副題:良い音へのトビラを見つけた!
2010年、Rittor Music 発行
最近、オーディオ熱が久しぶりに再燃し、その勢いでしばらく前に購入しておいたオーディオ関連本を読んでみました。
内容はオーディオの基本をとてもわかりやすく解説している良本です。
まず、高価なオーディオ機器に手を出す前に、部屋の環境整備が大切なことを教えてくれました。
音を反射するもの(壁や窓)と吸収するもの(カーテンや本棚)をうまく利用して、音響を整えるべし。
その視点で私のオーディオルーム(ただの洋間ですが)を検討してみると・・・スピーカーは窓をバックに設置されており、バスレフ・ダクトから出る低音の反射をカーテンで調節し、一方、リスニングポジションの後ろは本棚が並んで吸音しているため、音響がほどほど「良い加減」になっている様子。
スピーカーの位置決めに関しては「ボーカルデュオを部屋に招いてステージで歌ってもらうイメージで設置」とわかりやすい表現。
前面のラインを一本線上に合わせる「フラットセッティング」を実行すれば、より音像がカチッと決まりそうなのでこれから調節に挑戦しようと思いました。
スピーカーケーブルなど、ケーブル類を替えると音が明らかに変わることが私でも実感できますが、しかしこれは科学的データでは実証されていないという事実を知り意外に思いました。
それから「位相」という言葉に興味を引かれました。
スピーカーが再現する音像には横への広がりや奥行き感があります。
なぜそんなことが可能なのか、考えれば考えるほどわからないのですが、この音の空間配置を司るのが「位相」ということらしい。
位相がよければ音像がリアルに再生され、位相が乱れていれば音像がぼやけたり歪んだり。
以上、私のようなオーディオ初級者が自分のシステムを見つめ直してブラッシュアップするには格好の本だと思いました。
<メモ>
自分のための備忘録。
■ スピーカーは見た目通りのサウンドで鳴るものが多い。
・・・某オーディオショップで「スピーカーケーブルは見た目通りの音がする」と聞いたのと共通してます。
■ お勧めのウーファー口径は16cmクラス。
・・・低音の量もスピード感もほどよいバランス。さらに部屋の大きさにより調整が必要で、10~20畳では16cm以上の大きさ、6畳以下なら16cm、10cm、8cmも選択肢。
■ スピーカーのカタログデータの読み方
【周波数特性】一般的な音楽用スピーカーの特性が得られていれば問題なし。
【インピーダンス】8オームくらいが一般的。4オーム以下のスピーカーをスタジオのような大音量で鳴らす予定があるならば、アンプ側が4オーム以下のスピーカーにも対応しているか要チェック。想定していない設計の場合、大音量時の音質劣化はもちろん、アンプの保護回路が働いたり、場合によっては故障する危険あり。
【能率】90dB以上のスピーカーがよいという意見が多いが、あえて能率を落として成果を上げるスピーカー設計方法もあるので一概には言えない。90dB前後のスピーカーならふつうに使用可能と考えて差し支えない。
■ スピーカーをどのくらい壁から離したらよいのかは、歌う場所を想像して考えるべし。
・・・歌手の背中がくっつくくらい壁際に立たせるのではなく、かといって客席に近すぎない、自然な立ち位置はどこか。
・・・壁とスピーカーを近づけると低音が増える傾向、スピーカーを壁から離すとステージの奥行きが再現されやすい傾向。
■ スピーカー位置調節は正確な「フラットセッティング」を
・・・スピーカーを内振りにせず、フラットに正面にセッティングする方法。スピーカー前面のラインを1mm単位以下のズレに収めると、ピントがピタリと合うように音像が別次元でカチッと決まるのがわかる。すると正面で聴かなくても不思議と音像が乱れない。レーザー墨出し器を利用すると簡単に実現可能。
■ 部屋の音響調節にはカーテンやラグマットなどが吸音材として応用可能。
【カーテン】厚手のオーガニックコットン製がお勧め。カーテンのよいところは、開閉により音響を調節できること。
【ラグマット】天然ウール100%がお勧め。リスニング席側に敷いてルームチューニング。
【ソファ】吸音効果を狙うなら布張りがよい。本革や合皮では音を反射してしまう。
【じゅうたん】床からの音の反射を減らす。
【本棚】吸音効果があり、リスニング席の後ろ側に設置すれば音の反射を和らげてくれる。
■ 響きのよいお風呂場と悪い映画館
【お風呂場】タイルや壁で音が反射するので声がよく響く(思わず歌いたくなる)。
【映画館】意外なことに映画館は音が響かないように造られている。映画にとっては「残響が少ない空間」が好ましく効果音がピタリと止まることが重要である。何もない空間からパット音が立ち上がり、瞬時に消える・・・映画のストーリーにのめり込む瞬間である。
■ 真空管アンプの特徴
・・・柔らかくて暖かい音色が魅力。反面、太く腰のあるサウンドなだけに切れのよいスピード感のある音楽は苦手な傾向あり。真空管には寿命があることもお忘れなく。
■ ケーブルによる音質変化は測定器では計測できるものではなく、今のところ理論的に解明できていない。
■ CD規格は1982年に登場。サンプリング周波数は44.1kHz /16bit。
■ オーディオ専用電源を!
・・・ノイズを減らすにはブレーカーレベルでの専用電源を用意するのが効果的。電気屋さんに「オーディオ専用電源を設けて欲しい」よりも「専用回路の増設をひとつお願いします」と依頼すればスムースに対応してくれる。
専用電源にすると力強い音に変化し、2~4dB程度大きな音に感じるようになる。
■ ビートルズのリマスター盤は、音圧がかなり低く抑えてある。
・・・ファンの中ではサウンド的に賛否両論があるが、レベルに関しては間違いなく素晴らしい。
■ (鈴木裕氏の発言)僕はMP3では満足できないんですよ。
・・・スピーカーで鳴らすと、明らかに空間情報がなくて、平べったい音楽になってしまう。奥行きが出ないように感じる。だからCDの方が好きです。
最後に付録のオーディオチェック用CD「Flow」を聴いてみました。
私のシステムには4種類のスピーカーがあります;
① pino parlante(atelier il conforto)
② Scepter 1001(Onkyo)
③ TSM-2201-LR(TAD)
④ LS-11EX(Kenwood)
一番魅力的に聞こえたのが①でした。
音像の定位は③の方が優っているかもしれませんが生々しさが乏しく低音が萎んでいるのが玉にきず。
②は透明感と広がり感がありバランスがとれていますがややクールな音。
④もバランスがとれていますが可もなく不可もなし。
・・・「音のコク」や「楽器がそこで鳴っているリアル感」で①が勝りました。
2010年、Rittor Music 発行
最近、オーディオ熱が久しぶりに再燃し、その勢いでしばらく前に購入しておいたオーディオ関連本を読んでみました。
内容はオーディオの基本をとてもわかりやすく解説している良本です。
まず、高価なオーディオ機器に手を出す前に、部屋の環境整備が大切なことを教えてくれました。
音を反射するもの(壁や窓)と吸収するもの(カーテンや本棚)をうまく利用して、音響を整えるべし。
その視点で私のオーディオルーム(ただの洋間ですが)を検討してみると・・・スピーカーは窓をバックに設置されており、バスレフ・ダクトから出る低音の反射をカーテンで調節し、一方、リスニングポジションの後ろは本棚が並んで吸音しているため、音響がほどほど「良い加減」になっている様子。
スピーカーの位置決めに関しては「ボーカルデュオを部屋に招いてステージで歌ってもらうイメージで設置」とわかりやすい表現。
前面のラインを一本線上に合わせる「フラットセッティング」を実行すれば、より音像がカチッと決まりそうなのでこれから調節に挑戦しようと思いました。
スピーカーケーブルなど、ケーブル類を替えると音が明らかに変わることが私でも実感できますが、しかしこれは科学的データでは実証されていないという事実を知り意外に思いました。
それから「位相」という言葉に興味を引かれました。
スピーカーが再現する音像には横への広がりや奥行き感があります。
なぜそんなことが可能なのか、考えれば考えるほどわからないのですが、この音の空間配置を司るのが「位相」ということらしい。
位相がよければ音像がリアルに再生され、位相が乱れていれば音像がぼやけたり歪んだり。
以上、私のようなオーディオ初級者が自分のシステムを見つめ直してブラッシュアップするには格好の本だと思いました。
<メモ>
自分のための備忘録。
■ スピーカーは見た目通りのサウンドで鳴るものが多い。
・・・某オーディオショップで「スピーカーケーブルは見た目通りの音がする」と聞いたのと共通してます。
■ お勧めのウーファー口径は16cmクラス。
・・・低音の量もスピード感もほどよいバランス。さらに部屋の大きさにより調整が必要で、10~20畳では16cm以上の大きさ、6畳以下なら16cm、10cm、8cmも選択肢。
■ スピーカーのカタログデータの読み方
【周波数特性】一般的な音楽用スピーカーの特性が得られていれば問題なし。
【インピーダンス】8オームくらいが一般的。4オーム以下のスピーカーをスタジオのような大音量で鳴らす予定があるならば、アンプ側が4オーム以下のスピーカーにも対応しているか要チェック。想定していない設計の場合、大音量時の音質劣化はもちろん、アンプの保護回路が働いたり、場合によっては故障する危険あり。
【能率】90dB以上のスピーカーがよいという意見が多いが、あえて能率を落として成果を上げるスピーカー設計方法もあるので一概には言えない。90dB前後のスピーカーならふつうに使用可能と考えて差し支えない。
■ スピーカーをどのくらい壁から離したらよいのかは、歌う場所を想像して考えるべし。
・・・歌手の背中がくっつくくらい壁際に立たせるのではなく、かといって客席に近すぎない、自然な立ち位置はどこか。
・・・壁とスピーカーを近づけると低音が増える傾向、スピーカーを壁から離すとステージの奥行きが再現されやすい傾向。
■ スピーカー位置調節は正確な「フラットセッティング」を
・・・スピーカーを内振りにせず、フラットに正面にセッティングする方法。スピーカー前面のラインを1mm単位以下のズレに収めると、ピントがピタリと合うように音像が別次元でカチッと決まるのがわかる。すると正面で聴かなくても不思議と音像が乱れない。レーザー墨出し器を利用すると簡単に実現可能。
■ 部屋の音響調節にはカーテンやラグマットなどが吸音材として応用可能。
【カーテン】厚手のオーガニックコットン製がお勧め。カーテンのよいところは、開閉により音響を調節できること。
【ラグマット】天然ウール100%がお勧め。リスニング席側に敷いてルームチューニング。
【ソファ】吸音効果を狙うなら布張りがよい。本革や合皮では音を反射してしまう。
【じゅうたん】床からの音の反射を減らす。
【本棚】吸音効果があり、リスニング席の後ろ側に設置すれば音の反射を和らげてくれる。
■ 響きのよいお風呂場と悪い映画館
【お風呂場】タイルや壁で音が反射するので声がよく響く(思わず歌いたくなる)。
【映画館】意外なことに映画館は音が響かないように造られている。映画にとっては「残響が少ない空間」が好ましく効果音がピタリと止まることが重要である。何もない空間からパット音が立ち上がり、瞬時に消える・・・映画のストーリーにのめり込む瞬間である。
■ 真空管アンプの特徴
・・・柔らかくて暖かい音色が魅力。反面、太く腰のあるサウンドなだけに切れのよいスピード感のある音楽は苦手な傾向あり。真空管には寿命があることもお忘れなく。
■ ケーブルによる音質変化は測定器では計測できるものではなく、今のところ理論的に解明できていない。
■ CD規格は1982年に登場。サンプリング周波数は44.1kHz /16bit。
■ オーディオ専用電源を!
・・・ノイズを減らすにはブレーカーレベルでの専用電源を用意するのが効果的。電気屋さんに「オーディオ専用電源を設けて欲しい」よりも「専用回路の増設をひとつお願いします」と依頼すればスムースに対応してくれる。
専用電源にすると力強い音に変化し、2~4dB程度大きな音に感じるようになる。
■ ビートルズのリマスター盤は、音圧がかなり低く抑えてある。
・・・ファンの中ではサウンド的に賛否両論があるが、レベルに関しては間違いなく素晴らしい。
■ (鈴木裕氏の発言)僕はMP3では満足できないんですよ。
・・・スピーカーで鳴らすと、明らかに空間情報がなくて、平べったい音楽になってしまう。奥行きが出ないように感じる。だからCDの方が好きです。
最後に付録のオーディオチェック用CD「Flow」を聴いてみました。
私のシステムには4種類のスピーカーがあります;
① pino parlante(atelier il conforto)
② Scepter 1001(Onkyo)
③ TSM-2201-LR(TAD)
④ LS-11EX(Kenwood)
一番魅力的に聞こえたのが①でした。
音像の定位は③の方が優っているかもしれませんが生々しさが乏しく低音が萎んでいるのが玉にきず。
②は透明感と広がり感がありバランスがとれていますがややクールな音。
④もバランスがとれていますが可もなく不可もなし。
・・・「音のコク」や「楽器がそこで鳴っているリアル感」で①が勝りました。