私の音楽 & オーディオ遍歴

お気に入りアーティストや出会った音楽、使用しているオーディオ機器を紹介します(本棚8)。

Sonus Faber 'ELECTA AMOTOR'

2013年02月09日 | オーディオ
 オーディオ熱再燃の勢いが止まらず、もう一つスピーカーが増えてしまいました。
 その名は「ELECTA AMATOR」(エレクタ・アマトゥール)。
 イタリアのスピーカーブランド、Sonus Faber(ソナス・ファベール)の記念すべき日本デビュー作です。
 制作は1988年と四半世紀前の代物ながらもしっかり現役で、プロのオーディオショップから中古良品を購入しました(値段は内緒)。

 従来の私のメイン・システムは、
・CDプレーヤー:Esoteric RZ-1、およびMac Pro 2009。
・アンプ:Accuphase E-460
・スピーカー:Onkyo Scepter 1001
 という内容でした。

 このシステムが奏でる音楽は、日本の真面目な音造りを象徴しているかのよう。
 タイトながら低域・高域ともに伸びが良く、音場感の広がりも良好です。
 音楽ソースのジャンルも問わず優等生的に再生し、わたし的には信頼できる万能選手といったところ。
 ただ、真面目すぎて「妖しさ」や「色っぽさ」に乏しいのが玉に瑕でしょうか。

 さて、今回入手した「ELECTA AMATOR」は「スピーカーを楽器に見立てて鳴らす」発想を開発の原点とした Sonus Faber 社の、知る人ぞ知る個性的な手作りスピーカー。
 弦楽器やヴォーカルをつややかに艶やかに再生してくれる一方で、メリハリのある高音・低音を強調した現代的なフュージョンやポップスは苦手にしている、とのネット上の評判です。
 オーディオ通は「Sonus の良さは初期の作品に凝縮されている、創業者のフランコ・セルブリンが抜けた今の音造りは現代的な方向へシフトしており、初期の楽器が鳴るような魅力はもはや存在しない」と評価しているようです。

 届いたスピーカーはブックシェルフ型で重さはそこそこ(15kg)、外見は「木工細工」様で美しく、オーディオ機器というより工芸品あるいは高級家具のような雰囲気を纏っています。
 「これは何か違う」と期待感が膨らむ私。

 早速セッティングして聴いてみました。
 セッティングと云っても、純正スピーカースタンドは手に入らなかったので、Scepter の上に御影石版とインシュレーターを乗せての借り置き場ですが。

 実は、スピーカーセレクター(LUXMAN AS-50R)なるものをあらかじめ購入してこの日に備えていました。
 一つのアンプで複数のスピーカーを切り替えて聴くことのできる優れものです。
 この機種は手元のリモコンで切り替えが可能であり、リスニングポイントに居ながらにしてスピーカーの音を比較することができるのです。

 満を持して、Scepter1001 vs. ELECTA AMATOR。

 一聴して音の違いがわかりました(当たり前か)。
 Secpter1001 の方が低音域・高音域共に伸びています。低音の質感はタイトでボワボワ感なく好ましいのですが、やはり高音域のてかりが少々気になります。独立電源導入前は「ぎらつき」だったのが「てかり」程度に改善はされたのですが・・・。
 一方の ELECTA AMATOR は、低音域の伸びは今ひとつでベースの音が小さくなりがち、高音域の伸びも今ひとつで中音域にギュッと濃縮したような音。ネット上の評判通りだと思いました。かといって物足りないという印象はありません。Secpter1001 の「耳障り感」がうまく消えていて、聴感上のバランスがよいのです。

 聞き比べていて「あれ? この違い、何かに似ているなあ」と感じはじめました。
 その昔、私の学生時代に流行ったノイズリダクションシステム「ドルビーB」の効果を想起させたのです。

 レコードをレンタルしてカセットテープにコピーし、ウォークマン(MDでもなくMP3でもなくカセットテープです!)で音楽を楽しんだ時代の工夫で、高音域の「サー」という雑音を低減し高音質化を目指すもの、と理解していました。
 私は主にドルビーBを多用していました。
 今回感じたのは、ドルビーBをかける前が Scepter、かけた後が ELECTA AMATOR というイメージです。

 逆に云うと、 ELECTA AMATOR と比べると Secpter1001 の中高音域はノイジーに聞こえてます。高性能マイクで音を一つも残さず敏感に拾った録音という印象もなきにしもあらず。
 それを ELECTA AMATOR は心地よい聴感にほどよくアレンジしてくれているかのよう。

 まずは弦楽器と女性ヴォーカルを聴いてみました。
 Mischa Elman のヴァイオリンは今まで以上につややかに響き、Stacey Kent の声はハスキーより色っぽさが前面に出てくる印象。

 さて、これからいろいろな音源を聴き倒そうと思います。