With the I Ching

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平気法と定気法 ~中間報告~

2009-01-26 20:12:28 | 占い全般のコラム

※ページ下部に追記

 

連日、平気法と定気法それぞれの太陰太陽暦(…長い。陰陽暦じゃダメ?)を比較する記事を書いています。
そろそろ読者も飽きてきたかもしれませんが、ご安心を。とりあえず今回のコラムで区切りにしますので(笑)

日曜日、丸一日を使って2006年のそれぞれの閏月に相当する期間に得ていたデータ(25個)を比較検討してみました。(残念ながら2004年の閏月の期間のデータは見当たらず。その前後の日付のデータは結構あったのに…。惜しい。)

で、話が長くならないように結論だけを先に書くと、どうやら太陰太陽暦は現行の定朔定気法の算出法で良さそうです。もっとも、この結論は2006年の該当期間のみを検討した結果であって、他の年も同様かは不明という条件付ですが。

一応、今はまだ中間報告の段階なので、過去のデータをもっと検証してみないことには「定朔定気法が正しい」という断定はできません。もし過去における該当期間のデータを提供しても良いという方はメール(メッセージ)を頂ければ幸いです。

ただそれでも「ある年は定気法がよく、ある年は平気法が良い」なんて変節を許す条件はないと思いますので、私見としては定朔定気法で良いのでは、と考えています。

ところで、今回、相互に見比べてみて思ったのは、よく古典にあるような例外処理(特殊な考え方)が生み出された背景に、こうした閏月のズレが絡んでいるのではないか、ということです。今回サンプルにした2004年にしても2006年にしても、方法論の違いで二ヶ月間も旧暦月が一つずつズレていたわけですからね。

そう考えると、何百年もの間ずっと平気(恒気)法で計算された二十四節気に準拠してきた先達方が、気づかない内に本来とは異なる命式などを作成してしまったとしても何ら不思議ではありません。

例えば四柱推命で言えば、数多ある格とか神殺辺りがそうだろうと思います。つまり、節入り日時の違いで年や月の干支が変わってしまう人の命式を見て、その間違った命式と実際性とのズレを埋め合わせようと無理やりこじつけたものが、様々な例外や特殊技法として古典などの文献に残されているのだとしたら・・・。

当然ながら、そうした“辻褄あわせ”は現行の定気法下では意味を成さないはずです。(まあ、平気法を用いていた時代であれば、ズレを含めて上手い具合に噛みあって使えたのかもしれませんけども)

このことは二十四節気の中気を基準の一つとして用いる太陰太陽暦にしても同じで、月がズレれば紫微斗数などの命盤や時間易の得卦などが変わってきます。おそらく習熟した占者ならば経験的に二十四節気のズレを感知して個々で補正を入れていたんだろうと思いますが、そうでない場合は、何とか現象と適合させようとして表構成や判断法、解釈法にあれこれと改造を加えてしまった経緯もあるかもしれません。

もちろんこれらは仮定の話ですが、可能性としては十分に考えられると思います。ただし、もしそうだとしても根本的な原因が暦の作成法や天文計算の精度に由来するのであれば、占術全体に関わる内容であるだけに個々の試行錯誤を責めるわけにはいきません。むしろ、何とかして占術の内容と現象とのギャップを埋めようと苦闘したその努力と研究心を讃えるべきだと思います。

平気法(定朔平気法)を支持する方もおられると思いますが、個人的には暦作成において新月つまり朔の瞬間を天文計算によって精確を期すのであれば、もう一つの基準となる二十四節気も同じ精度で位置計算するほうが整合性が取れていいような気がします。

少なくとも平朔法(新月の日時を月と太陽の平均黄経に基づいて算出する方法)が正しくないことは、これまで蓄積されてきたデータと僕を含めた大勢の方の経験知から明らかです。このことから定朔は揺るぎません。そして、それに見合う精確さで二十四節気を視黄経に基づく空間分割によって求め、その両者の相互関係から太陰太陽暦を作成する――それで良さそうに思えます。

ただ、「旧暦2033年問題」という課題が残されているので、やはり閏月の挿入条件については再検討が必要です。
(ま、神の御業か何かで――彗星の引力の影響とか小惑星の衝突などで惑星の軌道が「ウマイコト」補正されて問題解決! みたいなことにならない限りは)

暦学者の中には、平気法で作成すればその問題は発生しないので平気法に戻すべきだという指摘もあるわけですが、それだけの理由で定気法による旧暦作成を否定して改悪だと謗るのはどうかと思います。

まあ、定気法・平気法いずれにせよ、占術を扱う者としては現状も含めて実用性のある方を選択するしかないわけで、2033年にしても「その時になってみないと分からない」というのが正直なところでしょうね。

確かに、平気法(恒気法)によって時間分割すると旧暦の作成も楽です(特に閏月の挿入に関して迷いがなくなる)が、暦を作成する以上は季節の指標を明確にするという意味でも中途半端な値を入れてズレを放っておくことはできません。その意味からは、現行の旧暦作成法は完璧ではないにせよ正しい方法論に則っていると考えます。

 

2017/07/11 追記: 閏月の挿入について

平気法(恒気法)による太陰太陽暦(旧暦)」の記事にも同じ内容の追記をしましたが、あの記事では2004年のところで2003年の閏12月、2006年のところで閏月9月としていました。でも、実際に旧暦を作る場合で中気日と新月の日が同じときは、その日を翌月の一日とみなすので、その記事にあるものとは旧暦月が変わってきます。その頃の僕は、その辺の理屈を把握していませんでした。で、その作り方でいくと、2004年のところは2003年の閏11月、2006年のところは閏7月となります。この記事では2006年の定気法と平気法では閏月が異なるという前提で「2006年の閏期間を検討した結果、定朔定気法で正しい」と熱く書いているのですが、その前提自体が崩壊しています。新たに別の年の閏期間で検討をしなければなりません。

ただ、旧暦作成の一般論としては中気日が新月日に重なった場合、双方の時刻までは見ずに「その月は中気を含まない」とするわけですが、実際の占いでは果たしてそれでいいのか、僕は疑問に思っている面もあります。例えば、これを書いている今は2017年の閏5月とされる期間ですが、実際の占いの結果を見ていると、僕には閏月ではなく旧6月であるように感じられています。実は、この期間を「定朔定気法か定朔平気法&日本時間&中気日と新月日が同じでも時刻まで比較する方式」でいくと、どちらも旧6月となり、中国の農暦と同じく、翌月が閏6月になる計算です。今の僕は、これらの可能性について検討を進めているところです。

 



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