私の音楽 & オーディオ遍歴

お気に入りアーティストや出会った音楽、使用しているオーディオ機器を紹介します(本棚8)。

ケーブル類のグレードアップはN氏特製

2013年10月24日 | オーディオ
 現在の私のシステムはCD3500枚をパソコンに取り込んだMacを中心としたいわゆるPCオーディオです。
 次の2系統で聴き分け;

■ MacPro→ AUDIOQUEST Diamond→ Esoteric SA-50→ Jeff Rowland CONCENTRA→ Mitsubishi 2S-305
■ MacPro→ FURUTECH GT2→ Accuphase E-460→ Sonus Faber ELECTA AMATOR

 主に2S-305では大編成オーケストラやジャズを、ELECTA AMATOR では弦とヴォーカルを楽しんでいます。
 ただ、2S-305に少し不満があります。
 このスピーカーは音域の上から下まで歪みなく伸び伸びと再生してくれるのが魅力的ですが、高音のキンキンキラキラが耳を刺激するのです。まあDIATONE の特徴と云ってしまえばそれまでなんですが・・・。
 ケーブル類でなんとか調整できないものかと、いろいろ物色してきました。
 しかし、ケーブル類は数値で判断できる目安がないのが悩ましい。各メーカーの説明を読むと良いことばかり書いてあり選択の参考になりません。

 そこで、市販品のインプレッションをオーディオ通のN氏に聞いてみました。
 すると、製品の特徴から私のシステムに合うかどうかも教えていただきました。ふむふむ、なるほどと読み進めていくと・・・最後に「なんなら私が作りましょうか?」と一言添えてありました。

「!」

 私はその言葉に飛びつきました。
 オフ会で彼のシステムを聴かせていただいたときの衝撃が甦りました。
 ニュートラルな音、歪みのないキャラの立った音が上下の音域にストレス無く伸びきり、部屋の外までステージ(音像)が広がる快感・・・。
 私のターゲットの一ケタ上の価格のハイエンド・オーディオを聴き尽くしてきた彼(最近「dCS」をコンプリートしたそうです)。
 その行く末に「自作」にたどり着いたのですね。

 早速、依頼して作成していただきました。
 彼の解説と、私のファースト・インプレッションを記しておきます;

電源ケーブル線材は英国製の純度の高いUP-OCCを用いた銅線を用い、電源プラグ、インレットプラグもUP-OCCのハイグレードのものを使用。駆動力もあり、情報量の多さがウィークポイントになっています。駆動力も上がりますのでパワーアンプにも適しています。

→ 分解能・S/N比が良くなり、とくに低音がタイトになるとともに迫力が増したことに驚きました。今までのシステムでは2S-305でも低音がぼやけることがあったのですが、それが解消しました。
 私が昔から愛聴しているウィンダム・ヒル・レーベルのウィリアム・アッカーマンというアーティストがいます。彼の「Meditation」というアルバムのギターの低音割れがずっと気になっていたのですが、それがほぼ消えました。録音が悪いわけではなく再生するシステムの問題だったことに改めて気づいた次第です。
 トミー・エマニュエルのギターが半端でない鮮やかな音で再生され、「こんなすごい音だったかな?」と私の耳が驚きました。
 残念ながら、高音のキンキラは解消するに至らず・・・。

電源タップカナダのHammondのケースを使って高級線材を用いて作成、コンセントにはCooperの最高グレードの無メッキプレートに換装。ハモンドでクーパーのコンセントを採用したのはタップで癖があるとバランスが崩れるのであえてクーパーの無メッキにしました。メッシュチューブには最高級のアラミド繊維を中心として音質に配慮したもの。傾向はワイドレンジかつ中高音の耳あたりも良く、透明度の高いニュートラルサウンドで情報量を引き出せるよう完成させたものです。

RCAケーブルスイスのスーナーのスコフレックス最高グレードの線材を用いて作成。計測用ですが情報量は抜群です。アコースティックギターの音やヴァイオリンの音が生々しくなり瑞々しさも増して弦の擦れ方がリアルです。弦楽器を中心に追い込むとスーナーの線材は欠かせない存在になります。音のフォーカスの滲みが低減して鮮明になって、情報量が大幅に増えます。1つ1つの音の滲みも低減しますし、適確に音を描写しますからニュートラルになった事が感じられると思います。

→ 一言で云うと、音のリアル感がワンランクアップしました。
 個々の音は付帯音が消えてどちらかというとタイトになりましたが、音像が立体的になり響きがふくよかに広がる印象です。情報が正しく伝わり、かつ量が増えた効果でしょうか。輪郭がぼやけがちなピアノの音がタイトに響き渡る空気感は快適です。
 逆に美音の塊のように聞こえた楽曲の音が分解されておとなしくなり、思っていたほどの美音ではなかったことに気づく音源もありました。まあ、良しも悪しくも録音が裸にされる感じ。

 以上のように音は確実にグレードアップしたわけですが、電源タップとRCAケーブルは同時に換えたのでどれがどちらの効果かわからなくなってしまいました(笑)。
 2S-305の高音キンキラも、消えはしませんけどケーブル交換前より気にならなくなりました。
 CD情報を確実に伝達することにより音像のにじみが減っているのでしょう。つまり「発展的解消」しつつあるのかな。

 今回も、N氏の理想の音を求めるエネルギーに脱帽するばかり。オーディオ・メーカーのみならず、計測用や軍事/宇宙工学仕様の製品まで手を伸ばしているのですから。

 ケーブル類をグレードアップする方向性には「色づけ」と「情報量を増やす」の二通りがあると思います。
 しかし中途半端な色づけはえてして失敗しがちです。私も「柔らかい音」を求めてケーブルをいくつか試しましたが、「柔らかい=豊かな響き」のつもりが「柔らかい=腰砕け」になってしまったり。やはりCDに収録されている情報量を余すところ無く引き出す手法が王道ですね。
 N氏の方向性はまさに王道を極めたものだと実感した次第です(進化は現在進行形、恐るべし)。