私の音楽 & オーディオ遍歴

お気に入りアーティストや出会った音楽、使用しているオーディオ機器を紹介します(本棚8)。

NEW BIG4 featuring ドミニク・ファリナッチ

2009年11月04日 | コンサート
久しぶりにジャズ・コンサートに行ってきました。
ジョージ・川口Jr.(川口雷二)率いるNEW BIG4にニューヨークから今をときめく新進気鋭のトランペッター、ドミニク・ファリナッチがゲスト参加。

ファリナッチさんを知らなかった私はコンサート前にCDを購入して聴いてみました。
ソフトな音色にあふれる歌心・・・確かに高く評価される魅力・実力の持ち主だと感じました。
レビューではチェット・ベイカーやマイルス・デイビスになぞらえる方もいます。
ただ、発売されているCDはソフトな音色が強調されてややイージーリスニング調のアルバムが多い(日本人プロデューサーによる売れ線狙い)ので、ちょっと辟易。

さて、川口雷二さんはお父さんのジョージ川口張りの「見せるドラマー」です。
太鼓を叩き、リズムを刻む快感を体現し、エネルギーを凝縮したような音の洪水で魅了するタイプ。
聴くたびに、体の奥底に眠っているリズムを求める本能を呼び覚ましてくれるようです。

NEW BIG4はジョージ川口が長年率いてきたバンドであり、没後に後継者の雷二さんが引き継いだ格好です。
そのメンバーは・・・
・野太い音で音楽の広がりを造るサックスの中村誠一さん、
・音の吹き出しや切れが抜群でジャズトランペットのお手本のような岡野等さん、
・ドラムのほとばしるエネルギーに負けない強靱なベースを刻む水橋孝さん、
・全体をまとめてエレガントさを添えるピアノの市川秀男さん、
と百戦錬磨の強者揃い。

この中でソフト路線のファリナッチさんがどんなプレイをするのか、不安半分、期待半分でコンサート会場へ向かいました。

1曲目からゲスト参加のフルパワーの演奏が始まりました。
長身のファリナッチさんも顔を真っ赤にして体を揺らしてバリバリ吹きまくっています。
かっこいい、というよりかわいい感じでした(笑)。
しかし音が荒くなることはなく、やはりソフトで歌心に溢れていて素晴らしい演奏を聴かせてくれました。
日本発売のCDは彼の一面しか表現していないと感じました。
第二部のバラードは彼の真骨頂で、その魅力に会場にため息が漏れました。

もう一つ気づいたこと。
川口雷二さんのドラムソロが始まると、バンドのメンバーがじっと彼を見つめるのです。
厳しく、そして温かい眼差し。
「カモン、ライジ・・・親父はもっとホッとだったぜ!」と言っているような雰囲気。
そして最後にはニヤッと笑顔を見せ、ピアノの市橋さんは拍手までしていました。
親父さんの域に達したことをメンバー全員が認めている証拠だと感じました。

コンサートが終わり、日頃の仕事で心身ともにつかれ気味の私は元気をもらって帰ってきました。
還暦を迎えた御仁達のパワフルな演奏を見せつけられ、まだ40代の私が疲れて老け込んでいる場合じゃないぞ、と自分に言い聞かせたのでした。

あ、もちろんファリナッチさんの新譜を購入してサインをもらい、握手をしてきましたよ。