石綿じん肺労災不支給取消川名訴訟の第10回弁論が10月3日、宮崎地裁で開廷されました。この日の裁判で原告側代理人は、原告川名勝代さんの亡き夫川名國夫さんが、旭化成延岡工場で働いていた頃の石綿ばく露の状況を把握するために、同社で中皮腫に罹り労災認定されている6人の状況証拠を監督署に調査嘱託として出させるよう裁判所に求めました。そして、故國夫さんの仕事を見ていた同僚と勝代さんを証人尋問として採用して欲しいと申し立てました。また、被告国側も故國夫さんが働いていた時代の健康診断やレントゲンなどを旭化成に調査嘱託として出させるよう求めました。裁判所は、原告、被告双方の申し立てを採用しました。
6人の中皮腫患者が発症しているように旭化成の製造工場で石綿が使用されていたことは疑いのないことですが、故國夫さんが就労していた、目地小屋(昭和23年1月から昭和39年8月)と呼ばれる所での作業で、どのように石綿にばく露したかを再現することが重要です。原告側は、故國夫さんと一緒に働いていた同僚を探しましたが、目地小屋で働いていた人はすべて亡くなっています。
国側は、石綿ばく露を過小に評価し、当時の健康診断で他の病気があれば、そのせいにしようとしています。また、死亡の原因が間質性肺炎と血管炎であり、石綿ばく露とは関係がないと言う主張を繰り返しています。
間質性肺炎や血管炎は、粉じん作業労働者に多発している自己免疫疾患です。石綿じん肺は中皮腫だけを引き起こすのではなく肺がんや間質性肺炎、血管炎などのANCA関連疾患を引き起こします。他の疾患の方が、中皮腫の何倍も多いのです。裁判所は、國夫さんが石綿ばく露を受けなければ、このような病気には罹患しなかったことをきちんと認めて欲しいと思います。
次回の裁判は、12月21日(金)10:00から行われます。(写真は、宮崎中央法律事務所で開催された報告集会)