡ってこない限りは、全般的に木行の独壇場になりそうです。

表を見ると木行の列は緑色がずらっと並んでいますが、これは五行全体の5分の3=60%以上を一行で占めているという表示です。初年期に限れば全体の90%にまで至っているほど。青年期や中年期では少し落ち着きますが、それでも70~80%の力量を維持しています。

こうなると、通常の視点である中庸(五行の均衡)を目指すことは困難です。無理にバランスを取ろうとすれば、強すぎる食傷を制御しきれずに振り回されることになりかねません。じゃじゃ馬を扱っているような感じとでも言えばいいでしょうか。

なので、下手に対抗せずに従児格としての生き方をして、適切な方向に人生を導く必要がある、というのが外格的な発想になるんだと思います。

ただ、そのサイトの著者の方も書かれている通り、この命式の大運を見ていくと55歳以前は過弱のまま木という強者に従っていけるのですが、55歳以降は庚申・辛酉と印星である金行がしゃしゃり出てくるので、それまでの流れとはガラッと変わってしまいます。

調和性と偏向性のグラフでは主だった変化は見られないのですが、気質の強弱のグラフを見ると一目瞭然です。水行そのものの自力という点では大差はないので、印のバックアップをどう受け止めるかが鍵かもしれませんが、急激な変化にそれまでの姿勢を続けることが難しくなるのは間違いないでしょうね。


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さて、こうして見てみると、単に「バランスを量る」・「調和を目指す」という見方一つにしても、その本質とは何かを考えざるを得なくなります。
時期によって変化するにしても、その人の要となる部分を生かすために他を棄却するのか、全体としてのシフトアップを目指すのかでは、まるで処方が違ってくるからです。

また、大家の方が仰るような、その時々の運における喜忌の変化という概念も、カラー表示を見ていると理解できる気がしてきます。

上記の例は従格でしたが、普通の格に相当する場合でも、運期によっては命式のバランスを大きく崩すほどの影響を与えることがあり、一時的に外格傾向になることが見られます。もちろん、それはその時だけの仮初ですが、ちょっと浮いた感じになるのは確かです。

僕らが普通考えるバランス感覚というのは、この体はもちろん、心と体の相関性とか、実際的な行動面での融通さとか色々ありますが、四柱推命でいう中庸性というのは、五行の働きを自分の本質に添ったものにする、ということなのではないかなー、と最近思っています。

一言で言えば、単に人格を丸め込むような考え方ではなくて、その人その人に合った生き方に導くことが大事というもの。

内格としての出っ張りを抑え、引っ込みを叩き出すような方法も、外格としての特定の性質に特化するという方法も、その人に適した指南を見つけるという意味では、どちらも中庸と言えるのかもしれない、そんな風に考えています。


ところで、現行のソフトのやり方では、単純に平均からの偏差を基にしており、日干の強さを基準にしているわけではありません。
そのため、本来的というか正統的な方法とは異なる可能性はありますが、使っている限りでは考察に用いる分にはそこそこ利用価値があるように思っています。

「四柱推命 白帯」はフリーウェア(フリーソフトという表現と、どちらが正しいのだろう?)ですので、気軽にダウンロードして頂いて、皆様の研究の一助にしてもらえたら嬉しいです。


今日の記事が2009年最後になるかと思います。
また新年にお会いしましょう。どうぞ皆様、良いお年を!


ではでは~



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